黒崎の虜
僕の名は渡辺 都夢。
ひょんな事から異世界に来た地味系男子だ。僕の成分は両親、趣味、黒崎の三つで出来ている。
産み育ててくれる両親、僕を世界に適合させてくれる趣味、僕の世界を輝かせてくれる黒崎。割合としては四・二・四と言ったところだろう。
学校では良く他の男子からは黒崎になんでそこまでと言われたから説明したけど大概途中で打ち切られる。凄く不満だ。
黒崎と初めて会ったのは中学三年生の受験シーズン真っ只中の夏の暑い日だった。
その頃は勤勉戦隊マナブンジャーにハマってて五教科はヒーロー達のおかげで大好きだったから担任や進路の先生から期待値高くて会うと声をかけられていたんだ。
そのせいでやっかみから不良グループやら成績に悩む奴から眼をつけられたんだが…。
ある日、夏期講習に行こうとして偶然会った不良グループに路地裏に連れていかれそうになった。相手は五人居てお金をセビって来たけど僕の所持金は五百円。暴行を加えられそうなところにヒーローが現れた。
「どけーーーーー!!」
女の子をお姫様抱っこしながら僕の手を引いていた奴の顔面を蹴りつけてそのまま去って行った。
蹴り付けられた奴は気を失って倒れて他の奴らが呆気に取られている隙に僕は逃亡出来た。そして無事に夏期講習の教室に入るとさっきのヒーローが居たから隣りに座ってお礼を言った。
「さっきは助かった。ありがとう。」
「さっき?なんの事だ?それより見た目めっちゃ勉強できそうだよな!コレ、わかるか?!」
それが黒崎との出会い。それからは黒崎の隣りに座り続け、その内家に呼ぶようになってと黒崎にドンドンハマっていった。
決して善人では無いのに何故か人を助ける事になる性質、少し残念なところが愛くるしく頼られると嬉しくなる。そして黒崎といると何かが起こる。こんな存在、ハマるしかない。現に今も異世界に来ている。
本当は黒崎と異世界を満喫したかったところだが、黒崎が蒼井を気にしていたから僕は蒼井と行く事にした。
暫く会えない事は残念だと思っていたが、普通に電話がきた。そして黒崎本人も来た。
しまいにはいつでも会えるようになった。やはり黒崎は予想外の事ばかりで面白い。
「渡辺、ぼーっとしてる場合じゃないんだっ!聖人さんが迫ってるんだぞ?!」
「ん?ああ。」
「ああじゃないっ!何か考えないと殺される!!」
焦る黒崎も面白いな……。
また隣りでこんな姿を見られるようになって良かった。やはり黒崎が居なくてはつまらない。
「黒崎、献上物をつくろう。蒼井関連で。」
「それだっ!渡辺、お前は天才だっ!!」
「僕なんかが黒崎の役に立てるなんて光栄だ。」
「早速何をつく……るか…。」
「見つけたよ?二人共、ちょっと男同士の話をしようか。」
「ヒッ!!」
ああ、怯える黒崎とかレアだな…。




