闘争心
対アンドロイドとの戦いは一対一で現実的ではない。中にはやたら強いアンドロイドもいるのだ。
事実、ランズもキョウも戦って勝とうとは思っていなかった。
ガイルの部下たちは網でラミアをぐるぐる巻きにする。
そこへファウとその部下がやってきた。
遅れてきたクスナは、キョウとランズの元へ駆け寄る。
ラミアは必死に暴れ、網が緩んだ。
体に剣が刺さったまま、ラミアは逃げ出そうとする。
ラミアが戦意喪失したと思い込んだ、兵士たちはどこか油断したのだろう。
胴体から、手が飛んできた。
「……っ!」
それを剣でなぎ払ったのは、ファウだった。
「こんな手にひっかかるな。逃げると見せかけて攻撃をしかけて来るから」
そう。このラミア型のアンドロイドは、いつぞやのリゾと戦っていたアンドロイドだ。
「離れて」
言うや、ファウはヘビの尻尾に剣を刺した。
尻尾は地面に固定され、ラミアは暴れ出す。
しっぽを刺され、ラミアは苦し気にその体をうねらせる。
ファウはしっかり、リゾとラミアが戦っていた様子を覚えていた。
ラミアの頭部はリゾが剣で刺してもダメージがなかった。
そして、胴体はキョウの剣が刺さっている。
ということは、ラミアの弱点はしっぽじゃないかと予測しての行動だったが、どうやら当たっていたらしい。
断末魔を上げ、苦し気な悲鳴を上げるヘビの尻尾を切り落とした。中から矢がたくさん出てきてぞっとした。
弱点を攻撃され、ラミアは動かなくなった。
あとは、部下たちと一斉に力を合わせて魔法攻撃をする。
できるかぎりばらばらにするのだ。
中途半端に残ったアンドロイドの部品が何かの拍子に動き出す例があるからだ。
勝った安堵感と高揚感からファウはほっとする。
それと同時にどこか物足りなさも感じていた。
本当なら、こんな弱った状態じゃなく万全の状態のアンドロイドを戦ってみたかった。