腰、逝かん
「っあ゛~。っあ゛~ィぃ。」
尻を狙われて心に傷を負った俺は思った。外は危険だ。しかし異世界彼女は欲しい、だが危険だ。
まずは戦闘力を上げよう。という事で引きこもり筋トレ。
ランニングマシンで逃げ足を強化、ダンベルで伸びてくる手を阻止できる腕力を強化、腹筋ローラーで女子も色めくシックスパックを手に入れれば怖いもの無し。
「キャラ変には早いと思う。」
奈那葉には理解され無かったけれど俺が求めてるのはまだ見ぬ俺の彼女だから問題無い。
ちなみに聖人さんはノリノリで協力してくれた。
「息子が居たら一緒にやってみたかったんだよ。」
正しいフォームで出来ているかみてくれたり食事内容もタンパク質多めのヘルシーなものを用意してくれる。
今は四日目、筋肉痛で悶絶するけど俺のモチベーションはまだまだ高い。
しかし、そんな時こそ事件は起こる。
「ぎっくり腰だね。」
「…その歳で。」
「ぃ゛痛ぃ゛…。」
まだ十代なのにぎっくり腰…。
暫くベッドの住人。
「動けないだろうけど無理に何かしようとしたらダメだよ。だけど寝たきりも良くないから様子見ながら動かしていこう。」
「…痛いから動きたくない。」
「動いた方が治りが早いよ。」
「グアッ!ギブギブギブギブ!!」
「まだ大丈夫。まだ大丈夫。」
聖人さん以上に怖いものは無い。俺の認識は塗り替えられた。聖人さんに比べれば誘ってくるだけなんて何ともない。実被害もないんだからっ!
「もう一生ぎっくり腰なんてかからない…。」
「聖人さんのおかげで早く治って良かったわね。」
鬼様のおかげで一週間で痛みは無くなった。原因と思われるトレーニンググッズは早々に収納。
いつもの生活が一番だよ。凄く身に染みた。
そしてタイミングを見計らったかのように届くトキからのメッセージ。
“逃げた聖獣を捕獲せよ トキ”
もうトキペディア有りきだろ。
まず聖獣って一種じゃないし、逃げたって教会が探してるはずなのに何故俺に?
しかも教会は絶対に対外的に知られたくないから聞いても知らばくれる上にそんな事聞いたら怪しまれて捕まりそう…。
とりあえず、トキペディア観るか…。
■トキペディア
聖獣
聖なる力を宿す獣。
ミミンガ、ブヒーシシ、悪食バク、透過ワシの四種がおり、透過ワシとミミンガは教会から逃亡した為、現在二種のみ教会で保護されている。
二種類!教会何やってんの。しかも厄介な種類逃がしたな…。
透過ワシってその名の通り透明になれるワシらしいし、ミミンガは素早すぎて止まってないと姿を見れないって知識にあるんだが。
あ。トキペディア今回は画像付きか…うん、元の世界のワシと孔雀が合体した感じが透過ワシで兎とモモンガが合体した感じがミミンガか。
「これ…どうやって探すんだよ。」
捕獲の仕方とか検索したら載ってないかな…。
■トキペディア
聖獣捕獲器
材料:木箱、毛皮、偽装の石、結界の石、捕縛の魔法陣
後半は知らないものばっかり。
もう諦めていいかな…。
とりあえず心強い仲間達に相談する事から始めよう。




