水の集落の前
「や…やっと着いた……。」
やって来ました水の集落。着くまでにシャドーと五回は戦ったわ。これだけ襲われるともう慣れた。今の俺は凄腕ガンマーHAYATOだ。
それにしてもなんだが……。
「これ、どうやって入るんだ?」
「ビックリするよね~!」
目の前には水の集落。
どうやってるのかは分からないけど半ドーム型の水の中に木で出来た街がある。…腐らないのか心配。
「俺、この中に入ったら死ぬんじゃないか?」
「黒崎のそんなところを僕は可愛く思うよ。目の前にいる門番に許可をもらえば大丈夫だ。」
「何が。」
とりあえず門番に街に入りたいと言うと常連の三人にフレンドリーな挨拶をした後に首輪を二つくれる。
「あ、もう一個欲しいな~。」
「ん?この坊主混ざり者か。ほら。」
「混ざり者って…ハーフとかもっと良い言い方が無いのか…。」
「気にするな。この首輪を付けて中に入れば息がてきる。黒崎の為に僕が先に入っても良い。」
「いや、大丈夫だ。藤崎は…要らないのか。」
ちょっと不安だから指先から入れてみると水の中みたいに冷たいなんてことも無いし抜いた手は濡れていない。
なんとも不思議な感じがする。
「はやと君遅いよ~!」
「うわっ?!」
夢花が背中を押してきたせいで全身が街に入った。すると首輪から上がシャボン玉みたいな感じの膜に包まれて気分は何だろ…マリンスポーツであるアレ。名前が出てこないな。
「おうっ!嬢ちゃん達来たのか!」
「おじさん、こんにちわ~。」
「相変わらず可愛いなぁ。後で店に来るんだろ?待ってるよ。」
「はーい!」
「黒崎、今のは魚屋の親父だ。」
「そうか。」
めちゃ馴染んでるな。
進む度に話かけてくる。主に夢花に。
藤崎には好意的な視線は多いが、性格的に夢花みたいにはいかないだろうから話しかけ来るのは数人か。
渡辺には一人も話しかけて来ないな……。
「渡辺、お前は馴染めていないのか?」
「黒崎、僕に蒼井みたいなコミュ力は無い。つまり、ここは教室の中と一緒だ。」
「なるほど…関われば話すが率先しては来ないか。」
通常運転て事だな。理解、理解。
ただ少し理解が出来ない事が一つ……。
「渡辺、話しかけては来ないのにさっきから街の男から何を受け取ってるんだ?」
「ああ…これは予約カードだよ。後で別行動するから黒崎も来るか?」
「おう。」
買い物が一通り終わると夢花と藤崎をカフェに置いて俺と渡辺は路地に入った。迷うことなく進んでいく渡辺について行くと少し開けた場所に出て何だか男達がたむろってる。
「遅いな。」
「すまない。早速やろう。」
渡辺がスッとポケットから出したのは十枚の写真。写っているのは夢花と藤崎…?
「きょ、今日は多いなっ!」
「今日こそは手に……。」
んーなるほど。コレには覚えがあるな。理解したわ。
「渡辺、コレは本人公認なのか?」
「公認な上に本人が厳選している。収入源の一つだよ。」
「じゃあいいな。」
次々に競売にかけられ写真は生活の糧となっていく。一応変な事には使わないように渡辺が釘を刺してるけど、男の子だもん。って事だよな。
やー水の集落、俺も馴染めそうだわ。
「そうだ、黒崎。この後も付き合ってくれ。」
「今度はなんだ?」
「儀式みたいなものだから大丈夫だよ。」




