後悔
「そういえば、お前らそういう関係だったな」
とロイ。
「そういう関係ではない」
「そういう意味じゃない」
「こいつはひとまず俺の家に連れて行く。ここらはアンドロイドが出没しそうだから」
「まだ、アンドロイドが来るのか?」
「来なければいいがな」
そう言って、カースの姿は消えた。
自分の家に瞬間移動したのだろう。
と思いきや、すぐ戻ってきた。
「よく考えたら、この身長を寝せておくベッドがない。家ごと持って行く」
カースが言い終えるや否や、リゾの家が消えた。
カースの家の前辺りにでも瞬間移動させたのだろう。
そして、カースも目の前から消えた。
「すっげーな」
思わずロイはつぶやいていた。
カースは美貌の持ち主でありながら、あれだけすごい魔力も持っている。おそらくだがルウ族最高で最強の魔力だろう。
「あれで異性愛者じゃなきゃ最高なのに……」
「にしても、リゾとケイ、最高位が二人倒れるとはね」
ロイはため息をついた。
* * *
夕暮れ時――
一番隊隊長ガイル・ラテーシアとその部下は、キョウの家周辺を見回りをしていた。
ルウの地外れで正体不明のアンドロイドが出没したという情報があり、主に一番隊と二番隊で警備に当たっていた。
ガイルは辺りを見渡す。
ルウの地中央の方であればそれなりに警備体制も整っている。だがキョウの家はルウの地の外れにある。
ここからは、だだっ広い砂漠が見渡せる。
外部からの人間が強盗目的で来ても、撃退するのは難しい。
ガイルは悔いていた。
ファウが誘拐された時、「かつて、キョウが水脈を開いた地に一人で来い」と犯人は言い残した。
この言葉は長老に口止めされていたが、よくよく思い返せばキョウに護衛をつけることはできた。
どうしてそうしなかったのか、どうしてそれに気づかなかったのか――
――こんな場所でたった一人で危険に晒されていたのに……。