迷い
前置きが長くなりそうですが、楽しんで見ていたたければなと思います。
悟が勤める会社はそれ程遠くなく、最寄りのバス停から二十分ほどでバスを降り徒歩で数分の場所にある。バスが来たので乗り込み、座る場所を見つけ腰を下ろす。発車し始めるて少し経ってから悟は夢と『影』のことを思い出し考え始める。
(一体何だったんだろか、見覚えがあるような夢だが、初めて見た気もする。あの黒い『影』はなにものなのだろう、次会うときっていつなのか)
そんなことを思いながら悟の心に『影』がふと放った一言が引っかかって消えない。
『もしなにか大事なものを犠牲にしてでもやり直したい過去はあるかい?』
その言葉の意味を考え、心の中で何度も反芻した。
「ある」
悟は無意識のうちに言葉に出していた。隣に座っていた高校生らしき少年が、驚いた様子でじっと見てくる、しかしそんな視線も気にせず考え込む。
(もしそんなことが可能ならどんなものでも手放し、あの時に戻り『彼女』を助け最後まで伝えることができなかった気持ちを伝えたい!・・・でも・・結局は夢の中の話だそんなうまい話があるわけない、あってたまるか・・・いや・・・あるとするなら)
と何者かもわからない、たかが夢に出てきた『影』の言葉に翻弄され、気づくと降りるはずのバス停を通り過ぎたことに気づいた
「あ」
また無意識に声を出してしまっていたらしく、隣の少年は不気味がり逃げるように席を移っていた。悟は自分に言い聞かせるように(落ち着け夢のことなど忘れろ!)と繰り返す。バスを降り、気持ちを切り替えて、悟は前へ歩き始めたがどこかで後ずさりしている気分だった。
歩道を歩いていると、春らしく淡いピンク色の花びらが風に流され空へ舞っている。悟はこの景色を気に入っていた。春という短い季節の間、後悔がないようにめいいっぱい空を舞う花びらたちの姿が。でも今はそんなお気に入りの景色も、夢や『影』のせいで触れば塵になりそうな弱々しい秋の堕ちゆく落葉にみえるた。
指摘、アドバイス等々くれれば幸いです。どんなことでも構いません。