デプンの街
家も出来て快適な異世界生活がリスタート。
いや、元々それなりに快適だったけど家って大切。そして聖人さんマジで嫁にきて欲しい。
ちゃんとした知り合いが出来た事で三人で再度会議、単独行動を良しとした。という事で、慰謝料使って聖人さんと奈那葉にも大変便利な収納をプレゼント。慰謝料はまた残が四に戻った。
安易にやりすぎだと奈那葉から怒られたけど二人共に嬉しそうだから気にしない。
「やってきましたデプンの街っ!」
プクンの隣りの街、前に来たのはサラダボウルの赤として悪徳商人…ブ、ブ~ブリッコ?まぁそんな名前の奴を懲らしめに来た時。だからちゃんと街を観光するのは初めて。
ちなみにプクンからは歩いて半日程だけど新しく得た“何処でも行けーる”で一瞬で到着。人目につかない街の外の木の影に移動したので今後も安心して使えそう。
「昼ってこんな感じなんだな…。」
前は活動が夜だったから昼間の様子はあまり分からなかった。街だけあって栄えてる。栄えてるけど何と言うか…濃い。
何が濃いって目の前で繰り広げられている寸劇。
「あ~麗しの君よ~♪君が微笑みをくれるのならば俺の全てを捧げよう~♪」
「なんて素敵な紳士なの~♪貴方の隣は私のものよ~♪」
「「二人の聖地はすぐそこに~♪」」
この流れがただのナンパだなんて信じられない。
いきなり男の人が女の人の前に膝先づき手を差し出したかと思えば歌い出し、それを受けた女の人も歌いながら
その手を取る。そして二人は目の前のカフェにご入店。
コレ、一箇所じゃないんだぜ?見える範囲に三人いるんだ。
「夜はそんなんじゃ無かった…はず。」
「この街は初めてかい?」
「…そうだね(これを見たのは)初めてかな。」
「そりゃー驚いただろう。この街では目のあった女性を口説かないのは失礼になるんだ。」
「マジか…。おっちゃんも売る度に口説いてんの?」
「 ふっ…俺にはかあちゃんが居るからな。そんな事は出来ん。ほらっコレが既婚者の証なんだ。」
串屋のおっちゃんは右耳に着いたリングピアスを触って教えてくれた。
金は既婚者でシルバーはパートナーが居る証らしい。
「ちなみに左耳に赤いリングピアスをしてる男には気をつけな。」
「え?」
「尻の無事が保証されねぇ。」
な、ナンダト。
そんな最重要事項を教えてくれるなんておっちゃん…!
「ありがとう、おっちゃん!串焼き一本…いや、五本くれっ!!」
「毎度っ!」
今はまだ昼前、時間はたっぷりある。
串焼きを食べたら俺の姫を探しに行こう。掘師に注意しながら男達を良く見て、俺も仲間になるんだ。
「ねぇ君、いいモノ持ってるね。」
「いえ、自分そんな事ないっス。」
撤退。
「あ、ちょ、ちょっといいかな。」
「全然良くないデス。忙しいデス。」
逃走。
「おお…なんて素敵なヒップラインなんだ…。」
「気の迷いぃぃぃぃぃぃぃ!」
バックドローーーープ!
「こ、怖いよぉぉぉぉ!おっちゃあぁぁぁぁん!!」
お、俺がなりたいのはソノ仲間じゃないんだーーーーーーーー!
「あれ、お帰り。早かったね。」
「ただいま…聖人さん。ごめん…ちょっと疲れたから寝てるよ。」




