第42話 おたんじょうびのあさ
ちちちち、鳥の声が聞こえる、結構神界のは疲れたから、ぐっすり眠れたなあ。と起きようと目を開けると、母と父が待っていたのか、「レニーナ、誕生日おめでとう!」「レニーナちゃん、お誕生日おめでとうね♪」と挨拶してくれたので、びっくりした。
「あ、ありがとう、パパ、ママ。とっても私、嬉しいよ」
まさか、私がいつ起きるか分からないのに、起床時にお祝いされるとは思わなかった。
「あ、でも本当のお祝いは、神殿から帰ってきた後だから、楽しみにしてね♪」
と母の美味しい、かつ豪華な料理は確定した。しかし、神殿か…確か、ウェスタ市にあるんだった、リンドル村には礼拝堂はあるが、一応神殿の方がいいのだろう。
「レニーナはどの神様を信仰するか決まったのかい?」と父が聴いてくる。
信仰するわけではなく、便宜上信徒になるだけなんだがなあと思いつつ、「フェンリィズさま!」と私は答えると、お祝いでものすごく賑やかだった父と母の声が、固まった。
「え、えっと、もしかして、ダメ…かなぁ?」
私は、いくらすっとばしてるからといっても、ダメではないと思っていたので、2人の態度に焦ってしまった。だが不安が顔に出ていたらしく、父と母は慌てて言った。
「いや、それはダメな訳じゃないんだが…条件があってなあ…」と言い淀む父。
「レニーナちゃんはフェンリィズ様の御神体とか見た事ないのでしょう?そうね、ダメではないのだけれど、条件があって、『12神柱全員からの加護を受けていること』があるの」そう母は言い、続けた。
「だから、年配のかたで、それまでの人生で信仰告白とそれに見合うような信仰を、12神柱様たちにの神様全員から加護を受けたかたが、なられる事がほとんどなの」
なるほど、いきなりフェンリィズの加護を受けた私は相当な少数派なのか。どうすべきか、正直、加護の点では条件を既に満たしている。だが、「どうやって満たしたのか」と言われると、極めて説明しづらい事なので、無難に12神柱から1人、選べばいいのかもしれない。
「うん、わかった!それじゃ私、ユースティアさまにしようかなって思ってる!」
あの直接話した3人だと、一番まともそうだからである。あと回復魔法は捨てがたい。ただ、既に加護は得ているのだが…。母は何だかすごく嬉しそうに喜んでくれた。
「まぁ!まぁまぁ!レニーナちゃんも私と同じ、ユースティア様の信徒になるのね♪ママすごく嬉しいわ♪」
「ユースティア様が確かにいいとパパも思うぞ、神殿で加護を得るの、楽しみだな」
父も微笑んで祝福してくれる。ならば、私はユースティア女史に決めよう。
「あっ、レニーナちゃん、今日は晴れ舞台で貴女が主役よ?ちょっとおめかししないとね♪」と母は手に持っていた紙の箱を開けると、以前、いともたやすく行われるえげつない行為、の結果として買ってもらったドレスが入っていた。なんとなく、少し着て歩くのが恥ずかしい…。
「さあ、お着換えお着換え♪ロイは廊下で待っててね?」
と父は外に出て、私は母に、あの拷問を受けた洋服屋で買ってもらった服の一着の、薄ピンクのドレスを着させてもらった。
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今日は神殿に行くのでウェスタ市まで行くから、学校はおやすみ。リビングに父と母と3人で行くと、ヨスタナ師が笑顔で包装された箱を持って待っていた。
「やぁ、おはよう、レニーナちゃん。今日は5歳の誕生日だね、学校のみんなもお祝いしたいって言ってたよ、これ、プレゼント」と微笑んで箱を渡してくれた。
「せんせぃ、ありがとうございます!何が入っているか開けてもいいですか?」
ヨスタナ師は「もちろんさ、気に入るといいのだけど」と言い、これでも敬愛してる師からもらうのが気に入らない訳がない、と箱を開けると、1冊の本が入っていた。
その本には「ラドクリフ・ドワーフの歴史と文化」と書いてあって、ヨスタナ師は分かってくれてると嬉しくなり笑顔でお礼を述べた。
「ヨスタナせんせぇ、ありがとう!大切にちゃんとぜんぶ読ませていただくね!」
ヨスタナ師はほっとしたような表情で微笑んだが、母が「ヨスタナ先生、娘に贈り物ありがとうございます♪そうだわ、先生も朝食、ぜひ食べていってくださいな♪」と誘い、父と母、ヨスタナ師と4人で朝食を和気あいあいと頂いた。
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