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4話 分かれ道〈サンディ視点〉

シンとカイは双子だが、私はカイのことが好きだった。


シンはいつも真顔で、何を考えているのか分からないところがあるし、カイと比べ話をする機会も少ないという理由で、何となく苦手だ。

けれどシンとは真逆で、カイは少しお調子者のところがあるものの、明るく朗らかで気さくな性格の持ち主のため気軽に話がしやすく、私はカイのそういうところが好きだった。


そのため、こうして公的に好きな人と会えることになり、エイミー様のための交流ではあるが、私は自分のためのイベントという感覚になるほど嬉しかった。


そして、カイに少しでも好きになってもらえる機会になればと、髪を編み込みにしたり、一番お気に入りの綺麗な服を着たりと張り切って、今の自分が出来る最大限のオシャレをした。


私は先にコールデン家に行ってエイミー様と合流し、その後、エイミー様や侍女様たちと共にシンとカイに指示している広場に行くことになっていた。

そのため、私はまずコールデン家に行った。


すると、初めて外部で長時間交流出来ることが楽しみで堪らなかったらしく、エイミー様が玄関の外で出迎えてくれた。


「サンディ!  ずっと待ってたのよ! どう? 初めて会う人だし、あなたのお友達だから、普段のお洋服よりもオシャレにしてみたの……、似合ってる?」


私は今日のエイミー様を見て、少し心が折れた。


――私が着飾ったのが馬鹿みたいと思えるくらい、本当に可愛らしいわ……。

当たり前のことではあったけれど、誰の目から見ても今日の華はエイミー様ね。

私なんて華の周りの雑草にもなれないかも……。


そんな気持ちを隠しながら、私はエイミー様の質問に答えた。


「エイミー様! 普段も可愛らしいですが、今日は一段と可愛いですよ! それにエイミー様、今日は珍しく……、ラベンダー色のドレスなんですねっ」


実は、この服の色は私が今着ているワンピースと同じ色だった。

いつもピンク色のドレスばかり着ているエイミー様にしては、意外な色だった。

そのうえ、エイミー様が着ているのは少し私より豪華さのあるワンピースに近いドレスだったため、その中途半端に似ている感じが、より私との差を示しているかのようだった。

そのため、心の中でモヤモヤした気分が生じていた。


しかし、そんな私の心の中をエイミー様が知る由もなく、私の言葉に朗らかに返答した。


「この間サンディがラベンダーのワンピースにするって言っていたから、折角なら大好きなサンディとお揃いにしようと思って、あまり着ないけど持ってる色だったから、着てみたの!」

「あっ! そ、そうですか」


私の心と違って純真無垢な7歳の心は、私にとって眩しかった。

そのため、こんな淡白な返ししかできなかった。


すると、エイミー様が目を潤ませ言葉を発した。


「何かいつものサンディと違うわ……。サンディを驚かせたくて黙ってたんだけど……、同じ色のお洋服嫌だった? 私のこと、嫌いになっちゃった……?」


――いやいやいやいや、これだけで7歳の子を嫌いにならないでしょ!

というか、嫌いだとしても言えるわけないじゃない。

泣かれたら困るわ!

何とかしないと……!


「嫌いだなんて、そんなことある訳ないじゃないですか! 大好きなサンディと突然言われて、その……、そう! 嬉しくてびっくりしてしまったんですよ!」


すると、エイミー様は涙を引っ込めて笑顔で言った。


「なんだ、そんなことだったのね! いくらでも言ってあげるわ! サンディ大好きよ! いつもありがとう!」


――こんなことを言ってくれるなんて、やっぱり本当に純粋な子なのね。


そう思っていると、エイミー様と一緒に出迎えてくれた侍女様3人の内2人は、エイミー様可愛いと言いながらキャッキャとはしゃいでいた。


しかし、1人は冷静さを保ったまま、言葉を発した。

例の侍女様だった。


「そろそろお時間なので、参りましょうか?」

「ええ! 早く行きましょう!」


楽しそうにウキウキとした様子でエイミー様が答え、いよいよ私たちは約束の広場へ向かった。


コールデン家と広場は割と近くのためすぐに着いた。


こうしてついに、初めてシンとカイがエイミー様と会うことになった。


シンとカイはエイミー様を見るなり、ハッと驚いた顔をした。

そんな中、侍女様がエイミー様に挨拶を促した。


「さあ、お嬢様。御二方にご挨拶してください」


そう言われ、エイミー様は2人に可愛い笑顔で、カーテシーをした。

とは言っても、略式のカーテシーで、ドレスの両端を摘んで持ち上げて膝を曲げるものだったが。

このカーテシーをしながら、エイミー様は2人に話しかけた。


「ご機嫌よう。エイミー・コールデンですわ。サンディのお友達のお2人と交流できるとのことで、本日を心待ちしておりました」


――あどけなさが残るものの、挨拶の練習をしただけあって、いつもと違って大人の挨拶みたいだわ!

