俺、出る幕なし
「重ねる。隠している物を出しなさい。」
「なっ、何だ身体が勝手に?!」
あ、格下認定されたみたいだな。これの基準本当に気になる。
女将さん達には隠してたから驚いて…はいない?
「便利な物をホイホイ出す人物の仲間がマトモなわけない。」
あ、そうですか。
さて、大きな木箱が床から出てきたけどコレが欲しかった資料かな。後はポケットから出された石は何だか分からないけどもとりあえずそこまでにして欲しいよね。
「おじさんの隠されたナニ何て見たくもないから脱ぐの止めてくれ。」
「ハッ!」
奈那葉がボーッとするなんて珍しいけどストリップショーは是非とも綺麗なお姉さんにして欲しい。
「「最低。」」
「……口から出てた?」
((((コクリ))))
「ん゛っん゛ん゛。と、とりあえず木箱を開けたいけどアイツどうする?」
「や、やめろっ!近づくなっ!」
ん?見えない壁があるんだから近づけないだろ?ん~?
「緑、シューティングを。」
「了解。シューティングッ!」
「うわっ何だ冷た…イ、あ痛……。」
いつの間にか壁が無くなったのか。名無、成仏してくれ。男としてはその言葉にならない。
「縛るわ。」
悶えてるところを気にせず拘束しにいく奈那葉は強者だなって思う。
「くそっ触るな穢れるっ!この屈辱忘れんぞ。もうすぐ奴が来る!首でも洗って置くんだな。」
「誰が来るんだね?」
あ、俺達の待ち人が先に来たみたいだな。素晴らしいタイミングすぎて出てくるタイミング計ってたんじゃないかと思ってしまいそうだ。
「フ、フラウア侯爵…何故此処に……。」
「招待を受けたのでな。娘と共に邪魔させてもらったよ。」
「キャノーラ侯爵お久しぶりですわ。」
「き、貴殿等を招待した覚えは無いっ!、勝手に屋敷に入ってくるなど非常識にも程があるぞ!」
「招待を受けたのは彼等にだよ。」
「なっ?!」
はい、その通りです。
商人くらいまでなら何とかなるけど貴族はヤバい。権力者に無権力者が物申すのは無理。ならば権力者にやってもらえばいいじゃない?
「我等の領地は隣りあっている。そして、このモチチの街は共同経営地。貴殿の領地での事なら私にはどうにも出来ん。しかし、共同経営地では話は別だ。まさか頭を悩ませていた人身売買に絡んでいたとはな……。」
「ご、誤解だ。私は何も知らないっ!」
「まぁっ!知らないだなんて…。ではコレ、なんでしょうね?」
「っ!」
木箱を開けるとお嬢様が中の書類を手に取った。どうやら良い証拠が出てきたみたいだ。俺達の仕事はここまでかな。
「そ、わ、私を潰して何の得があると言うのだっ!」
「この街は私の単独の領地の一つになり、陛下の印象も良くなる。領地の大幅な拡大もあるやもしれん。何より信用ならぬ隣人が消えるだけでも負担が軽減され街も浄化され良い事しかなかろう。」
「くっ…ふっ……私が無事に帰すとお思いか?」
あーそう言えばさっきから奴が来ればとか言ってましたわ。その奴ってやっぱり激強のボディーガードみたいな感じだよな。でも来るの遅くないか?
「そう思って私達、とても心強い方を雇いましたの。入ってきて。」
「んなっ!何故お前がそちら側に立っているっ!!」
「ご機嫌よう元旦那様。私、お金の払いが良くて虐待もしない生活の保護もしてくれる大変好条件な旦那様を得ました。その旦那様から今までの御礼をしても構わないと言われてます。たっぷり御礼しますね。」
まるで夜のお店から出てきたようなエロメイド服…。いやとてもお似合いデスケドモ俺には刺激が強すぎて直視できん。タプタプ揺れてる……。フェ、フェロモン凄い……。
((ダンッ))
「い゛っ!」
りょ、両足が…奈那葉とミントの視線が…スパイシーも男なのに何で俺だけ……。
「あら、あの石は…共同経営が成立した際にお渡しした我が家の護り石。床に転がしておくなんて…回収させてもらいます。」
「あっ…。」
護り石…アレが壁をつくってたのか?そんなのつくれる力を持つ人間がいるのか。羨ましいな。




