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名前のない怪物  作者: 黒木京也
第三章 白い抹消者
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44.血の芸術家の帰還≪後編≫

 山城京子が再び覚醒した時、最初に視界に入ったものは、見知らぬ天井だった。

 続いて目についたのは、病院等で見る点滴の袋。

 何でこんなものが? という疑問は、自分の右腕に覚えた違和感で解決する。点滴の恩恵を受けていたのは、紛れもなく京子自身だったのだ。

 薄暗い部屋の中をぼんやりとした裸電球が照らし出している。すえたカビのような臭いが鼻をつき、京子は思わず眉をひそめた。ベッドのシーツからも何だか古くなった布の臭いがしている。どうも自分が置かれている場所は、あまり清潔とは言えない環境なようだ。

 そんなことを考えながら、京子はゆっくりと上体を起こし、辺りを見回した。

「……ここ、どこ?」

 少なくとも自分の部屋ではないことは明確だ。知り合いの部屋……でもない。自分が行ったことのある部屋を一つ一つ思い浮かべるが、少なくともこんな部屋は見覚えがない。

 雰囲気自体は、かつての非日常の共犯者、藤堂修一郎の部屋に似ていなくもない。

 だが、修一郎の部屋が、本人の趣味で意図的に陰鬱な死の世界を構築していたのに対し、この部屋にはそういった趣味嗜好の類いは見つからない。あるのは極々最低限の家具のみ。だというのに、少し薄暗いこの部屋には、ただならなぬ空気が充満していた。

 石造りの壁というのが、よりいっそう漠然とした不気味さを演出している。まるで石牢みたい。といった感想を京子は抱いた。

「おや、眠り姫さん、ようやくお目覚めかな?」

 唐突に京子の真横からしわがれた声が響く。京子がぎょっとしてそちらに顔を向けると、そこには不気味に笑う老人がいた。

 落ち窪んだ目はギョロギョロと血走り、思わず竦み上がるような迫力を有している。彫りの深い顔立ちに、刻み込まれたような皺が、只でさえ強烈な老人の凄味を更に増し増しにしている。その印象は、何処か年老いた猛禽類を思わせた。

 加えて問題なのは、その老人の格好だ。ヨレヨレのスーツの上に所々茶ばんだ白衣を羽織っている。それならばいい。だが、何度も人を殺めてきた京子には分かる。分かってしまう。その白衣の茶ばみは、明らかに血痕だ。それも、返り血を浴びた時につくような、飛沫(ひまつ)状のもの。

「……誰?」

 固い声で問いかける京子に対して、老人はのんびりした様子で、白衣のポケットに手を伸ばす。

「誰でもよかろう」

「よくないよ。明らかに怪しい人だもの」

 しれっと答える老人を、京子はムッとした表情で睨む。そんな京子の反応に、老人は困ったように肩を竦めると、ポケットから何かを取り出した。皺だらけの手に握られていたのは、年代物の長い煙管だった。

