アンドロイド
ケイの異変に、ロイが気づいたようだ。
――おい? 何かあったか?
ケイの脳裏にそんな声が聞こえてきた。
「いいや、何でもない。好みのタイプの男がいたからちょっと気がそれてしまってね。通常通りはじめようか?」
ケイはわざと声に出して返事していた。
ケイに怪我を負わせた男は震えながら、ケイの魔法の凄さを改めて実感していた。
ルウの地全体が、魔法のバリアで覆われる。
――そうだ、この感じ。
悪い念や、嵐や気象災害から、最高位たちはこのルウの地を守っていたのだ。
男はその魔法をひしひしと感じながら震えていた。
* * *
結界を張り終わったリゾは、奇妙な気配を感じた。
ルウの地のすぐ外側、たどたどしい足取りの人間らしきモノがこちらへ向かって来ていた。
結界の影響で、リゾの姿――いやルウの地すら見えてないはずなのだが、そのモノはまっすぐこちらへ来ている。
それはアンドロイドとか呼ばれるもの。壊れたはずの人型のロボットが悪意を持って人に襲い掛かる現象があちこちで起きていた、
リゾは気配から、どうも好意的なアンドロイドではないと直感していた。
リゾは剣の柄の水晶を握り、この場にいない結界を張り終えたであろう他の最高位たちに心の中で呼びかける。
――正体不明のアンドロイドが出没した。
それだけ伝えれば司令塔のケイがどうにかするだろう。
――聞こえるか?
リゾは声には出さず、今度は最高位ではない別の人物に呼びかけていた。
――この能力を悪用するようで心苦しいが、ルウの地南の外れにアンドロイドが出没した。万が一のことを考えてキョウの自宅周辺の人間がいたら、中央の方へ避難させてほしい。
その言葉は届いただろうか?
念のためを考えてのことで、聞こえていたとすれば幸いだし、聞こえていなくても他の最高位がもっと良い策を講じているはずだ。
リゾは結界の外へ出た。
そしてアンドロイドと対峙する。
性格のいいアンドロイドもいるそうだが、目の前のアンドロイドはそうは見えなかった。