1 鹿久保転生する
全国の鹿久保さんすいませんでした。
名前いじりあります。
書き溜めがないので不定期更新です。
「鹿久保ぉ!?おい鹿久保返事しろよ!!!」
俺を呼ぶ声がする。
「な…んだ‥よ。あ…れこえ‥が」
(しっかり喋れないのは何故だ?俺は一体どうなったんだ。)
「鹿久保お前血が…」
(んあ?血?)
自分から赤い血が流れていること気づく。
(え?あ?)
それと同時に痛みを感じ始める。
(痛い痛い痛い痛い)
(俺死ぬのか)
少しずつ意識が薄れていく。痛みはなぜか熱に代わっている。
(いい人生だったのかな?悪くはなかったと思いたいな。ああ何でこんなことになったんだろうな。)
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「鹿久保お前いつもウイ〇レやってるよな。」
俺の友達の光太郎が声をかけてくる。
「まあな。よし入れた!!これは勝てるそうだな。」
「そういや来週暇か?」
光太郎とは長い付き合いだ。何かと声をかけては色々なことに、誘ってくれる。家にこもりがちの俺を気遣って外に連れてってくれる数少ない大切な友人。こいつが暇か聞いてくるときは大体どこか遊びに行く時だ。この誘いを断る理由があるほど俺は忙しくない。
「暇だけど・・・。っあ、負けた」
「なんかごめんな…っじゃなくて来週の日曜日山行くから、しっかり開けとけよ。」
「分かってるって。他誰か行くの?」
「うーん今のところ馬場しか決まってないけど」
「オッケーじゃあその日は絶対何も用事入れないようにする」
(そうだこいつらと山に行ったんだ。そして――――)
「おっす!!二人とも同じバスで来たな。待ち合わせしていたのか?」
集合場所は駅からバスで一時間程度の場所。
二人共って言うのは俺と、馬場の事だろう。待ち合わせてはいなかったが、バスの本数が少ないため同じバスに乗り合わせた。
降りるバス停までの時間は馬場とポ〇モンで対戦をして過ごしていたのでそこまで長く感じなかった。
「いや駅で出くわしただけだよ」
「おい出くわしたってなんや」
馬場が否定的に答える。
「それはいいからとりあえず行くよ」
光太郎が話を遮る。そして俺らを引き連れてゆったりとしたバス停から山に向けて歩き始めた。
ある程度歩いたら大きな道路を外れ獣道のようなところを歩くようになった。
「鹿久保!はぐれるんじゃねーぞ」
はぐれるかよ!二人の背中が見えてるから迷子になることも無いよ!!
それで俺は挑発してくる馬場に悪態をつきながら歩いてたんだよな
そして
その時は来た
パーンパーンパーン
???????????
意味が分からない一体何が起きているんだ?
体が熱い。力が入らない。動かせない。何が起きているんだろうか?
「いっ…た‥いなに?‥が?」
乾いた音が連続した直後体が動かなくなった。
気づいた。
体から出ていることを。
それが
赤い赤い赤い赤い赤いあかいあかい紅いそれが。
血が。
「おい―お――丈夫か?鹿久保!!―っ――車よば――ゃ」
ああ今思い出した。光太郎が突然山行こうとか言いだしたんだよな。ははは。
死ぬ間際は頭が冴えるって聞くけど本当なんだな。なんだかおかしいな。
ああ俺死ぬのか。
やっぱ慣れないことするんじゃなかったかな?
元気でな。
俺は、
鹿久保は、意識を手放した。
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俺の名前は鹿久保だ。しっかり分かる。不透明な部分は無いはずだ。
意識が戻ったのかな。これは生きているのか?それとも死後の世界とか?
死んだと思ったけど実は病院に運ばれて一命をとりとめたとか?何も見えないから失明したのか?
目の奥から熱を感じる。瞼を閉じてるだけで、失明はしてなさそうだ。
生きているのか死んでいるのか謎は尽きないが、状況確認するのが最優先事項には違いないだろう。目を閉じている状態では何もわからない。
恐る恐る目を開く。強い光に目が焼かれるように痛い。しかしさきほどの死んだと思った時ほど痛くも無いし、少しの恐怖感が痛みを増幅させているだけで、落ち着いてみるとそこまでではなかった。
周りを見渡すと最低でも病院ではないことが分かる。これは・・・森?ただすべてが規格外。日本で見たことがある木の何倍もでかい、それに生えてる植物も見たことないようなのばかりだし、すべてが全体的に巨大だ。恐らくは全く知らないところでもしくは日本ですらなさそうだ。
うーん。病院で助かったけど、実験動物として売られたとか?そんな事あり得るのか?あまり可能性の高い話ではないと思うが死後の世界という可能性も?海外または死後の世界だったら見たことないおかしな植物たちも不自然な話ではない‥はず‥?兎にも角にも体があって生きているのは事実のはずだ。はずだ!
状況判断を最優先にするはずだったのだが、少し考えこんでしまったので、疑問は残るが周りの様子をしっかりと観察することにする。
最初に見渡した時と同じように巨大なしょくぶつたちがあって・・・
これは、ただの池だな。水面には森が反射して写っている。綺麗だな。
それと他には。
んんん?
これは一体どういうことだ?
ひたすらに巨大。その存在感は今まで感じたもののどれとも違う。それを木と表現するのも違うし、大樹?巨木?大木?それも違う気がする。
世界樹。
ファンタジー世界にありがちな名前だが、まさにこれを呼ぶのにふさわしいと思う。
さっきまで実は生きていたとか考えてたけど、これはまさに異世界転生だとか、異世界転移の可能性が高くなる。
あれだよね某小説投稿サイトとかのやつ。
しかしながらここが異世界であると思うと、そうとしか思えなくなってくる。
もう家族とか友人に会えないのかな?それは悲しいことのはずなのに、不思議と落ち着いてしまっている。悲しいことのはずなのに涙は流れない。
俺は非情な人間なのだろうか。きっと考えても仕方ないだろう。
少ししんみりしちゃったな。せっかくの異世界っぽい感じだし楽しまなきゃ損だよな。うん。
異世界ならやっぱり自分の体の状況が気になってくる。さっきまではあまり考えていなかったがしっかりと確認した方がよさそうだ。ほらゾンビウイルスとかありそうで怖いしな。チート能力とか。
うーん?自分の体に気を回すと少しの違いを感じる。
例えば、さっきまで気づかなかったが視点が少し低い気がする。全体的に大きいせいで分かりにくいが勘違いとかそういうのを通り越して低くなってる。それに違和感がなかったから全く気にならなかったが、微妙に感覚が変わっている。
何かがおかしい。早急に自分がどうなってしまっているのかを確認しなければならない。見渡した時に見つけたあの池なら分かるはずだ。
足元がなんだか毛深くなっている気がするが気のせいだと信じたい。
おい!?
どういうことだこれは!?
俺は鹿久保だ。それについては何があろうと誇りに持っているし大切にしている。
だけどこれはひどいだろ。
なんでだよ。
俺、鹿久保転生しても鹿なんだけどおおおお!?