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追放されし『異端者』、レオンの異世界革命奇譚  作者: 露月ノボル
【第一章】リンドル村の幸せな生活
33/96

第33話 かくめいと、いともたやすく行われるえげつない行為

 そして買い物で食材から母の服を観て回るが、市場を歩いているとだいぶ活気があり、このウェスタ市は人口7万人らしいが、その割にかなり賑やかな街なようだ。


 そして……「今度はレニーナちゃんのお服ね♪」と私の服もと言われ、街の中心街から少し離れた、「コルミー子供服専門店」というお店に入る。


 すると、3人の……リィズの、あの服装を、もっとこう……「可愛い!!!!!!」と極限までしたような、それぞれが個性的すぎる服の、性格も個性的すぎるような若い女性の店員が迎える。


「いらっしゃいませー♪」


「きゃー!可愛いお子さん♪」


 と出迎えてくれたが……この段階で気づくべきだったのだ……。


「ええ♪ レニーナちゃんをもっと可愛くしたいのですけど、お願いできるかしら?」


 と母が店員に言うと、店員3人の目の色が変わる。


「かしこまりー!!!! 分かりました、我々、『コルミー美少女を可愛くし隊、第13師団第2児童者科連隊』に、おまかせを♪」


 と、そんなに師団がいるのかと絶望しながら見ていると、3人の店員は変なポーズをそれぞれ取る。


 そして、次にリーダーらしいメンバーの1人が、ピーッ、とホイッスルを吹いたかと思うと母の前に並び敬礼し……「ご命令を!」と言い……それらを見ていたノリノリの母が、命令を、下す。


「第2連隊のみなさん、やっーーーーってくださいな♪」


「「「はいっ、かしこまりーー!! おかあさま♪」」」


 そして…………惨劇が始まった。


 着せ替え人形のように、そう着せ替え人形のように、基本的人権を多大に侵害されながら、母と店員A、B、Cらにもみくちゃにされる。


「きゃーー!可愛い!」


「こっちも似合いそう!」


「いいねーいいねー、もっと可愛くしてみようか♪」


と、小一時間私は、死んだ目をしていた。


「ぉぉぉ…!! やっぱ、これもいいわー!」


「もっとどんどんいってみよう♪ 次はこっちの黄色のリボン♪」


 と、わいわいとそう着せ替えされながら、ふと窓の外を見ると、「南エニエス新聞ウェスタ支局」という看板が見えて思った。


 新聞社か……さすがにこの今の平和な…見える範囲知る範囲ではファース王国で、何かを起こしたりしないだろう。産業革命前であり資本の原始的蓄積がないし、なによりもそれほど社会に問題が起きていないのにも関わらず、理想を優先していわば内戦を行うのは人々のためにならない。


 私が何かしらの方法でラドクリフに革命の指導を行えたとしても、かつての我が祖国のような焼き直しはしない。すべきではない。


 その土地や文化に合ったものもあるだろうし、我々は上部構造は下部構造である物質的生産力と生産関係により規定される存在だと考えいたが……しかし、今は、パーティーが変質して追放された経験で思った。


 私たちは、その上部構造たる、憲法や法律や民主主義、基本的人権の思想などそれらを、「下部構造によって規定される仮初めのものだ」と軽視し、つまり「権力」を甘く見ていたのではないか。それは政治権力に限らずでなく、あらゆる意味の「権力」を。


 そして、私たちは、「その後に権力を持ち政治を行うのは労働者であるから、民主主義的でないわけがない」と思い込み、「資本」という巨大な化け物を問題にしていたのに、「権力」という巨大な化け物を軽視してはいなかっただろうか。


 人類が「権力」を押さえつけるために発明した鎖……「基本的人権などの民主主義の理念とその手続きを保障する憲法や裁判所」や、「民主主義という、制度としての民主主義と、イズム、思想としての民主主義」を、その中の「自由な言論、自由な集会結社、その自由を護るための法の支配」などの、人類の知恵。


 それらを「ブルジョワ民主主義で仮初めの無価値なものだ」と切り捨てるのは、「権力」を野放しにする事で、その鎖で縛られていない「権力」に魅入られる者が必ずいる。


 理想を持ってやってくる人の中に、「自分が興味があるのは権力で理想など興味は無いが、理想のお題目を唱えて出世し権力者になりたい」という、小説「ジョゼフ・フーシェ」であったような、「新政権」に「権力の亡者達」が群がって、革命をダメにする、という構図があったのではないか。


 アクトン郷が言った、「絶対的な権力は絶対に腐敗する」、この言葉が自分らには当てはまらないと、私達は酷い楽観視をしていたのではないか。


 哲学と経済学により世界を科学的に解明分析を行ってきたつもりだったが、足りなかったモノは無かったのか。


 クロンシュタットの水兵を思い浮かべると、理想のために共に戦った仲間であり、彼らの声を聴くべきことがあったのではないか、強い罪悪感が湧いてくる。


 ただ………それはのちほど考えよう。次はピンクのフリフリのワンピースか。カチューシャもプラスし、髪型はいじられてる感じでは、三つ編みのようだ。


「きゃー!ほっぺ、レニーナちゃんってば、もちもちしてるー♪」


「レニーナちゃんの髪、綺麗ー、良い香りー♪ くんかくんか♪」


「おおおおっ!! これは、リップ塗っちゃっていい? 塗っちゃう!? まだ早いかもしれないけど……この可愛い唇に、ちょっと塗りたい! 塗っちゃいたい!! 食べちゃいたい!!!!」


 身体のあちこちわちゃくちゃされまくり、すりすりくんくんぺたぺたされてる。


 まずは現在直面している深刻な人権侵害を終わらせるべきだ。早急に。本当に。もうちょっと、そこは、恥ずかしいし、もう限界だし……!?


「そろそろもう、だめぇぇっ……! やめてぇぇぇ……!?」


 そういうと、店員A、B、Cがと母の4人は顔を見合わせて……。


「きゃーーーー!! 弱った困った表情も可愛いーー♪」


「どんどんもっともっといっちゃおう! 可愛いの限界へ! それが私たちの使命!! 存在意義!!!! 我らの人生!!!!!!」


 と、目の色がもうかなりイっちゃってる、ラヴレンティと良い酒が飲めそうな淑女達に、大量の服がどさっと積まれ、さきほど考えていた事を台無しするような、いともたやすく行われるえげつない行為が行われた。


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