序章
ゆっくりと瞼を開ける、大きめの麻袋を切り開き大きな布代わりしていた物をのけながら体を起こす。
枕代わりの左腕が僅かに痺れているのを感じながら右手に持つ拳銃を腰のホルスターにしまう。
麻布を綺麗にたたみ丸め紐で結び木製のベットに置く
「うっし!一丁やったりますか!」
3時間前まで俺は一介のフリーターであったが、今では草も木も水すらも僅かしか残されていない世界の住人である。
何が言いたいかと言うと、コレはいわゆる転生擬きだな。
特典と言えば右手首のアンクルポータブルとこの世界ではオリジナルを手に入れるのは困難なワルサーP99のみ。
まあ、このワルサーP99は特典と言うだけあって何処かが壊れても時間修復されるし、生体認識装置内蔵で俺しか撃てないその代わり今の所弾は三発だけしか入ってない。
この世界で銃火器を所持している者自体少ないし、銃弾の製造もほぼされていないとの事だがある秘策がある。
今目覚めたのは欲望の街カジノだ、街の名前もカジノだがこの街に一つしかない店の名前もカジノ
その店の一室から俺の物語が始まる。
アンクルポータブルには自動演算機と衛生マップ情報
音声記録装置にこの世界の情報が入っているらしい。
電池の問題で裏側のソーラパネルによる充電か、アダプターからの充電の二つがあるがフル充電で2日間の連続演算まで対応出来るそうなのであまり意識していない。
今回の問題は自動演算機だ、ここのスロットはビデオスロットでアダプターが差し込める。
このアダプターを接続出来れば、向こうの演算プログラムよりこちらが優れていればジャックポットにフリースピンなんて思い通り!
このカジノは紙幣価値が無くなった事でチップと交換する者は金属類や弾薬、車やガソリンを出さなければならない。
要するに此処では商品となるのは、金属、弾薬、車
全てこの世界での高級品だ。
幾ら金を積もうが既に金に価値が無くなった事で尚更手に入らない物が揃うこの店には遠くのカンパニーやグループが必要な物を求めてやってくるのだ。
しかしそれなら物々交換で良いのでは?
そう考えるものも中にはいる、その末路は大抵死体だ。
粗悪な物、偽造した物、そもそも物など持たずに奪いに来るものが大半なのだ。
その為カジノが間に入り仲介の役目を果たしているのだ。
しかしその為には自分の物をチップと交換し、1度は3分の1を賭けなければならない。
それに嵌るものも後を絶たない。
そんな店に俺は降りていった。
俺がチップと交換出来る物は一つ、腰に付けた拳銃ぐらいだ。
本当なら使用者を選ぶ商品なので交換出来ないのだが、幸い使用テストは持ち込んだものがする事になっている。
粗悪品の暴発等でカジノ側の人材を減らさない様になったようだが一発分弾は支給されるから問題はないだろう。
解体は俺以外でも出来るしバラバラの状態でも30分程で元に戻る。
換金所での結果珍しさから10チップが手元に入った。
だいたい、ごく普通のグレードの拳銃だと1チップ、9m弾1ダースで15チップ、劣化ウラン弾は一発分で20チップ
車両が最低80〜1000チップ
軍事用はカジノがそのまま買い上げている為そもそも車両なんて軽自動車程度の物だ。
此処の最高商品が陸戦用アクティブモジュール
この値段は100万チップでありそもそも売る気がない設定だ。
100万チップ稼ぐには、貴重なガソリンが60ガロン、水が200ガロン程の量が必要であり現実とはかけ離れた対価が必要なのだ。
前置きは良いとして。
目の前にあるのはポピュラーなキャラクターのスロットだ。右手で台を掴みつつ袖口からアダプターをさす。
この台は、最低レート1チップ〜最大レート10チップという設定だ。
当たり倍率は、最大500倍最小が2倍だ。
10枚を入れ回す、当たりで10倍この辺りの倍率は珍しくはないだろう。
とりあえず、拳銃を20チップで買い戻す。
残り80枚全てを弾薬に替えてもいいが5ダース程にしかならない。
弾薬、水に食料が欲しい今それだけでは足りない。
また、台に戻り回すとしよう。
今度は5チップ単位で回していく、ハズレ、ハズレ、3倍、2倍、ハズレ、ハズレ、ハズレ、2倍、ハズレ、ハズレ、ハズレ、2倍…12回回してトントン…三回程負けてから大きく当てるかな…それかギリギリで当てるか。
やっぱりギリギリだよな…。
この台には共通5倍マスとフリースピンがあるから最後の5チップでフリースピン、60倍×5倍で300倍、30倍残りはハズレにし結果1650枚やめどきだろう。
すぐにチップを交換しに行く
バックパックと9m弾10ダースで152チップ、オンボロバイクで250チップ、ガソリン缶2個で400チップ水が2タンクで150チップ、タクティカルベストが300チップで合計1252チップ、残り398チップは謎の缶詰に交換した。