レンとリゾ
※ BL的シーンがあります。
レンは強く美しい女だった。
杖一振りで敵をなぎ倒し、このルウの地の結界を張る姿も気品あふれる美しいものだった。
だが、晩年のレンは幼稚でゲラゲラ笑う下品な女に成り下がっていた。
遠目で見かけたぐらいだが、どういうわけかレンはすごく子どもっぽくもなっていた。
隣に大男が立っていたからだろうか?
その大男は今、どうしてるだろう?
ロイは、泉のそばのその大男こと、最高位のリゾの家に行ってみた。
リゾは椅子に腰かけ背筋をまっすぐ伸ばし微動だにしない。
まばたきもしないその目はここにない何かを見つめていた。その瞳には、目の前のいるロイの姿は映っていない。
ノックしても返事がないし、家に鍵がかかってなかった。
たまたま、鍵をかけ忘れたのだろう。
「不用心だね」
ロイは同意も得ないまま、勝手に家に入り込んでいた。
「お前のこと、結構タイプなんだよ、俺」
ロイは囁く。
その声も今のリゾには聞こえていない。
リゾの意識は別にあった。
今頃は、ルウの地中央辺りで水路の管理でもしているのだろう。
レンが死んで落ち込んでる風もなく、リゾは精力的に働いていた。
何が、この男をそう突き動かすのだろう?
ロイはリゾの膝の上に座った。
身長二メートルを超す大男はがっちりした体だった。
この膝は、レンの特等席だったのだろうか。それともレンは目の前にあるもう一つの椅子に腰かけていたのだろうか。
晩年のレンは、とにかくリゾがそばにいたように思う。
ロイはリゾの唇に指先で触ってみた。
反応はない。
首に手をまわし顔を下向かせる。
「なあ? 抵抗しないと襲うよ?」
指先を唇に這わせる。
こんなことをされても、リゾは無反応だ。