プクンの町
街道の脇道、キャンピングカーを停止させて聖人さんと奈那葉と俺のファッションショーが繰り広げられている。
テーマは異世界に溶け込むファッション。
急に異世界に来た俺たちは最初に森に飛ばされた時点では聖人さんはスーツのジャケット無し、俺と奈那葉は制服で次の日からは俺が出した普段着。
俺と聖人さんは●ニクロ的なパンツ
にシャツ、奈那葉は上品な膝丈ワンピース。しかし、村と街を体験した今だからこの格好が浮く事は分かった。
村のは人々は言っては悪いが薄汚れてボロボロの服で参考にするのはアレかもしれないが、クプンマの街の人々は某アルプスの少女や天空の城を目指しちゃう少年少女的な格好だった。ヨーロッパの民族?かな。
平和は身だしなみから。
ヨーロッパの民族衣装のカテゴリで大量の服を出し簡易試着室を二つ設置。二人が着替えて判断するのは俺だ。
たまに派手な感じや踊り子みたいなやつ、男物なのにスカートがあるからそういうのは却下。
顔は隠したいので聖人さんはキャスケット、奈那葉は丸眼鏡、俺は必要なさそう…。異世界仕様になったんだから心のモヤも綺麗に無くなれ。
異世界仕様になって二日、プクンの町に到着した。
「茶色い。」
「これはまたクプンマとは違った町並みだね。」
「森の中のお家?」
町の家は全てログハウス風で下は土、見事に全てが茶色い。ただ周りは木に囲まれているから森の中に戻ってきたみたいな気持ちになる。
「ようこそプクンの町へ!」
異世界仕様なのに人が寄ってきた?!
女の子…同い年くらいか?素朴で可愛い系何だかポメラニアンみたいな雰囲気を感じる。
聖人さんも奈那葉も顔は隠せているはず、という事は…お、俺か!
「私、町長の娘のミントっていいます。四日後に町でお祭りがあるので町に来た人にお知らせしてるんです。」
「ぐっ…。」
(はやとは自惚れにより精神に五十のダメージを受けた)
「満月の収穫祭っていうんですけど、祭りの為に町の中央に花や作物を少し植えていて皆でそれを収穫するんです。良かったら参加して下さいね。
毎年結構多くの人が外からも来るから宿が取れなかったら私に言って下さい。」
「ありがとう。」
ミントちゃんは手を振って去っていく。
本当に祭りの案内だけだったらしい。
「ん?はやと君どうしたんだい?」
「いや…祭りどんなんかなって…。」
「そうだね。滞在予定内だし参加したいね。」
「そうだね…。」
「あの…ちょっと別行動しても良い、かな。」
「いいよ。ただ、まだ町に着いたばかりだからもう少しだけ一緒にまわってからでいいかな。」
「はい。」
奈那葉、何だか落ち着かない様子だな。
「じゃあ行こうか。」
町をぐるぐるまわって一周すると聖人さんが古着屋に行こうと言うので入った。店は小さいけど所狭しと服がある。店員のおじさんはにこやかだけどスキンヘッドに髭はやめた方が良いと思うわ。
「いらっしゃい。」
「服を売りたいんだ。はやと君、この前のアレから五着程着ないものを出してくれるかな。」
物を出す時ように背負ってた空のリュックの中に民族衣装の却下したものを五着出してさもリュックに入れていた風にカウンターに出す。
「こりゃー良い仕立ての服だ。布も良いものだな…貴族様の服みたいだ。」
「ちょっとした伝でね。着ないし売りたいんだけどいいかな。」
「全部買いたいところだが俺んとこじゃ一着が限界だ。」
「分かった。じゃあ一着売るよ。」
売れなかった四着をリュックに仕舞い一着分の代金を貰う。中には銀貨が八十枚、相当重い。そしてそんなに高いんだ…。
白銀貨一枚⇒一千万円
金貨一枚⇒百万円
銀貨一枚⇒一万円
銅貨一枚⇒千円
大銅板一枚⇒百円
小銅板一枚⇒十円
こんな感じの価値だからつまりは八十万円で一着売れた訳だ。
因みに銅板っていうのは貨幣みたいに凝った作りはしていなくて偽造防止の模様が一つだけ入ったお金。
つまり、無一文からお金持ちになりました。




