ファウの目的
「あの騒動でいらいらしてるのはわかるが、うちの部下のレベルに合わせて手加減してくれないか?」
ガイルは、ファウ、キョウと幼馴染でもある。
ましてや、ガイルは目の前でファウがさらわれ、何一つ抵抗できなかった。
ガイルはファウに対して、申し訳ない気持ちもあった。
部下の一人や二人は投げ飛ばされても文句はいえないが、三人目はさすがにやりすぎと判断したようだ。
「別に私はいらいらしてないが……」
ファウは戸惑った。
元気アピールのつもりが、部下に八つ当たりしてるように思われていたようだ。
すると、投げ飛ばされた部下の一人がこう言った。
「いいですよ。ガイル隊長。どうせ生×なんでしょ。女なんてヒステリーなもんですよ」
その一言にガイルの表情がさっと変わる。
ガイルはその部下の襟首をつかみあげ、ファウの方へぽーんと放り投げた。
「前言撤回する。そいつはやってよし!」
部下はガイルに助けを求めたが、ガイルは無視した。
言うまでもなく、ファウにぼこぼこにされた。
訓練後、ガイルはぼこぼこにされた部下を魔法で治してやった。
ぐすぐす泣いてる部下。
「手加減しなくていいって言ったのはお前だろうに」
その様子をファウは満足げに見ていた。
「でも、ガイル。お前も悪いよ」
とファウ。
「『手加減してやれ』なんて言われてプライドが傷つく部下の気持ちもわかるだろう」
その言葉にガイルははっとなった。自分の失言に気づいたらしい。
「はい。昼食のサンドイッチ、余ったから上げる。元気出して」
ファウはぼこぼこにしたお詫びのつもりで、サンドイッチを差し出した。
実のところ自分の率いる二番隊の兵士ではなく、一番隊の兵士を投げ飛ばしたことに少し罪悪感もあった。
部下は泣きながら、受け取ったサンドイッチをもそもそ食べていた。
ファウには別の目的もあった。
この広場にあるモノが隠されていると思っていたが、それは見つからなかった。