久しぶりの再会よりも
約半年ぶりに会った渡辺。角刈りと丸眼鏡がトレードマークの渡辺。
風呂の中だから眼鏡無しで角刈りだった髪が少し長くなりよく見ると細マッチョ化している。
「お、俺の渡辺が死んだ…。」
「黒崎、そんなに僕という存在が世界にとって損害なのか?!僕は黒崎が大好きだぞ。」
「ああ…やっぱり渡辺生きてたわ。ありがとう、ありがとう。久しぶりだ。」
「よく分からんが、久しぶりだな。早速だが、ここは風呂だ。裸の付き合いといこうじゃないか。」
「そうだな。だがその前に聞かせてくれ…。女子風呂は……繋がっているのか……?」
「黒崎、繋がってないから俺の裸はお前だけのものだ。」
「渡辺、お前にはガッカリだ。」
一通りの儀式を終えて服を脱ぎ身体を洗い一緒の湯に入る。壁から浴槽まで全てが木で造られた風呂は普通の体型の人なら三人は入れる位のサイズ感だから渡辺となら狭くは感じない。
確か渡辺達が選んだ異世界は人間が居ない代わりに他の知的生命体が居て、空と海中に居るはず。じゃあ陸地はどうなんだって話だけど…。
「渡辺、この世界ってどういうところなんだ?」
「そうだな…まず人間は居ない。その代わりに居るのが雲の上で暮らす天族と海中で暮らす水族だ。地上にはその二つから追われた罪人やらが住んでる。
ちなみにこの風呂は地上にある。」
「え゛っ。それ、危なくないか。」
「来たばかりの時、地上の何も無い場所からスタートだったんだが何とかなった。今はそんなに危険は無いと思うが安心しろ。黒崎は僕が護る。」
「渡辺…。」
そんな事言われても惚れないよ。
めっちゃカッコイイけどな。
渡辺から色々聞いて俺の異世界生活についても話をしてとしていたら長風呂になった。ほぼ茹でダコ状態で風呂から出るとスマホには聖人さんからのメッセージやら着歴やらがたくさんきていた。
完全にやらかしたよ……。いや、シュンが状況説明してくれてる。大丈夫、大丈夫だからメッセージは…ああ、最後の<取り敢えず連絡を>に怒りを感じる。
「渡辺、緊急事態だ夢花に会いたい。」
「ああ、藤崎と蒼井ならば何処かで寛いでるんじゃないか?」
「よし、早く会いに行こう!」
「黒崎…くっ、緊急事態なら仕方がないか。」
「うん、うん、元気でやってるよ~。じゃあ、またね。」
神様、女神様、夢花様。ありがとう、ありがとう。
聖人さんをお怒りモードから溺愛モードに変えてくれる唯一無二の存在が尊い。
「黒は久しぶりでも変わらないね。」
「はやと君あまり久しぶり感ないよ~。」
藤崎も夢花も変わらないから人の事言えないと思う。髪が少しのびたくらいだ。
それにしても、落ち着いてみると立派なログハウスに女子と三人暮らしとか何だか渡辺が羨ましいな。