「フム、では名前は明かせないが、職業は明かそう。私はね。闇医者だ」

 うさんくさい。京子は内心でそう毒づいた。老人はそんな不審げな表情の京子を無視して、煙管に刻み煙草を詰め始める。

「君をここへ運んで来たのは、私の抱えている患者の一人でね。ああ、そろそろ帰ってくる頃だから、すぐに会える筈だ」

 煙草に火がつけられ、老人の口から紫煙が揺蕩(たゆた)う。妙に似合うその一連の動作に、京子が無意識で感心していると、不意に部屋の外から呼び鈴のような音が響いた。

「フム、噂をすれば……か。少し待っていたまえ」

 老人はそれだけ言い残すと、そそくさと病室を後にした。取り残された京子には、もはややることもなく、遠ざかっていく老人の足音だけが廊下にこだまする。

 やがて、何個もの鍵を外す音と共に、キリ……キリ……。という聞き覚えのある軋むような車輪の音が耳に入った。

「やはり君か。例の彼女。つい先程目を覚ましたよ」

「おや、それは良かったです」

 入って来たのはどうやら女のようだ。声から推測すると、まだ若いような印象を受ける。自分と同じくらいか、少し上だろうか? 京子はそう直感した。

「脚の具合はどうだね?」

「まぁ、例によって未だ痺れは取れません。ですが、この分だと治るのは時間の問題でしょうね」

「長年医者をやっているが、君のような症状は見たことも聞いたこともないな。その脚、調べさせては、くれないのかね?」

「駄目ですよ。私の〝コレ〟は、特殊な例ですしね。そもそも、患者のプライベートは極力詮索しない。それが貴方のスタイルでは?」

 女の咎めるような声に、老人は慌てたように何度か咳払いする。

「失礼。余計な好奇心を働かせてしまったようだ。こっちはお金さえ貰えれば後は何も言わない。その車椅子も、病室も。好きに使ってくれたまえ」

 取り繕うかのような老人の声に、女は「感謝します」とだけ告げると、再びキリ……キリ……。という音をたてはじめた。

 こっちに来る。

 京子は思わず身体を強張らせる。やがて、車輪の音は徐々に鮮明になり、部屋の入り口まで迫ってきた。

 現れたのは、車椅子に乗った茶髪の女だった。先程の老人と違い、清潔な白衣の下にパンツスーツを着込む出で立ちは、理科か保健の先生と名乗られればしっくりくるような。そんな印象だった。ただし――。

「ヒュー……ヒュー……」

 ただしそれは、あくまでもその女の首から下にかけての格好の話だ。首から上を見たならば、瞬く間にその印象は払拭されることだろう。

 まるで喘息にでも罹患したかのような荒い呼吸。ざんばらに乱れた髪と、虚ろな眼窩。見た目の不気味さならば、先程の老人といい勝負かもしれない。

 女のあまりにも衝撃的な登場に、さすがの京子も、しばし言葉を失っていた。

「どうも初めまして。山城京子さん。無事意識が回復して何よりです。このまま目を覚まさなかったらどうしようかと思いましたよ」

 本人はにこやかな顔を作っているつもりなのだろうか? 女は、子どもが見たら泣いて逃げ出すような歪な笑みを浮かべ、京子に向けて一礼する。

 恐ろしい見た目に反した丁寧な物腰は、見るものの心を何処か不安定にするような。そんな、怪しさがあった。

「あのお爺さんの話だと、あたしをここへ運んだのはあなただって話だけど」

「はい。あの部屋で気を失っていた貴女をここに運び出したのは……ええ、〝結果的には〟私ですかね」

 なんとも意味深な返答を返す車椅子の女に、京子はゆっくり頭を下げた。

「ありがとう。理由や目的はどうあれ、一応お礼は言わせて貰うわ」

「おや、何処と無く棘のある言い方ですね?」

 肩を竦める女に対して、京子は「当然じゃない」と、不機嫌そうな顔になる。

「人の部屋に不法侵入。加えて、助けるためとはいえ、連れてきたのは自称闇医者のいるうさんくさい病棟――。ほぼ誘拐ね。更に何故かあたしの名前を知っている。これで警戒するなって言うほうが難しいじゃない 」

 京子の言い分に、女は「最初の二つは否定しようもないですけどねぇ……」と、ボヤきながらも、スーツの内ポケットに手を入れた。取り出されたのは、携帯電話。女はそれを素早く操作すると、そのまま京子の方へと放り投げる。

「ちょっと! いきなり何する……え?」

 突然物を投げ渡され、非難の声をあげかける京子。だが、そのムッとした表情は、携帯電話のディスプレイを見るなり、凍り付いたかのように硬直した。

 携帯電話の画面に表示されていたのは、ごく普通のニュースサイト。表向きは恋人として振る舞っていた男もよく利用しており、その有用性を大絶賛していたのを、京子も何となく覚えている。

 だが、問題はその有用性などでは勿論ない。ニュースサイトのトップページ。そこには、でかでかと自分の写真が載せられており、『連続猟奇殺人事件の実行犯。山城京子、依然逃亡中』という見出しの記事が、これでもかというくらいにピックアップされていたのだ。

