第71話 ふたりのレニーナ
と思っていると、【私にバトンタッチして!】というレニーナの声が聞こえる。しかし……それなら、さっきリィズが言っていたな、もう一人の私を、この空間では身体を作って与える事ができる、と。
そう思い、ちょっと待った、とあたしなレニーナ……これもややっこしい、まずは可能なら身体を分けてもらおうとリィズに言った。
「リィズ、あたしなレニーナにからだをあたえる事が、このくうかんではできるといっていたが、できるかね?」
そう私が言うと、「ええ、できるわ、受肉させるだけだからね。それじゃ、レニーナ、いい?」というと、レニーナは、【うん!私も身体が欲しい!リィズ、お願い!】と言って、リィズは頷きながら目を閉じると、眩い光りを全てを満たしたと思ったら、レニーナがそこにいた。
「あ、あれ? あたし、これ、あたしの身体!? で、こっちがおじさん?!」と、おじさんというのは大変誠に遺憾な言葉なので、「おじさんではない。だんじてない。レオン……いや、レオンのきおくはあるが、わたしだってレニーナだ。しかし本当にややっこしいな。呼び名くらい分けないか?」と私は提案する。
「なら……レニーナとレオン、でいいんじゃないの?」とあたしなレニーナがいうが、私だってレニーナだ。異議を唱える。
「こういってはなんだが、レオンの記憶はあるが、わたしだって父と母に育てられ、レニーナだ。わたしをレニーナで無いとひていするのは、父と母にもうしわけないとおもうが」と強い言葉で語気を強めて言う。
「それじゃ、どういえばいいの?あたしだって、意識が出たのは、それは確かにスタンピードの時だけど……でも、あたしだってレニーナ!」
ふむ、困ったものだ。仕方ない、大人である私が皆が受け入れられる無難な案を示して場をまとめよう。
「しかたない、わたしが、おとならしく、ちゅうかんてきな案でまとめよう。わたしが『レニーナ左派』、きみが『レニーナ右派』でどうかね」と、名前で意地を張るとは困ったものだと私が思いながら言うと、リィズが「貴女……致命的にネーミングセンスがないわね……いえ、ネーミングセンス以前の問題だわ……」と哀れんでくる。何故だ。
ずっと私達がわちゃわちゃしているのを黙って聞いていた、ヨスタナ師が、「本当にふたり、居たんだねぇ……これは困った、呼び方が本当に必要だよ。と、いうより、リィズ君、このまま身体を分けて、ウェンディスに戻る訳にはいかないのかい?」と、なかなかの名案を提案する。
しかしリィズは、「それも考えたけど……貴女達が2人に身体を分けたら、2人分の出生届とかなんだとか、存在しないと困るんじゃない?まあ、確かにユースティアを通して、ファースから王命で出生届とか変えられはするけど……色々と大事になるかもしれないわよ?」と言う。
確かに考えてみれば行政上では、新しい身体を持って戻ると、とてもややっこしい事になりそうだ。最悪、ユースティア女史に頼んで王国自体に頼んで力技でできなくはないが、だいぶ大事になりそうだ。
「じんかくのとうごう、というのが、せいしんいがくの『にじゅういしき』では、おこなうようだが……これはそもそも、どういう状態なのだろう」と私は思考しながら尋ねてみる。
-------------------
※よろしければ作品のブックマークとご評価をして頂けましたらとても嬉しいです! 励みにすごくなります! よろしくお願いします!




