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追放されし『異端者』、レオンの異世界革命奇譚  作者: 露月ノボル
【第二章】私の、悪夢
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第67話 ありがとうのことば

 御者をしていたのもあって、言葉を発せずにいたヨスタナ師は、後ろを向いて、「着きましたね、皆さん大丈夫ですか?僕ぁ少しお尻が痛いです」と冗談めかして言い、御者席から降りると馬車の扉を開けてくれた。


 「先生も御者役、お疲れ様でした」とガイさんとクラムさんが頭を下げて降り、ヨシュアさん…まあ、スセジ女史なのだが、意外と身軽に降りて、私はまた行きと同じくヨスタナ師に抱っこされて、ようやく揺れない地面に足をつけた。


「そういえば、馬車はここに止めさせてもらったままでもいいんですか?」とヨスタナ師は尋ねると、クラムさんが笑いながら、「このスペースはこの馬車を停めるスペースですからね。むしろ使って下さい」と微笑む。


 私は少し緊張しながら、4人に向かって、「あの!」と言い、続けた。


「きょうはほんとうに私が父と母、村のみんなに別れのことばと感謝のことばを告げるために、危険なごえいをしてくれて、着いてきてくれて、本当にありがとうございました!」


 4人は顔を見合わせた後、微笑みながら、クラムさんが「どういたしまして。私達もリンドル村の皆に祈りを捧げたかったからね。立派な挨拶だね、ロイ護民官も天国で見守ってくれてて喜んでくれるだろう」と腰をかがめて私の頭を撫でてくれた。


 ガイさんもヨシュアさん…女神スセジも、微笑んで返し、「僕からもお礼を言わせて下さい。道中助かりました」とヨスタナ師も頭を下げてお礼を皆に言ってくれた。


「それでは私達は通常の業務に戻ることにします。ローズクォート市へ旅立つ時は、どうか、道中お気をつけて」とガイさんがいい、クラムさんも頷いた。


「あ、冒険者ギルドに護衛の依頼などを出したことはありますか?」と、ふと気がついたようにガイさんがいい、当然私は無いため、どうしようと思ったが、ヨスタナ師は少しコミカルに胸をドンと叩きながら、「任せてください。僕ぁ学院時代は、授業に出た日数より旅しててた日数の方が多かったですからねぇ」と冗談めかしながら言う。


 私は、つい、ヨスタナ師らしいな、と「くすっ」と吹き出してしまった。


 すると4人が、とても温かい目で安心したような表情で目を向けていて、ヨスタナ師は、「それでは本当にありがとうございました。僕らも宿に戻る事にします」といい、ヨシュアさんも「私もそろそろお暇させて頂きます」と、その場でお互いに挨拶しあい、解散することになった。


 市庁舎の馬車置き場から宿への帰り道、夕陽の差す中、元気にはしゃぐ子供にはぐれないようにと注意しながら歩く、3人の家族や、様々な家族とすれ違った。私はもう、父が護った光景だと誇らしい想いはあるが、妬み爆発する感情は、私もあたしも既に消え去り無かった。


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