天の集落の得
「黒、動かない。」
「藤崎、無理言うな。俺がどれだけキツイ体勢をしていると思ってる。」
「はやと君の腕プルプルしてるね~。頑張ってっ!」
「黒崎、僕はこの日の事を生涯忘れない。」
「俺は直ぐに忘れたい。」
像の為の絵は無事に書き終えた。
無事に終わった事は良かったんだが、藤崎には俺の構図は少し気に入らないものだったらしく像用の絵を渡した後に少しむくれながら言った。
「黒は少しモデルの気持ちを分かった方が良いと思う。という事で黒の書いた絵、再現して私達が描く。」
全力で回避できないか悩んだが渡辺が食い気味で了承し藤崎から逃がさないぞオーラを出され諦めた。
ちなみに今とらされてるポーズは仰向けに寝転がる渡辺の上で腹筋のポーズ。絶対に腕は曲げられない。唇まで十センチの距離を縮める訳にはいかないんだっ!
「藤崎っ!まだか……。このままだと俺の唇が渡辺に奪われるっ!」
「黒崎なら仕方ないな。」
「渡辺、黙ってろ。」
藤崎は俺の描いた構図全てをやらせる気らしく後三つ際どい構図が残っている。俺は耐えられるだろうか…。
「こんなもん需要なんて無いだろ。」
「黒、商売は男としかできない訳じゃない。」
「やめろっ!異世界を腐らせるなっ!!」
「「あっ。」」
俺と渡辺はキスはレモン味じゃない事を知った。もうヤダ帰りたい。
「黒、ごめん。からかいすぎた。」
「げ、元気だしてっ!」
「黒崎、初めての相手が僕になるなんてな。三角座りもちっさくていいな。」
「渡辺、もう黙ってくれ。」
俺のファーストキス…。清楚美少女と放課後の図書館でなんて憧れた、俺の……。
(チュッ。)
「げ、元気だしてっ!」
「夢花…。」
「ほ、頬っぺだけだけなら…。」
「聖人さんに知れたら殺されるっ!」
「黒崎、安心してくれ。写真にはおさめた。」
「馬鹿野郎ー!!」
何やかんやあって結局俺と渡辺のBL画は売られた。集落の女性達に、藤崎と夢花に負けない金額で。必要の物は買ったしお金も稼いだから俺達は家に帰ることにした。俺はもう天の集落に来ることは無いだろう。
コワイ。なんか変な視線感じる。女性陣はキャッキャッ言ってるし男性陣の中に変な既視感のある視線を感じる。俺のトラウマが…くっ。
「渡辺、少し距離をとって歩こう。集落を出たら普通でいいから。」
「黒崎がそうしたいなら仕方がない。」




