第31話 ウェスタ市にとうちゃく
森の中を通っていた道が開けるとぱぁっと草原が広がり、高い石壁に囲まれ、建物の塔などがここからでも飛び出して見える、かなり広そうな街が遠くに見えてきた。
ようやく馬車の揺れにもそれなりに慣れたというか、決して快適ではないが、ともかく慣れて景色を見る余裕ができた。
街が大きくなり、風も心地よい。道には石壁に合っている鉄の柵が上がっている街の入り口へと続いていて、間もなく着いて、槍を立ててる衛兵らしき人が「奥さん?!」と言い、誰かに「おい、呼んで来い!」と言った。
そこに荷台から降りた父が「よぉ!」と声をかけ、「あー、呼びにいったのやめてくれ、家族との買い物に来たんでね?」と軽くウィンクした。
すると、「それじゃ、護民官、お通り下さい!」と衛兵が敬礼をし、父が「そうはいかないだろ、規則だから一応一通り調べてな、お役目御苦労!」と言って衛兵の背中をばしんと軽くたたいた。
荷馬車の中が軽く覗かれて、御者席の私は、「えいへいさん、こんにちは!」と笑顔で挨拶した。
「この子が護民官さんの子ですかあ、いやあ、奥さんに似た優しい目をした美人ですねえ」
そう衛兵が言うと父は「うちの娘はお前の嫁にはやらんぞ?」と冗談を飛ばしながら荷台に乗り、「それでは楽しんできてください!」と敬礼する衛兵を背に荷馬車が走った。
舗装されている道路のせいか揺れが少ない、街の規模も小都市という感じで、あっという間に街の中心部らしきとこについて、止まった。
「それじゃありがとうございました、トータさん♪」
「いえいえ、奥さん。それじゃ俺は仕入れとかするので、15時頃またここに迎えに来ます、護民官」
そういうと御者席から私と母が降り、父が荷台から降りると、会釈してまた違う方向へと馬車を走らせた。
「さて、武器屋だったな。しかし、ドワーフか、気の良いやつらだぜ? 会いに行こう」
そう父が言って大通りを進み母と一緒に着いていく。中心部から数軒先がその武器屋らしく、実際看板に「武器防具屋」と書いてある。
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