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追放されし『異端者』、レオンの異世界革命奇譚  作者: 露月ノボル
【第二章】私の、悪夢
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第47話 悪夢の始まり

「起きて!起きなさい!起きなさいよ!」と声がする。


「なぁにぃ?」と私は寝坊助のような顔で声がする方を見ると、ものすごく真剣で必死な顔をしているリィズがいた。


「大変よ!貴女の村に、魔物の大量発生が向かってる!ものすごい数、500体はいるわ!とても魔物たちが、組織立ってる……なにこれ……そもそも『今』、スタンピードが起きる運命なんて、無かったのに……!!」


  私は耳にしてガバッと起きて、そういえば父はスタンピードで家族を亡くしたと聴いたのを思い出した。急いでベッドから起き、廊下へ出て父の部屋の前に行く。


「ママ!パパ!大変!スタンピードがくる!500体はいるみたい!早く逃げよう!?」


  と隣の父のドアをドンドンと叩くと寝ぼけた声で父が「ふぁぁぁ、いまいくよ、シェラ…」とドアが開くと、眠そうが父が意外そうな顔をしていた。


「どうしたんだい、レニーナ。もうこんな夜中だぞー?」


  と笑顔で言ってくれているのに対して、私は必至に訴えた。


「スタンピードっていう魔物が大量発生するのが起きてるみたい!500体はいるって!早くみんなで逃げないと…!?」


  そういうと父は急にとても真剣な顔をして、「………本当、なの、か?」と尋ねる。それはそうだ、私がそれをどうやって知ったか不思議に思う気持ちも分かる。でも今は!


「おねがい!早くみんなに声をかけて逃げなきゃ!500体なんて、村の人より多いのに、早く逃げよう?!」


 そう訴えかけると、後ろから、私の部屋から、足音が聞こえ振り向くとリィズがいた。


「私は旅の者。この子のいう事は本当よ。私には遠くを視る力があるの。早くみんなで逃げて!」


 そうリィズが訴えかける。父は不信そうな顔をして言った。


「君は…誰だ?何故俺達の家の中にいる?遠くを視る力だと、ルティアス様の力か…?」


 と父は呟くが、「おねがい!パパ、信じて!この子のことは本当!」と訴えかけ、父は、はっ、として尋ねた。



「二人とも、知ってるなら教えて欲しい!どの方角からどれくらい先の位置に魔物たちはいるんだ!?」


 リィズは急ぐように簡潔に答えた。


「北東の10km離れたとこよ。このままだと1時間くらいで到着するわ…」


 そう聞いた父は「そうか、分かった、礼を言う」というと、母の部屋のドアを叩いて、「シェラ!起きてくれ!大変だ、スタンピードが起きた!」と叫ぶと、母が慌てるように出てきた。


「ロイ、本当なの!?それは確かなのね…?」


「ああ、間違いないらしい。そうだろう?」と、私達2人を見る。


「うん、この子の言ってる事は本当!早くみんなで逃げなきゃ!」


  と私は訴えかける。母も深刻そうな顔をして、そして父を不安げに、そして決意を込めた表情で言った。


「ロイ…一人で戦おうとしているでしょう…?ダメよ、私と貴女は一心同体、私は治癒術師、逃げる訳にはいかないわ」


 二人は、強く抱きしめ合う。母の声は涙声混じりで、頬を涙が伝っていた。


 その間にリィズに言わなければならない。


「どうしてこんなことが?!起きるはずがなかったって…それより、リィズは女神でしょう?!なんとか、できないの…?」


  と私は縋るようにリィズに詰め寄る。リィズは物凄く悲しそうな声で言った。


「普通なら…起きないはずの事だわ。今回のは。それに、私も、できるはずなのよ…私は『場』の女神、村をすっぽり囲む結界を、すぐ作れるはずなのに…」


 リィズは泣きそうなほど悲しく悔しい表情で絞り出す。しかし、私は納得がいかない。


「この世界は神と人は近くて、神は人を助けてくれるんでしょう?!ねえ、おねがい!この村を救って…!私は何をされてもいいから、12神柱の神様を呼べば、そんな、魔物なんてきっとすぐに…!」


 リィズは泣きながらしゃくりあげ、「連絡が取れないの。天界に。戻って神たちを呼ぼうとしても、戻れない…」と「ごめんなさい、ごめんなさい…!」と、ただただ泣くのみだった。


「レニーナちゃん…そして、隣のその子、お名前は?」と母がやってきて、私達に声をかける。


「……リィズです。本当にごめんなさい…」


  母は優しくあやすような声で言った。


「貴女のせいじゃないわよ、むしろこの事を教えてくれたのでしょう?今、鐘を鳴らして村中に危険を知らせて、馬車や馬の準備が終わるところだから、貴女達はそれに乗ってね?」


 ………そんな……まさか……母は、残ろうとしてる…?


「嫌だよ!ママも一緒にだよ!パパも一緒に!みんなで一緒に!」


  私は頭がもう混乱と「「嫌だ!父と母が死ぬのは、嫌だ!!!」」と心の中で叫びながら必死に訴えかける。頭の中で二重にその想いが、心の声が響き、反響する。頭が痛い……。それに対して母は優しく諭すように言った。


「レニーナちゃん。私は治癒術師なの。そしてロイの夫で……貴女の母。私が残らないと、きっとロイは助からないわ…。そんなのは、嫌なの。大丈夫よ、レニーナちゃん。こうみえてもロイと私は、強いのよ?」と優しく微笑み私を安心させようとした。


「待って……待って!神様に!神様に頼もうよ!ねえ、リィズ、神様たちならそんな魔物なんて一ひねりだよね?!リィズも、さっき結界が張れるって…!」


 カン!カン!カン!カン!、非常用の鐘の音が響き聞こえる。


  そう、私が再び必死な顔で詰め寄ると、リィズはただ、「ごめんなさい…本当にごめんなさい…」と、呟くだけで、さらに私が「神様なんでしょう!?どうして、なんで助けてくれないの!?こんな時なのに、助けて欲しい時なのに!」と泣き叫ぶ。


「レニーナ、それと…情報をくれた子だね、遠目が効く遠見やぐらに上った猟師から、魔物の大群が進行中、だと報告があった。君の確かな情報がなかったら、寝ている間に俺達は殺されていただろう。ありがとう」と父が外から戻ってきて頭を下げる。


「外に、荷馬車や馬車、馬に乗れる人向けに馬よ集めた。さあ、二人とも、それに乗るんだ」


 そんな……バカな話があるわけない……ここに今、主神さまのリィズがいて…この世界は神様たちがいて…こんなことありえないはずじゃないのか…!?そうだ……おかしい……この事態は何かがおかしい……いえ、そんなことが問題じゃない!!まずは父と母やみんなの命を……!!!


「ねえ!リィズ!本当にお願い!私は何されてもいいし、心から神様を信じるから、お願い!みんなを助けて………!」


「ぐすっ、ごめんなさい…本当に、ひっく、本当に、ごめんなさい…力が、ぐすっ、使えないの…使えるはずなのに。。。誰も神に、声が届かないの……」


  信じられなかった。外が騒がしく怒号や悲鳴が聞こえる。父は私達を、私を置いて、外に出て「落ち着け!」と叫ぶ。


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