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STATION XVII ~みてるか大星雲!~

遂に

 イデアがボロボロになって倒れている。やっぱりこいつ言うだけのことはあるようだけれど、

「...どいつもこいつもろくなことをしないなあ。計画に大幅な遅れが生じた。はぁ、お前とイデアから回収した後に、多次元ファイルを再構築しなくちゃいけなくなった。ショートカットだ」

オウスが手を振りかざすと同時に地中から巨大植物の蔦が伸びる。しかし僕の周りに張られた電磁フィールドに阻まれて燃え尽きる。手元にイデアを移し、エネルギーを吹き込む。イデアの身体を治しながら、オウスから飛んでくる光弾を裁く。イデアが目を覚ましたのを見計らって、遠くに移す。

「...よぉ、ケープ。随分オールナイトな服になったな」

「あぁ、おかげで星がよく見える」

「感動の再会のとこ悪いが、お前らの日々は今日をもっておしまいだ。なあに、明日(あす)からは、我が栄光の糧となる。神のみぞ知る世界の、な」

「続かせるさ、この夏を、この夜を。俺の7月31日はまだ終わってねえ!!」


 上空にいるオウスのところへ一瞬で座標移動をする。パンチをクロスカウンターし吹き飛ばす。

「見掛け倒しじゃないみたいだな」

「こっちだウスノロ」

「なッ」

ビルや金属部品を集約、精製したレーザーガンで砲撃する。くぅ、台詞も技も決まった。だが、急に背後にオウスが回り込んでいた。いや、それに至る経緯が曖昧になっている。しかし、超反応で裏拳を繰り出し、これまた吹き飛ばす。オウスが目をやると、地面から針山の様に集められたビルの破片が突撃してくる。それらを操る力を逆算し、崩壊させる。針山は再び破片に戻り、粉塵が立ち込める。その瞬間、

「とろいのは、お前の方だ」

オウスの無数の分身が周りを取り囲む。

「一斉放火」

太陽の様に輝く熱線が迫りくる。それら全てを手の届きそうな距離で停止させ、反対に打ち返す。直撃しオウスの分身は全て消え、ダメージを負った本体が煙の中に見える。仕留めるために銃を構えるが、その途端またしても景色が変わり、オウスの分身たちに動きを固められている状況になった。動けない僕に対して、真っ黒な糸鋸の刃の様なもので切りかかってくる。半径100mほどに超重力を発生させ、動きを止める。動揺したオウスで遥かに重みの上がった蹴りで叩き落す。その衝撃で地面から地下水が溢れだす。だが、地に叩き落されたはずのオウスは上から攻撃を仕掛けてきた。

「さっきから一体どんな種も仕掛けもあるマジックしての。パンドラもびっくりだぜ」

「あのチビ以来だぁッ、ここまでやれる奴は!」」

オウスが掌から閃光を放つ。それが雨の様に広がり、網と化し僕を取り囲む。座標移動で脱出した途端雷槍が襲う。レーザーガンでとっさに迎撃するが、懐に回り込まれ蹴りをくらう。身体が浮いたところを狙って、アッパーをしてきたがその手を掴んでこちらに引き寄せる。蹴り飛ばし距離をとってから、三回ほど互いの閃光砲を打ち合い。インファイトで攻め込む。オウスの大振りに対して正面からストレートをぶつけ打ち勝つ。痛みでオウスが悲鳴を漏らす。しかし、折れた腕を変形させ、僕を捕縛する。これは、イデアを縛っていた力と同種だろう。物質間の結合力を弱め拘束を解く。激昂したオウスがエネルギー砲を放ってくるが、こちらも出力を最大にまで高めたレーザー銃で迎え撃つ。そしてそのまま、大気圏の外へと押し返す。しばらくして、かなり体力を減らしたように見えるオウスが戻ってきた。

「ハァッ、ハァッ、どういうことだ...私の演算能力はこの惑星(ほし)を創った、この惑星と同値だぞ?何故、貴様ごときに、たかだか衛星サイズの演算能力で...引けを取る」

「月はなあ、宇宙船なんだよ。それも途方もないほど高度なやつでな。その演算能力は宇宙を網羅する」

「...ああー、思い出したぞ。あのチビどもが持ってきたガラクタかぁッ!つくづく、悪運の強い...まあ、いい。いかなる状況にもベストを尽くせるのが、私だぁ!!」

何だ、途方もないエネルギーを感じる。曇り空のスクリーンを焦がすのは燃え盛る人間?いや、

「そうだッ!この惑星だけではない、あの光り輝く恒星(たいよう)を創ったのも、この私だ!」

「曇って見えないぜ太陽は。それに、温暖化が促進しそうだから早くソイツをひっ込めてくれ」

「フッ、怯えているのか。そうだろうな二対一では、それが当然だァ」

ほとほとまいったな、こりゃあ。何とかしてタイマンに戻さないと。そう不安に陥ったのを払拭する声がこだました。

「そんな暗い顔すんなよ、ケープ。お前のおかげで、俺は本当の意味で成長できた。礼を言うよ」

それに、あれは、リライドに乗るシノンまで!

「ケープッ!」

「シノン...見えたぜ、星」

「...うん、よかったぁ、ほんとにッ、よかったあ」

「チッ、失せろ、死に損ないどもがッ」

燃え盛るオウスの爆炎がイデアに迫る。

「イデアッ!」

その時、ガキンと瞳に映るギアの上がる音がした。それはこの場合、いやいつでもこの上なく安心する音だった。

「俺の名は...」

爆炎が包む。しかし、それが霧になり、水滴に変わった。

「イデア・M・プリンキピア 父はプロメテウス 母はニケ 貴様に本当の火を見せてやる」

髪がセミロングにまで伸び、衣服は銀と紫のオーラを纏ったイデアの姿がそこにあった。

「纏めて消すまで」

(ケープ、とっておきの作戦がある)

(うわ、テレパしい?)

(それはタヌキの道具だ。いいか、アイツの能力は並行世界を認識し、干渉することだ。それで、今までの状況を好きな世界線から切り取ってきていた)

(じゃあ、それを全部なくすの?)

(いーや、もっと手っ取り速い方法がある。俺の新技で奴が次に世界線をいじった時に発動させる。だから、お前はアイツらをまとめて片づけられるように力を溜めとけ)

(オーライ)

イデアが髪をどかし、小さな歯車状のイヤリングを外す。同時に飛び上がる。

「お前は今日から“無能の神”だ。つってもまあ、お前に明日はないけどなあ!」

イデアの蹴りで白炎が滾る方のオウスをギア状の衝撃波を巻き起こさせながら吹き飛ばす。そして、イヤリングに力を込め宙へ放る。光の中にギアが消える。不審がるオウス。

(不発か?まあいい。いづれにせよ、また有利な世界線に変えるだけだ)

二人同時に突っ込む。オウスは不敵に笑い勝利を告げる。

「ひれ伏せ、我が前にッ!!」

世界線が、変わる。僕とイデアの目の前には絶好のタイミングで待ち構えるオウス達の姿が現れる。それは、こちらが狙っていた通り。

その瞬間、イデアの能力(ちから)によって、全世界線上に同一のギアが出現する。そして、それに合わせて、座標操作能力と全身全霊の砲撃を叩き込む!!蒼炎の閃光はギアから放出され、二人のオウス消し去り、雲を拭う。

興奮と熱気が渦巻く前の静けさが辺りを包む。

                 “そらは晴れた”


...

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