「何よ……コレ」

「まぁ、それだけ話題にあがっているんです。こんなに間近で見て、私が貴女の事に気がつかない訳はないでしょう」

 納得して頂けましたか? と、女は小首を傾げる。京子はそれを無視し、食い入るように自分のニュースに目を通す。

「九月……一日。あたし、六日も眠っていたの?」

 京子の口からポツリとそんな言葉が漏れる。

「ええ、そうですね。こうみえて結構ヒヤヒヤしたんですよ? 何せ、自力で生還したとはいえ、一度はあの化け物――。怪物の攻撃を受けているんですからね。貴女が思っている以上に、貴女自身の消耗は相当なものだった筈。六日間も眠ってしまったのも、無理はないかもしれません」

 京子の呟きに反応するかのように、女はわざとらしく身震いするような仕草をする。

 本人は至って真面目に話しているのかもしれないが、女の仕草と口調には、所々白々しさが滲み出ていた。その態度を目の当たりにしていた京子は、苛立ちをぶつけるかのように、女に携帯電話を投げ返した。

「……見ていたの? 一部始終」

「残念ながら、私が僅かな手掛かりを頼りに貴女の部屋にたどり着いた時は、すべてが終わっていましてね。手遅れだと思ってそのまま放置していたんですよ。まさか生還を果たすとは思いませんでしたが」

「お生憎様。怪物だか何だか知らないけど、あれぐらいであたしの心は折れないわよ。……そんなことより、聞きたいことがあるんだけど、いいかしら?」

 物珍しげな女の視線をはね除け、京子は女を睨む。気になることはたくさんある。警察にマークされてしまったこと。女はどうやって自分の部屋に上がりこんだのか。あの怪物とやらは何なのか……等だ。だが、今の京子には、そんなことよりもハッキリさせておきたいことがあった。

 女は「どうぞ」と、余裕綽々で京子に質問を許す。その態度が京子の感情をますます逆撫でしていることに、女は気づいているのだろうか?

「あなた、何が目的?」

「おや、目的……とは?」

 惚けた態度をとる女に対して、京子の眉がつり上がる。

「はぐらかさないで。普通に考えればおかしいじゃない。不本意ながら、あたしは世間では殺人鬼。だなんて不名誉極まりないレッテルをはられているわ。最初は知らなかったとはいえ、後から発覚したときに、どうしてあなたはあたしをそのままにしていたの?」

 京子に言わせれば、この女の行動は不可解だ。だというのに、ちゃっかりいつでも京子を社会的に潰せる立ち位置にもいる。その絶妙な距離感が、京子になんとも言えぬ気持ちの悪さを感じさせていた。なにせ、女の目的が見えない以上、京子は迂闊な発言や行動も出来ないのだ。

「ああ、それはいたってシンプルですよ。現段階では、貴女を警察に引き渡すわけにはいかないんですよ」

 人差し指を立てながら、女は何でもない事のように答える。

「……どういうこと?」

「どうもこうも、アレに攻撃を受けたのなら、見たのでしょう? 怪物の姿を。どうでしたか? もしかしなくても、黒いセーラー服を着た、女子高生の姿だったとか?」

 女の何処か確信めいた言葉に、思わず京子は目を見開く。何故? という表情を読みとったのか、女は満足げに頷いた。

「当たりのようですね。予想はしていましたが。となると、そろそろ私も情報が欲しいですね。差し支えがなければ、その怪物と遭遇した経緯と一緒に、貴女がうわ言のように名前を呼んでいた人物についても、教えて頂けませんか? そう、確か――」

 女は口元に手を当て、瞳を愉悦の色に輝かせながら、その名を告げる。

「レイ君……でしたか?」

 その瞬間、京子の表情がわかりやすく歪む。鬼女の如しその形相にも、女は最後まで怯む様子は皆無だった。


 ※


 その後、京子は自分が知りうる限りの出来事を、多少の自己解釈を含めた上で、女に打ち明けた。

 それは、血の芸術家が歩んだ物語。

 いかにして芸術を生み出してきたのか、材料をどう加工したのかを、嬉々として。自分を否定し、裏切った彼、――レイを苦々しげに。そして、突然現れ、自分の何もかもを奪いさった怪物を憎悪に身を焦がすように。山城京子は、まるで舞台役者にでもなったような身振り手振りで、車椅子の女に自身を語る。

