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異世界と狼と転生の話。  作者: Aifeel
1/2

0『ある日 森の中』


………


……………


…………………


 ん、ぅ…?…いつから寝ていたんだろう。

重たい瞼をゆっくりと開き、周囲を確認する。 …やけに視点が低いのは寝ているからか。

湿った土の感触が、やけに心地良い…


 どうやら、私が横たわって居たのは知らない森のようだった。 周囲は暗く、天高く伸びる木々の隙間から、満月が顔を覗かせている。

私の周囲は開けており、大地は少し黒く湿った土だ。

シンと静まり却っており、周囲に何かが居る気配も無い…どうしよう、もう一度眠ってしまう?


 …いや、その前に、その前に…


「わふ(何この状況)」

「…わぅ?(…何、今の声)」


 おかしい。

私の独り言に合わせて獣の鳴き声が聞こえる。 …位置は丁度私の位置、つまり…

…いやいやいや!?無い!あれ私の声!?嘘待って、でも視線を少し下げると視界の端に…鼻…犬っぽい…




 推測は合ってしまったらしい。

つまり、今の私は犬…じゃない、狼っぽいか。 身体を起こそうとしても安定しない訳だ、四足歩行動物が二足に起き上がろうとしたんだから。

腹這いになり、自分の身体を振り返ってみれば、そこには白い毛並みの身体…と、フサリと長い尻尾が見える。

…模様は無いけれど、この白は…ちょっとくすんでるというか…白っぽいグレーに訂正しようか…


 で。

なんでこんな事になったのか、記憶を遡っても理由が分からない…いや、確か遭難したんだっけ。

山の中で遭難して、食料尽きて、怪我して、狼見つけ…混濁してるな。 日本の狼は絶滅した筈…いやでも噛まれたというか喰い殺された記憶…うーん?

…絶対考えても分からない、謎が多すぎる。 誰かに話を聞いて、じゃあその為に人を探して…


……私今狼じゃんかよぅ! 絶対話出来ないよ、ただ独りぼっちも寂しいし…ぅー、襲われないと良いなぁ…


 とにかく動かないと始まらない、少し考えてるうちに眠気も全部散ってしまったし、とりあえず散歩。 狼スキーな人間が大当たり、狼キライな人間が当たり、狩人は当たらないでって事で。


慣れない筈の四足歩行、だけれど身体は知っている様で、少し小走りでも全然問題無さそう。 段々調子に乗ってきて、駆けた。

頬を撫でる風が心地よく、木々は視界の端へと流れていく。 段々木々が深くなって来るが、この身体ならば避ける事は訳ない。

アテも無く、ずっと直進していれば…


 …やがて行きついたのは、暗い洞穴だった。

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