高嶺の花だったNANAHA
「次は私が試したいので…き、聖人しゃん…手伝って下さい。」
噛んだ…。めっちゃモジモジして可愛い。なぜこれが俺に向けられないのだろ。普通はこういう相手って俺だと思うんだけどな…。
「…そういうところよ。」
「…口に出てた?」
気を取り直して奈那葉が木の根に座る聖人さんの前に立ち偉そうに胸を張った。揺れる木の実に俺の心はときめく。
「発動。我が前に平伏しなさい。」
奈那葉の言葉に何だが上から押さえ付けられるような圧を感じた。
地面に座ってるからケツが痛い。
聖人さんは…特に変化が無いな。
「重ねよう。平伏すが良い。」
うお?!か、身体が勝手に動く!
足が、腕が俺の意思に反して土下座しちゃう…。
「ナニコレ。」
「石楠花の乙女の効果ね。少しの間だけど自分と同格以下の者を従わせる事が出来るみたい。」
「同格以下…俺は?」
「一応同格ね。」
「何で俺が土下座してんの?」
「半径五㍍以内が効果範囲だからじゃないかしら。」
「つまり手伝い要らない上に俺に断り無しだったと?」
「検証が必要だったから言わなかっただけよ。」
解せん。俺に“一応”がついてるのも意味がわからんけども聖人さんの方を向いてたんなら対象は聖人さんだけでいいじゃないか。聖人さん何ともないし。
「聖人さんはやっぱり別格ですね。逆に私が従いたいです。」
「素直に喜んでいいのかな?」
二人で笑いあってないで助けて欲しい。俺は今も土下座している。
自分で頭を上げようとしてもビクともしない…いつ効果が切れるんだろ。
「奈那葉…助けて欲しい。」
「あっ。ごめんなさい忘れてたわ。」
「おいっ。」
「あっ。ついでにホッとハンドも試させて。」
背中に温かみを感じる。
何だろ…ヌコ様が乗ってるような心地よい感じだ。癒されるな……。
「ホッとハンドは悪感情を緩和するみたいだけど、どう?」
「ヌコ様天国だな。」
「ヌコ様…?天国って事は悪くない感じと判断するわ。」
奈那葉の手が離れたのか俺のヌコ様は居なくなってしまった。姿無きヌコ様…恋しい。
「何だか気持ち良さそうだから僕にもホッとハンドを使ってほしいな。」
「き、聖人さんにですか?!」
「ダメ…かな?」
「そんな事ある訳無いじゃないですか!では少しハグさせてもらいますね。」
「俺にはしてないはずだが。」
「チッ。余計な事を…。」
アレ。高嶺の花の如月 奈那葉はこんな性格してたかな…。たまに話すだけだったけどヌコ様何匹飼ってたんだろ。そしていつ逃げ出したんだろ。早く戻って来ないかな…あっ石楠花の乙女の効果切れたっぽい。
俺の姿勢が土下座から正座に変わると、目の前には変態ヨロシクな怪しい手つきをした奈那葉が聖人さんにジリジリとにじり寄っている光景が…。
聖人さんのピンチに俺は手刀で奈那葉の意識を狩りとった。
なんて先行きが不安なんだろう…。聖人さんが別格で本当に良かった。
☆奈那葉ステータス☆
如月奈那葉
年齢 17歳
能力ポイント 5000/5000
取得能力
◆拒絶の盾(10P~)
◆ホッとハンド(50P~)
◆石楠花の乙女 効果5分(70P~)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




