水の集落の後
男臭の霧からの槍使いからの実践。
渡辺も通った道を俺も今から通る訳だが、普通にスパルタだよな。
「黒崎、僕は予約の消化をしてくるから寂しがらないでくれ。」
「いてら。」
猛者に向かう渡辺を見送り俺は俺に相手に集中。彼は胸の前に夢花の写真を掲げて俺を待っている。
「姫会会員ナンバー五十七。勝利の暁には我が姫に花を捧げる!」
「姫会って言うんだ…。」
「おい、名乗りを上げろ。」
「あ、えっと…我こそは姫の騎士なり。立ちはだかる者に容赦はしない。…恥っず!」
「何が恥ずかしいのだ。我々が考えた戦いの前の神聖なる言葉だ。」
渡辺…何故これを拒否しなかったんだ。普通に恥ずかしいだろ。もっとカッコイイ言葉があっただろ…。なぁ…渡辺。
「行くぞっ!我こそは姫の騎士なりっ!立ちはだかる者にはー容赦はしないっ!」
普通に言ってる。裏切り者めっ!
「行くぞ。新たなる騎士よ。」
五十七の人が距離を急激に詰めてくる。槍だから接近されるのは不味い。相手の武器は双剣だし相性も最悪だし。
横に払って過度に接近されるのを防ぐと横に跳んで後ろにまわろうとする。すばしっこい。
「はははっ。あまいな。」
いや、俺さっき指導されたばかりだから。貴方熟練者ですよね。
「黒崎、言い忘れた事がある。」
「な、なんだ?」
「負けると藤崎と蒼井の前で一芸しなくてはいかん。」
「先に言ってくれー!負けてたまるかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ふんっ。気合いが入ったみたいだな。」
気合い?そりゃあなぁ。そんな罰ゲーム絶対やりたくないに決まってるだろっ!なんの地獄だ。
「ふんっ!」
「くっ。ちょこまかウゼー!」
五十七番強ぇな。全く当たらん。
だけど槍にしか注意してないし素人丸出しの俺を完全になめてる。つまり、勝てるな。
「ふんっ。この程度で勝てると思うなよ。」
「お前がな。くらえっミント水!」
「ぐあっ!め、目がー!!」
「からの金撃ち!」
「ぐっ…………。」
「ふっ。他愛もない。」
勝った。まずは回避。だけど次のやつからは手こずるか。
試合を観てた奴らは予想外って顔してるな、真ん中をおさえて。男の急所は変わらん。許せ。
「さて、次はどいつだ?」
結果、何とか五戦全勝。渡辺は八戦全勝とはいかず一敗。まぁ俺とは全然レベルが違ったけどな。
「があはっはっは!坊主やるなぁ。次はやり合おうや。」
「いや、遠慮しとく。」
「強くなりたいだろ?」
「いや特に大丈夫です。」
こんなムキムキのゴリラ相手になんてできん。渡辺凄いな。




