謁見
そうすれば、もし爆発してもルウの民には影響がない。
ルウの地の外側であれど、自分の住んでいる結界内でならルウの地と同じく、ルウの加護を受けられる――そういう意味もあった。
自分の結界内で魔法をくらわせ、木っ端微塵にする。
なんともあっさり作業をやり終えた感があるが、かなりの魔力と体力を消費した。
二体粉々にしたところで、ルウの民が力を合わせてラミア型アンドロイドを倒していた。
ロイは民が力を合わせて一つの作業を成し遂げたことに、安堵していた。
* * *
長老は、バラバラになったラミア型アンドロイドに恐る恐る近づく。
そのうちの一つの手が握りしめていたものにすごく興味を引かれた。
手はバラバラになっていたが、その握っていたものは残っていた。
丸い水晶だが、太陽にかざしてみると中に虹のような模様が浮かび上がる。
プリズムのような構造なのかもしれない。
長老はその水晶を拾い上げた。
* * *
長老は定期的にルウの地中央の神殿で最高位と謁見する。
その謁見時、長老は手に入れた虹色の水晶を持って行った。
「へえ……」
最高位のケイは、差し出された水晶を手の上で転がし、上にかざしてみたりしていた。
「確かに虹色だねぇ?」
「虹色の水晶の環境維持ロボは見つからなかったんです」
「……だろうね」
「え!?」
「……なんでもない」
「おそらく、砂漠に出てしまった環境維持ロボからあのアンドロイドが奪ったんでしょう」
と、長老は説明する。
「なるほど、そういう設定で来たか」
「えっ!?」
ケイはにやりと笑う。
「これとはちょっと違うね。でも、まあ、アンドロイドを倒したなんてすごいよ」
その一言に長老はほっとする。
「最高位のこともきみの命も保留にしておこうじゃないか」
その言葉に、長老はどこかほっとしてどこかがっかりしたようだ。