1話 誕生
「奥様! おめでとうございます! 元気な女の子でございます!」
「女の子……っそう、女の子なのねっ……良かった……。嬉しいわ……その子の顔を……見せて……ちょうだい」
出産直後の母親に言われ、産婆は顔がよく見えるようにと、赤子を母親の顔近くに連れて行った。
すると母親は出産直後にもかかわらず、何とか言葉を紡ぎ、嬉し涙を流しながら今生まれた我が子に話しかけた。
「生まれてきてくれて……ありがとうっ。あなたの名前は《エイミー》よ。女の子なら……この名前にしようって、あなたの……お父様と、考えていたの。意味は……、《愛される人》よ」
「まあ! 何て素敵なお名前でしょう! 当代コールデン家初のご息女にぴったりのお名前ですわ! 出産を終え、母子ともに無事だと旦那様にお伝えしておきますので、奥様はご無理をなさらずに、ゆっくりとお休みくださいませ」
そういうと、産婆は近くにいた助手に母子の無事を子爵に伝えるよう頼んだ。
一方、男子禁制では無いギリギリの場所で、今か今かとそわそわしながら出産を待っていたコールデン子爵は、娘が生まれたという吉報を受け、それはそれは喜んだ。
そしてこの日、コールデン領地の当代領主の初のご息女、その上コールデン領地で生まれた6年ぶりの子どもだということも相まって、エイミーの誕生は領地全体で盛大に祝われた。
こうして、エイミーは領地民から多くの祝福を受けながら誕生した。
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