正義の味方
「甘いだけじゃ物足りない、少しの酸味は恋の味!気高き白、エンジェルエイト!」
「す、全てを包み込む包容力。旨味も愛情もこの手の中にっ!調和の緑、プチヴェール!」
「太陽の色を身にまとい、ここに希望の光を灯さん。導きの黄色、アンサンブル。」
「例え姿は違えども、想いは仲間と共にありっ!異端の黒、シャドークイーン!」
「変幻自在。隠しきれない存在感っ!情熱の赤、サンストリーム!五人揃って…。」
「「「「「悪と戦う正義の味方、サラダボウル!」」」」」
よしっ。ボージングも完璧だ。何処に出しても恥ずかしくない戦隊ヒーローだな。
今は祭りから三日後、噴水の地下で義賊団の人達と聖人さんに俺考案の戦隊ヒーローのお披露目中だ。
白は奈那葉、緑はミント、黄は女将さん、黒はスパイシー(女バージョンだから)、赤は俺。衣装は俺の血からでお取り寄せ、セリフと名前も俺が考えたけれど女将さんが入ったのは大人の事情。
話し合いを進めていく内に義賊団が直接的に人を襲い傷つけるのは宜しくないという話になった。そこで俺が提案したのが正義の味方が悪に鉄槌を下すという案。
これに皆が賛成したから俺の中の正義の味方、戦隊ヒーローの話をした。即立候補したのがスパイシー、俺の推薦が奈那葉、奈那葉に巻き込まれたのがミント、五人だから後一人どうするかは正直悩んだ。
「子供ばかりでやらせる訳にはいかないよ。」
「じゃあ聖人さん入れれば」
全力で顔をそらされた。
そこで立候補してきたのが女将さん。
「私が一緒なら安心だろう。」
「「「え……。」」」
俺と奈那葉と聖人さんは目で会話をした。不味いんじゃないかと。
女将さんはお婆さんとまでは行かないけれども熟女枠。そんな人に戦隊ヒーローをやらせるのかと。しかし、他の人達は女将さんがいれば何があっても大丈夫と採用方向に進んでいる。
そして俺達はソレを覆せなかった。
「これがその戦隊ヒーローの衣装かい。こんな布初めてみるけど上等な物みたいだねぇ。中々面白いデザインだ。」
戦隊ヒーローの衣装を配った時、女将さんノリノリだったからもう諦めがついたよね。後は完璧に仕上げるだけだ。
ちなみに直接的な攻撃手段がない俺と奈那葉は俺の力で出した電動ガンを所持。バッテリーは二つ用意して何とかソーラーでやっていく。
女将さんとスパイシーは義賊団なだけあって戦闘スキルが高いから大丈夫だしミントにはスプレーボトル。本人は無自覚で発見したのは聖人さん。
「ミントは戦えるのか?」
「私はこ、拳で頑張る…。」
「ミントの力は荒事に向かないからな。私が護るから大丈夫だ。」
「因みにどんな力なんだ?」
「スーッとするお水が出せるの。飲んでみる?」
ミントがコップに出した水を飲むとスーッとした清涼感があった。
「これ、ミント水ね。」
「ミント水?夏に出すと皆喜んでくれるの。」
「んー。ミントちゃんはコレ濃度を変えて出せる?」
「できますよー!飲めたもんじゃなくなりますけど。」
「なるほど…。まず、このミント水の効能は整腸、殺菌、抗菌、美肌、虫除けかな。」
「え?」
「濃くしたものは人にかけると危ないから気をつけてね。特に傷や目とかの粘膜につくと最悪だね。」
「あの…。」
「僕は少し鑑定が出来るんだよ。」
この後その場にいた女性達がミント水を求めてミントに詰め寄り大変そうだった。
ちなみにミントスプレーはちゃんと実験した。犠牲になったのは数名の勇気ある義賊団員さんだ。




