第22話 せかいについての本
翌日、ヨスタナ師は1冊の本を持ってきてくれた。
タイトルは「各国の制度と歴史(上巻)」、実にシンプルなタイトルで、上巻をまずは読むようにということなのだろうが、だいぶ分厚い本である。内容も期待できそうだ。
これはありがたい、と飛びついて「せんせい! それよませて!」とじたばたお互いソファーのとこで取り合いっこしていたが、慌ててヨスタナ師が「まってまってまって!」という。
「見せるから! 見せないつもりなら、わざわざ持ってきてないでしょ!?」
と至極正当な事を言う。その主張は正しい。だがまず本をすぐにでも読みたい。
しかし、何か注意事項やダメなことがあるか、確認せず飛びついてしまった。確かに私に非がある。なのでちょっとおとなしく、ちょこんとソファに座りソファをぽよんぽよんとしてる。
「レニーナちゃんに見せてあげるけど、でもね、これどう考えても……というか実際に、先生が、講義受けるので使って大学部の授業の教科書なんだ」
と厳しい顔をする。
「だから、もし、読めない、意味が分からない時は、先生教えるからね?」
と微笑みながら良い、「だけど」と前置きした。
「だけど、レニーナちゃんはもうちょっと子供の楽しむのとか友達いっぱい作るのとかも大事だと思うよ? だからこの本を読むのは、家の中でだけ! それにOKなら、分かったなら、はい。これ、貸してあげる」
と群青色の背表紙の本を手渡してくれた……が、重くて、ぱたん、と落してしまった。
「ごめんなさい……あと、うん、いっぱい楽しむ、友達もつくるよ! それならせんせぇ、しんぱいしない?」
と私は言ったが、気が付いたらあざといような、幼児のような、私らしくないような、そういう言葉が出たので、我ながらちょっとびっくりした。
「それじゃ、先生とのお約束、分かったね? それじゃ、あとは自由に読んで、分からないとかったら聞いてね?」
と微笑むとソファーの向こう側で先生は先生で何か本を読んでるみたいだ。
まあ念願の手に入れた世界についての歴史とか制度とか色々なのの本! まあ、大学部で使ってたとか聴いたから、読んだの、あまり難しい内容のとこは、「わからなかった!」ってこう、聞くようにしようと思った。
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