ドーベルマン系女子
「…ん。あったま痛…。」
なんかめっちゃ頭痛い…。なんかクラクラするし何だろ。何してたっけ…。
「確か祭りで奈那葉とミントが絡まれて…ん?ここ何処だ?」
暗いしカビ臭い…。木の箱たくさん積まれてる…倉庫…?
「何でこんなとこに居るんだ?」
俺、どうしてたんだっけ?
確か祭りで奈那葉とミントが絡まれてアイアンハエたたき出して…?
~ミント&奈那葉が絡まれた直後~
「何ですか?そこどいて下さい。」
「おお怖い。ははっ気が強い女は好きだぜ?ちゃんと従うなら痛いことはしないから安心しろよ。」
「あの、その二人は俺のツレだから他あたってくれない?」
「ん?男には用はないんだよ。」
「そうだそうだ!お前はとっとと失せなあ。」
「ふっ失せるのはお前らの方だ。とっとと「とっとと失せなっ!」…?」
「神聖な祭りを荒らす奴ぁこのミント様がお仕置きしてやらぁ。覚悟しなっ!」
「だ、誰?」
「おいおい気が強いにも程があるぜ?そんな口きいて余程可愛がって欲しいみたいだなぁ。女だからって手加減はしぐわいっ…。」
「あ、兄貴?!ぐはっ…。」
「コノヤロー!」
強っ!何だこの子めちゃ強い。
ミントと奈那葉に絡んできたゴツイ三人組を素手で倒した。俺…アイアンハエたたきで戦おうとしてたのに…。
「強いですね。」
「あ?おう。あんなんには負けねぇ。お前も大丈夫か?」
「あ、はい。」
「なら良かった!ったく。私のミントに絡むなんざふてえ野郎だ。」
「ん?ミントの知り合い?」
なんかモジモジ言いにくそうな感じを出してるけどどんな関係だ?小さめで可愛い顔のポメラニアン系女子と凶暴ツリ目のドーベルマン系女子の共通点は性別くらいだな。
ミントは薄い緑色の髪と目だから赤髪の黒目じゃ血縁でも無いだろうし。
「ミントは私の幼なじみ兼可愛い妹だ。」
「「妹?!」」
「違うっ!幼なじみだけどアンタ私のストーカーでしょ!!」
「何を言ってるんだ。見守ってるだけだろ?」
加害者は無自覚とは事実だったか…。
ミント、苦労してるんだな。でも変な奴らから護ってくれるならワンチャン護衛か?
「護衛じゃないからっ!」
「あ、ごめん口から出てた?」
「お前、わかってるな。だがミントとの距離感を間違えるな。」
「あ、はい。」
やっぱダメな奴か。
「私はスパイシーだ。お前は?」
「俺ははやと。」
「はやと…あ、お前もしかして古着の資産家?」
「ん?何だそれ?」
「古着屋で上等な服売っただろ?」
「あ、ああ。」
「ふーん…。良い奴そうではあるんだけどな……。」
意味が分からん。古着の資産家も意味が分からんが。なんか急に顔近いし上から下までめっちゃ見てくるし何なんだ。
~冒頭に戻る~
「意識が無くなる前の感じだとスパイシーにやられた?なんで?」
「それはお前が金を持っていそうだからだ。起きたな。」
ん?いつの間にかスパイシーがいる。
縛られてないしスパイシーを制圧して逃げるか悩む。
「あ、はやとが良い奴そうだから縛らなかったんだから大人しくしてろよ。もし暴れるなら仕方がないから身ぐるみ剥いで縛ってってしなきゃだから。」
大人しくしてます。とりあえず状況も分からないから冷静な対応が必要なだよな。うん。女の子に脱がされるなんて普通なら高鳴るけどドーベルマン系女子に期待はしちゃいけないと思う。
「悪いな。大人しくしてたら悪いようにはしないから。」
「何でこんな事したのかくらい話してくれないのか?」
「ああ、それはな。単純にお前らから金を奪う為だよ。要は人質な。」
「悪党だったじゃないかよっ!」
「まぁ、聞いてくれ。金は取るけど直ぐに返す。町の奴らにお前達は金持ちじゃ無くなったように見せるんだ。じゃなきゃ無事に町から出られない。」
え、何怖い。俺そんな立場にいるの?
「まあコッソリ町から出す事も出来るんだけどな。祭り、観たいだろ?」
「まぁ。」
「じゃあ決まりな。」
良い奴なのか悪い奴なのかハッキリさせて欲しいんだけど。後、奈那葉と聖人さん心配してるよな…。申し訳ないな。
ん?何か目の前に封筒が浮いてる。
「何だコレ。」
「ん?どうしたんだ?」
「いや、この封筒…。」
「封筒?どこだ?」
見えてないのか?とりあえず手に取ってみるか…。
あ、消え…空中に金色の文字が…。
“義賊団【不遇の宿り木】に手助けを トキ”
「不遇の宿り木?」
「?!何だはやと、私達の事知ってたのか。」
いや、全く知らん。




