表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月色の砂漠~ロイの憂い~  作者: チク


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/23

賭け


 だがロイの思いとは裏腹に、ケイはにやにや笑っていた。

「いいこと思いついたよ。長老、僕と賭けをしよう」



「きみが勝ったら最高位にしてあげるよ。僕が勝ったらきみの命を貰うからね」

 ケイは楽し気にその条件を告げた。



「ああ、そうだ。今、僕は弱ってるからね――」

 到底、弱ってるようには見えないが。

「この賭けを無効にしようとして、きみが僕を殺したら、ここにいるロイ君がきみを殺しに行くからね」


(……おいおい、巻き込むなよ)

 ロイはため息をつく。

 長老はこくこく頷き、神殿から逃げるように走り出す。



 その時だった。

――正体不明のアンドロイドが出没した。

 ロイとケイの脳内に、リゾの声が聞こえてきた。


(このタイミングで!)

 ロイは焦るが、ケイは涼しい顔をしていた。


――だったら、アグ君とロイ君はリゾ君の元へ。カース君とグレス君はその場で待機。

 とケイが他の最高位たちに呼びかける。


「俺もか?」

 ロイは意外だった。


「こんな傷、どうってことないからね。きみは早くリゾ君の元へ駆けつけてやって……」

 と言い終えたとこで、ケイは意識を失った。

 長老がいた手前、かなり無理をしていたらしい。


「手当しないわけにはいかないだろう」

 と、ロイ。


 意識のないその顔を見る。

 なかなかの美形で、ロイのタイプではあるのだ。


「俺はエムで、あんたはエスなのに、まったく手出す気も起きないのはなぜなんだろうな?」

 そんなことをつぶやきながら、ロイはケイを手当することにした。



     * * *


 ファウ・レファイはその声を聞いて、苦々しい気分になった。


――聞こえるか?

 聞こえないことにした。


――この能力を悪用するようで心苦しいが……

(だったら、使うな)

 ファウは、リゾに邪眼にかけられ意識を失ったことがある。

 意識を失っていた間、魔法を注がれていたようだ。

 食事も入浴もしないで三日、体調が何も悪くないのはありがたいことかもしれないが、その行為はファウにとって屈辱だった。

 その時の影響で、リゾの心の声が聞こえるようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