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追放されし『異端者』、レオンの異世界革命奇譚  作者: 露月ノボル
【第二章】私の、悪夢
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第60話 土に塗れ赦しを乞う、彼女

 馬車はそれでも荷馬車よりは速く、1時間半ほどで村の…入り口であった、なぎ倒されて破裂したような割れ方のした木の塀の残骸が散らばっていて、その先の村の…惨状が見えた。


 村の入り口だったところから入っていくと、右側にあった兵士の人の詰め所があったがそれも跡形も無く、畑とその先に家があったのが、畑だったところは完全に掘り返されていて、様々な獣らしい足跡が付いた真っ黒な地面に、みんなの家があったところは、まるで竜巻で破壊されたかのような、完全な倒壊をしていた。


 私の家は…さらにその先の、小さな広場の前にある。馬車が進むと…私たちの家が、父と母と私の家が、あらゆる資材や物を用いてバリケードで囲んだらしく、完全な全壊した家々の中、半壊の状態でようやく建っているという状態なのが見えた。


 そして…広場は、おそらくは、バリケードを作り家の中の戦えない人達を護ろうとした、村に残ったみんなが…必死に戦った跡が、地に大量の血液がどす黒く広がり、恐らくは干からびた肉片…が地におびただしく広がって、そこら中にすごい多くの蠅が飛び、地を白い蛆が這っていた。


「これは……」と先生は声を失う。


 クラムさんは、とても沈痛な面持ちで、「……遺体は、損壊が激しいものが多く、また腐敗が始まっていたので、身に付けていた遺品で確認をし、この奥の畑だったところで、火葬し埋葬したそうです…」と言いづらそうに言い、続けた。


「そのような状態だったため、共同の埋葬での集団墓地、という形で、現在は仮の慰霊碑と献花台ですが、状態が落ち着いてから慰霊碑を建立するそうです…」



「さて…それじゃまずはお花をあげてこよう?せっかくのお花が、枯れてからでは申し訳無いからね」


 と先生は言い私は頷いた。その姿を見たガイさんが、「この家の…裏手の開けた畑だった所に、献花台と慰霊碑があるそうです…」と先導してくれる。


 献花台と仮設の慰霊碑がある…あっ。。。これはリオーナちゃん家…?今や完全に非日常的な廃墟と化してしまっているけど、ここにあった日常をつい色々と思い浮かべ涙を浮かべててしまう。


---------------


 そう、思いながら歩いていると、急に目の前が見えにくく感じる。あまりに突然でびっくりしたことに、急に霧が出てきたようで…そう思ってまだ2,3分も経っていないのに、ものすごくそれが濃くなり、私たちはお互いを視界するのが急速に困難になり驚いた。


「レニーナちゃん!いるかい!?」先生の声、「フェブリカ先生!?レニーナちゃん!?」とガイさんやクラムさんの声。どこからするのか、さっきまではっきりしていたのに前後が分からない。


「どうしましたか?レニーナさん」その声に私はひっ、と声をあげてしまった。見ると、濃霧に、逆に黒い喪服は目立つのか…すぐ脇にヨシュアさんが立っていた。そう気がつくと、先生や、ガイさんやクラムさんの声が、妙に遠く感じ、さらに遠く感じて聞こえなくなった。違う方向にお互い歩いて距離が相手しまっているのだろうか。


「先に進みましょう。献花台と慰霊碑の前に入れば、皆さん来るはずですからね?」


 とヨシュアさんに言われて、その通りだと思い、私は霧の中を進んでいく。1コード(約50cm)先も見えているかどうか、ヨシュアさんの背中に追いつくのが精いっぱいな状態で歩いた。


「あれが献花台と、慰霊碑のようですね」


 とヨシュアさんが立ち止まり指をさす。私はヨシュアさんに並んで霧の中に埋もれた存在に目を向け、その言葉に目を凝らして見ると、少し高さのある慰霊碑が、少し離れた所に建っていて、献花台がその前にあった。


 その献花台には、まるで摘んできたばかりのような、活き活きとした様々な色合いの花が捧げられ…………。



 ……………まさか……………。。………そんな…………!



 その、姿が、いつから身を清めず着替えていないのだろう……献花台の前の、畑だった真っ黒な土に塗れるのもまったく気にもせず、いつもの可愛らしいドレスがボロボロの姿のまま……慰霊碑の前で両手を地に着け膝を折り、ただただ、「ごめんなさい……ごめんなさい……」と、ずっとずっと言葉を止めず、赦しを、赦しのみを乞う…………リィズの姿があった。


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