これにて落着
神罰とは、神が下す罰。又は神から下される罰。
つまり目の前のおっさんは神では無いから神罰を下す事はできない。なのに高らかに宣言して囲むように周りにいる大量の神職者もそれをおかしく思っていない。
「何をもって神罰と言ったんだ?」
「…許可もなく喋り出す無作法者よ。理解ができぬか。」
「まず、おっさんは誰。」
「おっさ…我はメルターナ七世。教会の頂点に立ち神の代弁者たる神獣様より直接お言葉を賜れし者。我の言葉は神獣様のお言葉、我の行いは神の御心。」
「つまりは司教のトップ?」
「…頭の悪い者との会話は疲れる。罪状を述べよう。そなた達はあろう事か神獣を誘拐し危険な目に遭わせた上に信仰の要たる十字架を奪うという悪逆非道な行いをした。よって、その身に神のギロチンを受け斬首し、神の加護を受けし現世からの追放を命ずる。」
殺されようとしてる事以外がまったく分からん。冤罪でしかないな…いや、十字架の件は俺達だけど。
あの聖人さんと奈那葉でさえ整った顔を歪ませてる。頭おかしい何だかデジャブしたわ。トキはなんでコレを放っておいてるんだろう…?
このおっさん神獣の声聞けるとか本当は嘘なんじゃ…。
「それが嘘やないんや。」
「うおっ!びっくりした…シュン、どうやって来たんだ?しかもタイミングバッチリだし。」
「教会は庭みたいなもんや。」
「なっ!し、神獣様?!何故その罪人の肩などに?!警護は何をしている!!」
「アホやな~。ワイは自分で抜け出したんやで?警護なんて居らんようなもんや。」
あ、その場が凍りついた。
まぁいきなり神獣様の声が聞こえたんだもんな。意味がわからないよな。あ、聖人さんの合図だ。逃げる準備しなきゃ。
「教会の皆さん、神獣様のお声は誰もが聞く事が出来るものです。今まで皆さんに聞こえなかったのは、十字架にそのような効果があったから。そして、教会のトップは自分達が特別な存在とする為に故意にそうした…。」
「う、嘘を申すなっ!罪人の言葉に耳を貸してはなりませんっ!」
「では、神獣様のお言葉ならば信じて下さいますか?」
聖人さんがシュンに目配せするとシュンは神の像の肩に移動する。威厳を出す為にね。
「この話は本当や。その証拠に十字架の無いもんはワイの声が聴こえとるやろ?ええか?よく聞きや?
ワイは今回、女神様の指示で教会から抜け出したん。罪人言うてるあの三人は協力者や。なのにワイ等を誘拐した言うて捕まえとる。
戻ってからちゃんとその男に説明したのに、聞こえるのが自分だけだから都合の良いようにしたんや。
トップと教会の体制、この二つ変えなワイ等は出てくで。」
この一言が決定打になった。
シュンの言葉を聞いて傍観してた奴らは殺気立ってナントカ七世に掴みかかって大混乱。
てな訳でその間に俺達は逃亡。
巻き込まれたくないし、正直早く風呂に入りたいし、美味しいご飯が食べたい。




