第72話 2つのレニーナ、2つのレオン
リィズは、うーん、と悩みながら、「説明がなかなか難しいのだけど……」と前置きをして言った。
「その……結論を言うと、ね? どっちもレオンだしレニーナなのよ。レオンの世界の……心理学的にもしも表現するなら、貴女と貴女の世界の真理について話した中で言ったけど、『男性が集合的無意識的に持つ理想の女性性としてのアニマ』と、『女性が集合的無意識的に持つ理想の男性性としてのアニムス』と2つがあって、心理的両性具有という……」と、リィズが言葉を続けようとすると、勢い良くあたしなレニーナが手を上げた。
「リィズ、ごめん! あたし、まったく意味が分からないわ?!」と頭がぷすぷす音を上げているような混乱した表情で悲鳴を上げる。
「あ、そ、そうね、言葉が悪かったわ……」とリィズは謝りつつ、表現に悩んでいるようだ。
「まあ、たしかにあの時きいたな。ざっくり言えば、『男子も自分の中に持ってる女性的な面がある』、そして『女子も自分の中に持ってる男性的な面がある』、非常にふせいかくだが、超ざっくりした言い方だと、そういうことになる。かなりごかいをまねくかもしれないが、とりあえずのだと、まあおおまかにいってそういう意味だ。これならどうかね?」とあたしなレニーナに言う。
「そ、その、つまり……男のひとも、女性的な面があって、女のひとも、男性的な面がある、みたいな感じ?」と、あたしなレニーナが言い、私は「まあ、本当に超ざっくり、ごかいをたくさん産むのを承知で言えば、そういうことだな」という。
「なんとなく、その意味は分かったけど、それがどうあたし達と繋がるの……?」と、あたしなレニーナ、うーん、ややっこしい、まあ、レニーナが言い、リィズが言葉を引き継いで言った。
「だいぶ誤解を生んじゃう言い方だし、だいぶ内容が違うのだけど、それは置いておくと、とても大雑把に言うと……レオンの記憶が引き継がれた女性であるレニーナの身体で、レオンの男性としての記憶での男性性と、レニーナの身体で産まれたレニーナの人格にとっての女性性なのが、今のレオンなレニーナなの」
「そして、レオンの記憶、レオンが生前持っていた女性性な面で、そしてレニーナの身体でのレニーナの人格が持つ男性性が、貴女、つまり、あたしなレニーナ、って事になるわ」と、そう言葉を切り、間を開けてリィズはまた言葉を続けた。
「そして、スタンピードが起きたことがきっかけで、ふたりに別れてしまった、って感じだけど、実はどっちもレニーナはレニーナなのよ……って、分かるかしら……?」とリィズは説明が終わりながら心配そうに、あたしなレニーナを見る。それはそうだ、とてもややっこしい話だから、困った。
それを聞いて、『あたしなレニーナ』、つまり、レオンの時持っていた女性性で、かつレニーナの女性性であるレニーナは……完全に頭がぷすぷすして、『??????』という感じで、目を回していた。
「ふーむ、ほんとうにややっこしいな、これはどうにかしないといけないが……じんかくのとうごうみたいな感じができるのだろうか」と私はリィズに言いながら、ふとヨスタナ師の方を見ると、やけに考え込んでいる。
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