襲撃
「おい、止まれ」
だがアンドロイドは止まらなかった。
それどころか、リゾに攻撃をしようとしている。
リゾは剣を構える。
たどたどしい足取りのアンドロイドは、リゾに近づくと俊敏な動作で襲い掛かってきた。
* * *
時間は前後する。
結界を張り終え、ロイが中央の神殿に駆け付けた時――
ケイは倒れていた。
その体を起こそうとすると、手にべっとり血がついた。
「なるほどねぇ、恨みを買ってたみたいだし。惜しい人物を亡くしたものだ……」
ロイはにやりと笑う。
「……生きてる。笑えない冗談言うと、殺すよ」
とケイ。
ロイは苦笑した。
「そんなに元気なら、とっとと犯人にとどめをさせばいいのに」
ケイは自分の身より、最高位としてルウの地の結界を優先したようだ。
その犯人は、恐怖なのか気絶していた。
転んでも只では起きない男、ケイ。
この犯人に何かしらの攻撃か嫌がらせはしていたんだろう。
傷の割にケイは元気そうだったので、ロイは気絶している犯人に蹴りを入れてみる。
起きないので、今度は胸倉をつかみ上げた。
「おい、起きろ」
ビンタを二、三発。
「……ひぃっ!」
「なんで、お前、こんな真似をした。長老ともあろうお前がなんでだ?」
そう、ケイを刺したのは、長老だった――
「さ、最高位が二人いなくなれば次は自分のはず。な、なのに、まったく最高位のお呼びが来ないから……」
長老は震えながら答えた。
公には、最高位の一人は病死し、一人は行方不明ということにしていた。
そんな理由で、とロイは唇を噛んだ。
長老は、最高位と定期的に会いその意向を民衆に伝える役目を担っている。
当然ながら、長老は今日、最高位たちがルウの地に結界を張ることは知っていたはず。それがルウの民にも必要なこともだ。
そんな長老に刃を向けられる日が来るとは……