第55話 副官のロンドさん
私は頷くと「それじゃ、行こう?」というフェブリカ先生の後を追って廊下を歩く。突き当りにドアがありネームプレートには「護民官室」とある。
コンコンコン。そうノックすると、「ああ!入ってくれ!今手が離せないが、どうした!」という声があり、先生がドアを開けて私と先生はその部屋へと入った。
すると文字通り飛び上がるような反応をして、「フェブリカ先生!それに…レニーナちゃん…!」と私達を見て、涙を浮かべて、手招きして、「こちらへ」と応接用のソファに座るよう言われて私と先生2人で座った。
テーブルの向かいのソファに座った副官さん…ルンドさんが、本当にくたびれたような、服装も、ワイシャツは白だっただろうに襟もとは黒く、無精ひげで大変なことになっている。
「まず…フェブリカ先生。今回は、先生が書簡を持ってきてくださって、助かりました。魔物の軍勢は…我々の市にやってくたのは、228体、それでも、ロイさんからの指示にあった戦い方で、対応することができ、撃退することができました」
「500体以上いたと聞いています。それが、ロイさん達、村に残った戦士たちが、228体まで減らしてくれた…感謝の念しかありません」
と言葉を結び、フェブリカ先生にルンド副官は握手を求めて手を出した。
「ありがとうございました。もしも情報がなかったら、寝静まった中に奇襲されていたと思います。助かりました、フェブリカ先生」
と微笑みをつくろうとしながら作れず、泣いているような表情のルンド副官と先生は握手した。それで双方ソファに再び座るとルンド副官は、今度は私に向かって言った。
「小さい頃何度かおうちに遊びに行かせてもらったが、おじさんの事を覚えているかな?私はロイさん、レニーナちゃんのお父さんの仕事を手伝っていた、ロンドだ。今回は救援が間に合わず済まなかった……。どうか、許して欲しい」
そう、いうと、足で折って座り、ロンドさんは床に頭をくっつけるくらい頭を下げて、謝った。確かにルンドさんとは会った事がある。ただ本当にこんな、足を折ってまで頭を地につけてまでに謝られると思っていなかったので、私は焦ってしまった。
「そ、その、そういうのはしないでください!パパが頑張ってくれたことで、みんなが救われていたを知れて、とても嬉しかったです。あの、元の姿勢に戻ってくださいませんか?!」
と私は焦って言ってしまった。「本当に申し訳なかった」と頭をまた下げ、ソファにロンドさんが座る。私達も再びソファに座った。
「それで…今日の御用件をお聴きするのが遅くなりました。どうされたのでしょうか」
そう尋ねるロンドさんに、ここまでの事情を説明する。母の実家が分からない。婚姻届けや行政文章で残っていないかどうか。すると、ロンド副官は言った。
「婚姻届けはこちらの方へ写しがありますので見る事ができます。ただ、奥様のシェラさんの元の苗字が何だったかは、少し時間を頂かなければいけないかもしれません。なにせ、膨大な量の書類ですから…」
とロンドさんはうんざりするような視線をむこうに向け、視線の先には大量の書類が一応分類はされているようなのだが、地球の文具よりは進んでいないので、探すのが一苦労だと思う。
「それでは、何か分かり次第、必ずお伝えに参ります」私達とロンドさんは昔を回顧する思い出話の後、改まって最敬礼をして、私達に確約してくれた。
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