祭りとハバちょと月華美人
聖人さんと奈那葉にたっぷり説教された。
聖人さんには自分から危ない人に接触しに行かずに何故大人にきちんと知らせなかったのかと言われ謝り続け、奈那葉からは無事なら何故直ぐに連絡して来ないのかとトキから貰った力をこういう時に使わなくてどうするのかと言われた。
「…奈那葉だって使わなかったじゃないか…。」
「私が使おうとしたらはやと君が前に立ったの！」
説教の時間が長くなった…。今後は黙って聞いていようと思う。
説教タイムが終わったら三人でミントを探しに行った。広場にスパイシーと居たから声をかけたら何だか暗い顔をしていた。
「その…スパイシーがいきなりごめんね。」
「ミントが謝ることはないさ。」
「でも……聞いたんでしょ？」
「まぁ色々。だからこそミントが気にすることは無いと思ってる。」
「ありがとう…。」
「ほらな。はやとは気にしないだろ？」
「いや、スパイシーは気にしてくれ。」
「まっ悪いようにはならなかっただろ？」
確かに町の人達がギラついた目で見てはこなくなったし、むしろ少し優しい視線を送られてる気がする。
「まっ、とりあえず今からは祭りを楽しむべきだ！」
何だかな……。一番気にして欲しい奴に言われるのがな…。まあ、確かにそうなんだけどな。これ以上スパイシーにやきもきしても仕方がないか。
「良いもんみせてくれるって言ってたけど、俺達まず祭りの詳細知らないんだが。」
「「え？」」
「え？」
「僕は八百屋さん達に聞いたよ。」
「私はミントから聞いたわ。」
「……俺だけ？」
アレ、アレアレ。八百屋さん達ともミントとも絡みがあったはずなのに何で俺が居ないところで…。俺だけ…。
「あ、あ～はやと。私が説明してやるからさっ！満月の収穫祭は三部あるんだ。
一部は朝から始まって音楽を奉納した後に広場に植えてた作物を刈り取り町中に隠す。昼に西、南、東、北の順に隠された作物を探し奪い合うんだ。ちなみにトマトを投げて攻撃可能な。
作物を手に入れた奴は一年病にはかからないって言われてる。
二部は夜から始まって噴水回りを酒樽で囲み広場で育てた月華美人を酒に浮かべる。奉納の舞をした後に皆に振る舞われ、酒を飲むと幸運が舞い込むって言われてるのと酒に浮かべた月華美人は媚薬効果があるらしくって争奪戦としてスピリッツのショット大会が開かれる。
これは今からみれるからな！
三部がお楽しみ！本来村人しか参加出来ないけど特別に許可貰って貰ったんだ。期待しててくれ！ちなみに町外不出だから二人も知らないはずだ。」
二人共頷いてるから本当に知らないんだな。でも、良いのかな…俺達部外者なのに。
「御三方は良いって父さんに言われてるから気にしないで下さい。さ、そろそろ始まりますよ！」
広場の噴水周りには酒樽が並んでいる。人が集まる中を颯爽と中央に向かって歩く巫女さんみたいな衣装を着た女の人は美人だ。皆の視線を集め、先端に鈴のついた双剣を振る姿は神聖さを感じた。
その後のスピリッツのショット大会がそれを台無しにしてたけどな。明日には広場がゲ●まみれになってるんじゃないかな。
「さて、お待ちかねの三部は月が真上にきてからだ。」
