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この眼の名前は!  作者: 夏派
一章
6/22

パーティ……?

「……。エナさん? それはどう言うことですか?」


 頭が真っ白になりつつ俺は聞く。質問されたエナは、勝ち誇ったように笑みを浮かべ答える。


「ふ、パンイチは知らないのかな。武器でも魔法でも眼でも、名前が存在するのよ。でも名無しのものもある。例えばオーダーメイドや自分が創設者の魔法とかね。そういうものには、名前をつけれるのよ。だから私が付けた。理解できた?」


 ポカーンと俺は口を開ける。何が起こったのかをなんとか理解する。


「つ、つまり、エナは俺の眼の名前を、“この変態眼”とかいうクソみたいな名前に命名したのか……?」


「ええそうよ。ちなみに名前は二度と変更できないわ」


「マジで?」


「マジで」

 

 なんで俺の異世界転生はこうも残酷なんだよ!!!


 そんなことを思っていると、ギルド中から声が聞こえてくる。


「ぷっ、良かったな変態! そんな名前をつけてもらえて」

「くくくく、お前に似合ってるぞ変態!」

「エナは最高だな!」

 

 俺はそれを無視しつつ、エナに聞く。


「い、いや、なんでまた勝手に俺の眼の名前決めたんだ?」


 率直な疑問だ。俺はエナを困らせることは断じてしてない。そう。断じてだ。


 エナは、俺に失望する目で、俺だけに聞こえるように言う。


「なんでかって? 先ほどの自分の行動言動を思い出しなさいよ。忘れたとは言わせないわ」


 その言葉は俺はハッとする表情を作る。作るだけだ。実際はなんで怒ってるのかは分かっていたが、今気づいた感を出す。


「まさかあれだけのことで……」


「まさか? あれだけ? どういうことかしら?」


 エナはキレながら、俺のほっぺをグリグリつねってくる。|


 (はた)から見ればイチャついて見えるかもしれないが、ただただ痛い。


「ほひ、すすす、すみましぇんで、痛い痛い痛い」


 俺の泣き目を見てエナがほっぺを引っ張るのをやめてくれる。という展開はなく、むしろ強まった。


 このくそビッチめ。許さんぞ。


「これでお相子(あいこ)だと思うなよ」


 と言ってやっとほっぺから手を離してくれる。俺はつねられた頬を優しく触る。


 この後たくさん殴られそうだな。


 俺は気を取り直してエナに聞く。


「もう眼の名前はいいわ。変えられんし。だがこれで俺とお前はパーティメンバーってことだよな?」


 少し間があり、

 

「ええ。不本意だけど、あなたがここでパンツを脱ぐというのはやめてもらいからね。(それに初めての仲間だし)」


 最後なんて言ったのかは聞き取れなかったが、こうして脅し脅されのパーティが組まれた。


 


 X分後


「はい。これでパーティの登録ができました。パーティリーダーのエナさん、パンイチのタナカさん。これから街のために頑張ってくださいね」


「おう、受付のねぇちゃん! そんなに俺のことをパンイチ呼びするってことは、俺に興味があるのかな? あるんだよね?」


 俺は受付の机に体を乗り出しつつそう言う。受付のお姉さんが若干顔を引きつって、俺から避けるように動いた時、


 バン!! と頭を叩かれた。それは女子が彼氏に嫉妬して優しく殴るような、気持ちの良いものではない。現実は、


 ドン! と俺の顔が机にめり込んだ。


「ほら、バカのことやってないで、今からクエストを受けに行くわよ。パンイチ」


「……。なんでこうなる?」


 何度目かわからんが、この転生生活は間違っている。


「いてぇぞ! それにおま、パーティメンバーなんだから名前で呼べよ!」


 するとエナは俺をうじ虫を見るかのような目で見る。


「分かったわよパンイチ。それにね! アンタがどこから来たのかは知らないけど、家ないんでしょ? うちに住ませてあげるんだから、その分働きなさい」


「あいあい、ぺたんこきゃぷてん」


 やる気のない返事をして、俺たちはクエスト掲示板へ進む。


 俺の顔が腫れたのは気のせいだ。

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