最高位
砂漠に囲まれたルウの地。そこにはルウの民が暮らしている。
環境維持ロボ、この地をひたすら清掃している神の使いともいえるロボだ。
紫の水晶のついたロボが、泉を浄化していた。
浄化といえばなんだか難しい話だが、要は泉の水に混ざった土や埃を吸い上げているのである。
中のタンクに泥水を貯めて、陸上に上がる。
畑周辺の土を盛り上げておけば、たまに農民が感謝してくれる。
紫水晶のロボはせっせと泉の浄化と、畑の近くに泥の運ぶ作業に没頭していた。
「ええい、邪魔だ!」
突然、紫水晶のロボはぽーんと飛ばされた。
ルウ族長老だった。どうやら蹴られたらしい。
この状況を目にして、最高位のロイは憂いを覚えた。
神の使いともされる環境維持ロボを足蹴にするとは――
しかも、それがよりによって長老だとは。
紫水晶のロボはさっと起き上がり、また元の作業に戻るのだった。
* * *
ルウ族には三つの身分制度がある。
第三身分はいわゆる平民で、第二身分は、いわゆる兵隊である。
第一身分は神の化身ともされる者たち。俗に最高位とも呼ばれる。
ロイは最高位であり、ルウの神器を継承し、ルウの女神の化身ともされる能力を身につけている。
ルウの民から慕われ、時に信仰の対象ですらある。
* * *
ロイは、自分と同じく最高位のレンの眠る泉の畔にいた。
ロイは金髪に紫の瞳の男。服装は派手でキラキラしたアクセサリー類をたくさん身に着けている。
レンの眠るその場所には、レンの使っていた杖が刺さっていた。
額に組んだ手を合わせるルウの神に捧げるお祈りをする。
――最高位といえど、死んだら埋められて、杖一本が墓標代わりか。
ロイは空しい気持ちだった。