やはり、彼女は貴族なのね。


そう思っていると、侍女様に目配せされたシンとカイが挨拶をした。


まず、シンが先に挨拶をした。


「私はシンと申します。本日は御足労いただきありがとうございます。本日の交流、楽しんで頂ければ幸いでございます」


シンはいつも冷静に対応をするが、今日もその冷静さは絶好調で、左手をお腹の前辺りに持ってきて、右手は背中側の腰に当て礼をしながら、手短に挨拶をした。

さすがシンだ。


エイミー様も、嬉しそうに頷いている。


それに反し、カイは緊張した様子でエイミー様と目を合わせないようにしながらも、棒立ちのまま挨拶をした。


「おっ俺は、じゃなかった……。私はカ、カイと申します! 本日は天気が良くって何よりです! エイミー様の話はサンディから聞いておりますが、本当に可愛い方で……」


――ちょっと挨拶なのに何を言い出すの!


そう思っていると、侍女様が口を開いた。


「カイ、許可も得ていないのにエイミー様とお名前で呼んではいけません」


そう言った後、エイミー様には聞こえない声で言葉を続けた。


「気持ちは分からないでもないですが、相手が7歳の子どもだろうと何歳だろうと、相手の容姿に関することを言うのも、良くありませんよ」


すると、カイは慌てた様子で話し出した。


「あっ、すみません! 悪意は全然無いんです……。緊張してしまって……」


それを聞くと、侍女様は笑顔で答えた。


「緊張してしまう気持ちは分かります。それに、この領地ではなかなか貴族に接する教育を受ける機会も少ないですから、同じことを繰り返さなければ大丈夫ですよ」


そう言われ、カイは緊張が解れたのか、いつもの調子を取り戻し元気な様子で、エイミー様に挨拶し直した。


「カイと申します。本日は交流できるとの事で、私も楽しみにしておりました。どうぞよろしくお願いいたします」


そういうと、エイミー様は笑顔になって言った。


「2人ともよろしくね! 2人とも私のことはエイミーって呼んで!」


すると侍女様が困った様子でエイミー様に告げた。


「お嬢様を呼び捨てにはできませんよ。サンディと同じようにエイミー様と呼んでもらうことにしましょう」

「えー! エイミーって呼んでくれても良いのに……。でも仕方ないよね! じゃあ、その分2人のことは私の好きな呼び方で呼んでも良い?」

「変な呼び方でなければ良いでしょう。もしくは、お2人が嫌がらなければ良いですよ」


侍女様のその答えを聞き、エイミー様はシンとカイに向き直って言った。


「今日から2人のことを、シンお兄様、カイお兄様と呼んでも良い?」


そう問われ、シンよりもカイが素早くもちろんと答え、シンも分不相応とは思いますが、侍女様がお許し下されば、お好きにお呼びくださいと答えた。


その後、エイミー様はシンお兄様、カイお兄様と嬉しそうに2人に話しかけていた。


その中で、エイミー様は2人にある質問をした。


「今日はサンディとお揃いのお洋服の色にしたんだけど、どうかしら?」


そう問われ、カイが真っ先に答えた。


「エイミー様は何を着ても可愛いですよ! この薄い紫色なんて、エイミー様のためにあるんじゃないかと言うくらいお似合いです! なあ? シン」


そう振られ、シンも言葉を返した。


「エイミー様もサンディも似合っていて可愛いですよ」


意外だった。

カイは貴族であるエイミー様を持ち上げるため、そう答えるに違いないと思っていたが、シンは私を含めてくれたため、ちょっぴり、いや、かなり嬉しかった。


こうして、初の交流はつつがなく終わった。


その後、エイミー様が2人と会いたいと言うのでまた会うことになった。

こうして、何回も4人で交流を深めていく度、あることに気付いた。


――エイミー様はカイのことを気に入っているのね。

カイの方はもちろん恋愛的な感情は一切ないけれど、エイミー様を好いているようだし、エイミー様に好かれていて嬉しそうだわ。

まあ、シンは何を考えているか分からないから、エイミー様もカイと打ち解けやすかったに違いないわね。


そう気付いてから3回目に会う日、4人で集まった時エイミー様は、衝撃的な言葉を発した。


お読み下さりありがとうございます(*´▽`*)

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