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天の集落の中の二

美術2……そんな評価、ただの学校の基準に沿ったものでしかない。そんなもので俺の才能は決めつけられないはずだ。

そう、かのピカソだって紙一重じゃないか。そしてここは異世界。美的センスが不明な異世界。ワンチャンあるはずだ。


題材は夢花と藤崎なんだ。今までたくさん見てきたんだ。いける。想像力を働かせるんだ。そう、見てるものが全てじゃない。



「夢花はクリクリとした瞳、懐っこい性格…まるで犬!小型犬!!藤崎は……猫だな。よし、イメージ出来てきた。」


中々いいんじゃないか?

いけそうな気がする。


「……なんだそのラクガキは。そんなものを私達に出すつもりか。」


「フッ……これはまだラフだ。目にもの見せてくれる。」


さてどうする。ラクガキ…俺の絵は受け入れられなかった……。無念。

そういえば渡辺はどんな感じなんだ?


「渡辺、調子はど……。」


「黒崎、見てのとおりだ。僕としては普通に描けていると思うんだが。ん?黒崎はやはり天才だな。」


「いや、うんサンキュ…。」


渡辺の絵、ポーズとかは完璧なんだが人形みたいで生きてる人間を描いてる感じでは無いな。そして顔、何故そこまで描けて顔が棒なんだ。

目鼻、口、眉毛、全てが一本線。


「渡辺…絵上手いな、顔以外。」


「黒崎、褒めても何も出ないぞ。そうだ。黒崎を描こう。」


「え。いや、俺はいいや。」


「遠慮するな。黒崎を描くことが出来る栄光をくれ。」


「渡辺……マジか…。涙が出そうだ。何で……何で俺だけ顔がまともなんだっ!」


「ん?黒崎、僕なんかの絵ではやはり黒崎を表現しきれなかったか…。黒崎はこんな素晴らしい絵を描いているからな。そうだな。」


「いや、違うから。てか俺の絵が渡辺にはどう見えてるんだ?!」


「ん?素晴らしい絵だが。」


「分からん…あ、渡辺目線の俺の絵を描いてみてくれないか?それで分かる。」


「分かった。」


あんな絵を描く渡辺が本当に俺の絵がそのまま見えているはずがない。絶対になんかフィルターがかかってるはずだ。


「こんな感じだ。」


「渡辺…お前……マジで天才だ。」


「ん?何だ。完成したのか…………何だこれは?!」


俺案、渡辺作。俺の目には完璧に思えるがこの世界では受け入れられなかったか……。


「何て素晴らしい絵なんだっ!!姫君の魅力を完璧に表現しているっ!!これは買い取ろう。いや、買い取らせてくれっ!言い値で良い。いくらだ?!」


勝った!俺と渡辺は人権を勝ち取ったんだっ!!


「渡辺!やったな!!」


「うむ。黒崎はやはり凄いな。」


「いや、凄いのは渡辺だから。」


「盛り上がってるところ悪いけど。黒、構図についてちょっと異議あり。エロ絡み禁止。その絵は没収。」


「「「「「「「「ええーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」」」」」」」」


その後、男共全員で藤崎と夢花に土下座して絵を売った。

幻の構図として素晴らしい収入になった。まぁ今後禁止されたもんな…夢花に馬乗りになる藤崎。


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