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追放されし『異端者』、レオンの異世界革命奇譚  作者: 露月ノボル
【第一章】リンドル村の幸せな生活
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第35話 うんめいのかみさま

 問題は神は存在するかを考える事ではない。その点については諦めた。存在するようだが、どの神がマシか、ということである。


 明日は私の5歳の誕生日である。ウェスタ市まで行って、ユースティア神殿で、神を選ばなければならない。話してみないと分からないが、信仰するわけではない。


 そう、私は、部屋でどうしたらいいかをずっと悩んでいた。


 神は、このように、12人とリィズ1人の13人いるらしい。まあ、神を「1人」と数えていいのか分からないが。


 「ウェンディス聖典」という、まあ神のカタログみたいなものによると、「主神たる『場』と叡智、時と運命を司りし、『女神フェンリィズ』」が、まず中間管理職として存在する。


 そしてその主神の下に、ヒラといっていいのか分からないが、まあ、リィズの下に12の神がいるらしい。


・女神フェンリィズの補佐を務める、12神の議長たる、歴史、知恵、学問の神「男神ホーネット」


・生命と誕生、死、を司りし、「女神ユースティア」

・風と空、天、月を司りし、「男神ルティアス」

・土、植物、自然、農業を司りし、「女神サティナフィア」

・水、川、湖、海、天候、航海を司りし、「男神カルディウス」

・鉱物、金、商い、工業、契約を司りし、「女神イーステシア」

・正義、法、衡平を司りし、「男神グルード」

・武力、戦い、勇猛、戦士を司りし、「女神ルクス」

・芸術、美、詩人、文学を司りし、「男神オルテール」

・娯楽、酒、賭博、享楽、性を司りし、「女神ミレーナ」

・砂漠、太陽、火を司りし、「男神フェルザード」

・慈愛、奴隷、忠誠、罪人、娼婦、赦しを司りし、「女神スセジ」


 さて、どれがマシだろうか。正義、法、衡平を司る男神グルードが合うのか……。まあ、私にとって関係性の無いのは結構多いので、消去法でいくとそうなりそうだ。


 それか母と同じ女神ユースティアも手だが……あのように、魔法のように、というか魔法なのだが、怪我を治療できるのは極めて捨てがたい能力だ。


 戦いに関するルクスも捨てがたいが、私の非力で、どうやら運動音痴な身体は、仮に強さが10倍になっても、大して強くはならないだろう。100倍の力に仮になるとしたら、多分身体の筋肉と骨が持たず、もげそうでダメだろうと思うし。


 まあ、考えても仕方が無い。コインを投げて、表ならグルード、裏ならユースティアとするか、と。



「あ、あ、あなた!! 信仰を捧げるという神様を選ぶのに、コインを投げて裏か表かの丁半博打みたいなことするんじゃないわよーーーーーー!!」


 そうコインがないか探そうとしていたら、突然聞こえた声に驚きいて、この声はもしや、と思って目を向けると、案の定リィズが鏡台の鏡の向こうからぷんぷんしながら怒っていた。


「やあ、ひさしぶりだな。いや、神だからこそだろう。投げてうんめーに任せれば、それに当たったのが、うんめーの神ではないかね?」


 私は至極当たり前なこと言ったつもりだったが、するとリィズはさらに怒った様にぷんぷんしながら言った。


「あのね!? って、私が『運命』を司ってる神でもあるんですけど!!」


 失念していた。リィズは一応そういった存在らしい。しかしふと、「リィズの信徒を見たことがないな」と思い、「何故フェンリィズ信徒というのを聞かないのだろう」と尋ねてみる事にした。


「しかし、きみの信徒を聞かないが、もしかして、きみはじんぼうがないのかね? まあ、見た目的には、ユースティアの像がほんものの女神っぽいし、そっちをみんな選んでしまいそうだが。きちんと牛乳を飲んでるかね?」


 私はリィズに「フェンリィズ信徒をみかけないが何故だろう」と尋ね、そして、もしかしてと、リィズの身体をいたわって心配の声をかけたが、何故かリィズはものすごく顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。


「人望あるし! 本物の女神だし! それに何よ何よ、みんなして、むね! むね! むね! ただの受肉した姿じゃない! 神霊体を見なさいよ! 神霊体ーー! ……不人気キャラじゃないもん…………」


 困った事にオカルティックなワードまで出てきている。それに胸など関係ないだろう。私は人体的特徴で人の優劣をつけるような考えは持ち合わせていない。ただ事実を述べるだけだ。


 単に成長期に身体的成長に栄養が足りていないのではないか、と思っただけなのだが。とりあえず宥めて話を戻すことにした。


「ふむ、いらいらするのにもカルシウムは効くから、いっせきにちょうだ。牛乳を飲もう。それはそれとして、なぜきみの信徒をみかけないのだろうか」


「謎の牛乳推しやめてよ!?」


 とリィズがぎょっとしたように言うが、しかしリィズは次に少しきょとんとした。


 さっきまでぷんぷんしながら何故かわざわざ無い胸を少しでもあるように見えるよう、姿勢と大きく見える角度を工夫する涙ぐましい努力をしていたのだが、こっちを向いて不思議そうに答える。


「それはそうでしょ、私、一応は主神なのよ? 私の信徒になったら12神柱全員の信徒であることが普通だし、12神柱も全員、その信徒を大事にしなきゃならないし。私の大神殿とか神殿って存在しないのは、12神柱をすっとばすわけにはいかないからよ」


「なるほど、客の相手は下っ端の従業員がするので、中間管理職は客からは見えないから、客から感謝されないのか」


「中間管理職とかじゃないからーーーー!! 決して!!」


 と、私が納得したらリィズは顔を真っ赤にして叫び、続けた。


「正直ね、あなたには私の加護を与えているから、12神柱の信徒と認められなくても、特別に12神柱全員に加護を求める事ができるのよ。だからまあ、チートが得られてラッキー! とか思う主人公みたいに、私に喜び感謝しなさい?」


 とふふんとして、「褒めていいのよ? というか、褒めて!」というこう視線を送ってくる。


「そうね、だから、貴女をそろそろ、12神柱のみんなに紹介するために、これから貴女をちょっと、神界まで連れて行くわ。といってもこの世界の時間は経たないから安心しなさいよ? さて、私に手を合わせて……」


 鏡の中にいるリィズが手を出している。「神界」へ連れて行く? 突然何を言い出すんだとは思ったが、興味があったので、私もその鏡のリィズの手に自分の手を重ねた。


 すると鏡の中へと私の手、腕が沈んでいき、私は鏡の中へとリィズにひっぱられて消えた。

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