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攻防

 リゾとアンドロイドの戦いを見ていた者がいた。ファウだった。


 キョウが髪をうばわれた日――


 オアシスからキョウの家に瞬間移動させられたわけだが、通常なら他人の家の中に移動させるなんて不可能。

 最高位ならルウの地のどこにでも移動させられるのかもしれないが、ファウはそんな事例を聞いたことがない。


 誰かが事前に、キョウの家に何か細工をしたに違いない。

 そう考えればキョウの家を甲斐甲斐しく掃除していた環境維持ロボは、今にして思えば実に怪しいのだ。


 似たような仕掛けが中央の広場にもあるのではないかと思っていたが、そこにはなかった。

 ロボットが容易に出入りする場所でもあり、とっくに回収されたのだろう。


 だが、キョウの家には、もうロボットは入れないようにファウは釘をさしておいた。



 ――そして、それはあった。


 キョウの家に飾ってあるかのように壁に収納されている武器の一つ。

 柄に水晶が嵌められている剣があった。

 ファウはその剣に手をあて、意識を集中させる。


 慣れた浮遊感を感じた。

 気づけば別の家の中だった。おそらく、レンかリゾの家であろう。


 家の持ち主が誰かということには興味はない。

 家から出ると、まさに今、結界の外でリゾとアンドロイドが戦っていた。


 その戦いを眺めながら、ファウは自分の血が騒ぐのを感じていた。

 兵士である以上、民を守るのが義務。


 だがそれ以上に、強い者と戦う――そんな姿に血が騒いでいた。



 リゾはアンドロイドには勝ったが、その後、気を失った。


 最後にリゾに刺さった矢はヘビの尻尾から放たれていた。

 飛んできた手に意表をつかれ、矢に気づかなかったらしい。

 そこまで強い相手と戦ったリゾがうらやましくもあった。


 物陰に隠れていたファウはそのまま立ち去った。

 リゾを助けようとは思わなかった。




     * * *


「まったく、何も起きそうにないじゃないか」

 五番隊隊長ランズ・ルカーは、キョウにぼやいた。


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