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13話 計画〈エイミー視点〉

そんなある日、カイお兄様とシンお兄様と私が初めて出会う機会となるお出かけがあった。


お出かけの予定の話を聞いた時から、私はサンディに事前にカイお兄様とシンお兄様がどんな人かを聞いていた。


けれど、サンディの口から出てくのは常にカイお兄様の名前だった。


当時の私はまだ幼く、好きの種類がよく分からなかったものの、とにかくサンディはシンお兄様より、カイお兄様のことが好きなのだと察した。


今度こそ、私の気持ちをサンディにも分からせてやる機会だと思った。


そして、サンディと話している過程で偶然サンディが着て行く服の色を知り、奇跡的に同じ色の服があったため、それを着ると侍女に伝えた。


侍女はその色を伝えた時に、困ったような顔をしていたが、サンディと同じように、大好きだからお揃いにと言うと賛成してくれた。


当日サンディに会ったとき、サンディは服の色を見て驚いた顔をしていたけれど、侍女と同じ理由を説明したら嬉しいと喜んでくれた。

私と一緒であることを喜んだサンディのこの反応に、私も嬉しくなった。


そして、カイお兄様とシンお兄様に会った時、服の色について2人に伝えたら、カイお兄様は私のことだけを褒めてくれた。


チラッとサンディの顔を見ると、少し悲しそうな顔をしていた。


――サンディはもっと私の気持ちを分かればいいわ。

シンお兄様もカイお兄様のように早く私のことだけを褒めてよ。


そう思っていたが、予想に反しシンお兄様は私だけじゃなくて、サンディのことも一緒に褒めた。


――サンディまで一緒に褒めたら意味ないでしょ!

私の方が絶対に可愛いのに!

サンディと同じにしないでよ!


そう思いながらサンディの顔を見ると、先程までは少し悲しそうな顔をしていたというのに、笑顔が戻っている。


私はこの時思い通りにならなくて腹が立ったものの、サンディが好きであろう、肝心のカイお兄様の方は私のことだけを褒めてくれたということもあり、一先ず次も会う約束を取り付けた。


そして、何回か会ううちに、サンディは不利になりつつも、あわよくば自分を褒めてもらえるかもしれないと思い、ずっと気になっていた質問をした。


「私とサンディは同じ金髪で同じ緑色のお目目のはずなのに、どうしてサンディの髪の毛と目の色は綺麗じゃないの? 何か……、濁って――」


言いかけたところで、サンディに酷いと怒鳴られた。

私は人生で怒鳴られたことが初めてだったためびっくりし、泣いたことを覚えている。


しかも、泣いているにもかかわらず、侍女は私に怒ってきた。


――何で? ただ気になったことを聞いただけじゃない?

それで、サンディよりも私の方が綺麗とかわいいと言われて終わる話だったじゃない。

そのはずが、何で今私が怒られているの?

しかも、私は泣いているのに……!


と、本当に不思議でたまらなかった。


すると、シンお兄様が近付いて来て、色についての説明を始め、私もサンディも綺麗な髪色だと言ってきた。


――サンディと一括りにされるのは気に食わないけれど、怒るんじゃなくて、こう言ってくれる方がよっぽどいいわ!


そう思い、私の中でシンお兄様の好感度が急上昇した。


そして、おばあ様もサンディと同じ髪色だったという情報も知り、子どもながらに少しまずいという思いと、確かに言い方が良くなかったという気持ちが生じた私は、そのときは素直にサンディに謝った。


すると、サンディは許してくれた。


――許してもらえたんだから、ご褒美をもらわないと!


そう考えた私は、怒るのではなく説明をしてくれたシンお兄様を優しい人だと思い、謝るように促した張本人であるシンお兄様からご褒美をもらおう思った。

そのため、シンお兄様にご褒美を頂戴と言ったら、悪いことをして謝るのは当たり前だから、ご褒美はあげないと言われた。


私の中で、シンお兄様の好感度が急下降していった。


――さっきまで優しかったのに、どうして急に厳しいのよ!

それに、さっきからサンディのことばっかり庇って腹が立つわ!


そう思うと、勝手に涙が出てきそうになった。


そのとき、私の視界の端に困った顔をしたサンディが映った。


――元はと言えば、全部サンディのせいよ!

ご褒美をもらえないのもサンディのせいだから、泣いて困らせてやる!


そう思ったと同時に、カイお兄様が飴をくれた。

この一連の出来事の過程で、唯一私のことを庇い続けた人物はカイお兄様だったこともあり、やっぱり私を怒らない人もいるんだと嬉しくなった。


だから、その気持ちが言葉として口から出た。


「わーい! カイお兄様ありがとう! 大好き!」


そう言うと、カイお兄様は嬉しそうな顔をして喜んでいた。

その隙にサンディの顔を見ると、サンディは泣きそうな顔をしていた。


――ふふっ。

これで、好きな人を取られる気持ちが分かったでしょう?

よりによってサンディが1番好きな人が私の味方をしているんだもん!

あ~、最高!


この出来事があってから、私の好物は飴になった。


そして、次の日になり、お父様とお母様に怒られた。

昨日でその話は終わったはずなのに、また話をぶり返されてどうしてという気持ちが湧いてきた。


ただ、その話の過程で、「良い人」になるための教訓を教えてもらった。


――お父様もお母様も、私が相手を傷付ける発言がダメって言っているのね。

つまり、汚いとか濁ったとかそう言う発言はダメってことね……。


こうして、お父様とお母様に諭された後、サンディとはしばらく会わないことになったと知った。


お読み下さりありがとうございます(*´▽`*)

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濁っているのはお前の心だ。
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