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追放されし『異端者』、レオンの異世界革命奇譚  作者: 露月ノボル
【第二章】私の、悪夢
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第65話 母の手紙と想い


「レニーナちゃん、大丈夫かい…?」とフェブリカ先生が声をかけてくれる。私は「大丈夫です」と答えて、「母の部屋を…見てみますね?」と、隣の母の部屋へと…父の部屋に、深く一礼し、祈りを捧げて、向かった。


 母の部屋は…やはり散乱していた、バリケードに魔物達が次々と体当たりしたようで、相当に揺れて、本当に怖かっただろう…母の事を想うと本当に悲しく胸が締め付けられるような想いになる。


 本棚の本…一番最初に読んだ、「英雄ゴーダの冒険記」、今では本当に懐かしい。本を拾い上げると、その下に母が良く髪につけていた、赤いルビーの入った金色の髪飾りが、落ちていた。スタンピードの日は髪飾りをつける余裕がなかったから…そう思うと、ふと私の髪に母のをつけてみた。


「レニーナ君はお母さんにそっくりの美人さんだから、すごく似合ってる」そう、フェブリカ先生が言ってくれ、私は微笑みながら「ありがとうございます」と言った。


 家具や様々なものを総動員してバリケードが作られたのに、何故か母の鏡台はそこにあり…どうやら、床に固定されているようで、それで遺されたのだと思う。鏡は割れてしまっていたが、鏡台の引き出しを開けると…「レニーナちゃんへ」という手紙があり、胸の鼓動が急に激しくなった。


 恐る恐る手紙を開けると…


「この手紙が果たして無事に残っているか、レニーナちゃんに届くか、分からないですが、届くと信じて書いています。レニーナちゃん、本当にごめんなさい。私はレニーナちゃんの方について行くべきだった、と頭では分かっていました。


 でも結局ロイの力になりたいと残ってしまった。私がいないと、ロイが死んでしまうから…と。少ない可能性でも、家族3人で生き残れる可能性があるなら…と。でもそうはならないようです。本当に一人にしてしまってごめんなさい。


 どうか、ママのお父さんとお母さんである、フェンローゼ家を頼って下さい。レニーナちゃんのおじいちゃん、おばあちゃんです。この手紙を持って行けば、あと同封してある指輪を持って行けば、きっと温かく迎えてくれるはずです。ママとパパは天国でレニーナちゃんの幸せを祈ってます」


 ……ママは、最後まで、家族3人で生き残れる可能性を考えて、残ってくれたんだ…。


 封筒を傾けると、ころんと、とても美しく彫金された、紋章の描かれた高価そうな指輪が入っていて、私は無くさないようにという意味でも、母の思い出の品を身に付けたいという気持ちからも、指にはめてみたが…まだ、5歳にはあまりにサイズが合わず、大切に包んでしまっておくことにした。


 ガタン、ガラララ…!どうも、家の一部が崩れたみたいだ。


「レニーナちゃん、やはり危ないから、家の外へ出よう!」そうフェブリカ先生に言われて私は、はっ、としてしまった。


 しかし、母が最期を遂げた家で、産まれた時からずっと育ってきた家で、酷く後ろ髪を引かれながら動けずにいると、フェブリカ先生が抱っこをして私達は家の外へ出ると、家の中心が崩れたらしく、潰れるように崩れてしまった。


「おうちが……」がと私はショックに思ってしまう。そう崩れた家を見て立ち尽くしていると、ガイさんが「レニーナちゃん、ごめん、そろそろウェスタ市に戻らないと、日が陰って危なくなってしまう。そろそろ戻るが、もう大丈夫かい?」と優しく尋ねてくれて、私は再度涙が目に浮かんできたが、「はい」と答えて頷いた。


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