 京子の長く、血生臭い物語を、女は眉ひとつ動かさずに最後まで聞き入っていた。

「なんと言いますか……私の運も捨てたものではありませんね。ここにきて、こんなにも頼もしい相手に巡り逢えるとは」

 女は苦笑いを浮かべながら、車椅子を動かす。ドアの前から京子の横たわるベッドの傍へ。そこで両者は、初めて互いの手が届く位置へと身を置いた。

「話して頂き、感謝します。ここまで知っている以上、ますます貴女を警察に引き渡すことは出来なくなりましたね」

 何処か嬉しそうに語る女に、京子は肩を竦める。

「だったらどうするの? 口封じでもするのかしら?」

「まさか。そんな勿体無い事はいたしませんよ。ただ、貴女にお願いがあるんです」

 京子の目を真っ直ぐ見つめながら、女は今までにない真剣な表情を見せる。

「単刀直入に言います。私に協力しては頂けないでしょうか?」

「……協力?」

 訝しげな顔になる京子に対し、女は静かに頷いた。

「私の目的は、怪物の存在をこの世から抹消する事なんです。現在怪物のことを知っていて生存しているのは、私と貴女。『レイ君』と……あと一人位です。なので、貴女を仲間に引き入れられれば、怪物の抹消がよりやりやすくなるんですよ」

 女の言葉に耳を傾けながら、京子は静かに思案する。

 考えることは、目の前にいる不気味な女と、自分の今後の身の振り方について。

 この女を信用するかしないか。それはまだ保留にした。協力関係を申し出てきたとはいえ、何だか腑に落ちないものがあったのである。

 だが、怪物への憎悪。これは恐らく本物だと、京子は確信していた。怪物の事を話す時の女からは、隠しきれぬ狂気の影が見え隠れしている。そう思えたのだ。所謂女の勘という奴ではあるが。

 続いて考えたのは、自分の今後だ。こうなってしまった以上、大学生という隠れ蓑はもう使えないだろう。両親からの援助も期待は出来ない。

 となると、自分の創作活動はどうすればいいか? 

 京子は更に考える。ふと、脳裏に忌まわしい記憶――。もとい、幻像が浮かび上がる。レイと、それに甘えるように寄り添う怪物の姿。あの二人は、きっとこれからも、非日常の中を歩み続けるに違いない。道端に打ち捨てた京子のことなど忘れて、のうのうと。そう考えた時、京子の中で、再び何かが音を立てて燃え上がり始める。それはいつかと同じ、憎悪からくる激情だった。

 やがて、本人は自覚していない復讐の炎は、京子に一つの結論を導き出させる。否、結論を下したという言い方には、語弊が有るかもしれない。正しくは、あるべき場所に落ち着いたというべきだろうか?

 結局、自分には選択肢なんて初めからなかったのだ。と。京子は内心で笑う。

 〝作りかけの作品〟を、そのままにしておくだなんて、芸術家(アーティスト)の名折れだ。山城京子の中での動機は、突き詰めて言えば、そんないたってシンプルなものだったのである。

「ねぇ……怪物を殺すんでしょう? どうやるつもりなの? あれに真っ正面から挑んでも、勝ち目は薄いと思うんだけど?」

 京子の質問に、女はクスクスと、歪な笑みを浮かべる。

「それについては問題ありません。私はアレの秘密は勿論、弱点も知っていますからね。貴女の返答次第では、教えて差し上げてもかまいませんが?」

 女はあからさまに挑発するような態度を取る。それに思わず「人の足元見る奴ね……」などと悪態をつきながらも、京子の顔は晴れやかな色を見せていた。

 これからの出来事に期待するかのような。そんな雰囲気が、そこにはあった。

 やがて、京子の手がゆっくりと持ち上げられ、女の前に差しのべられる。

「それは……協力を承諾していただけた。と、取ってもかまいませんか?」

「ええ。だって怪物狩りだなんて、とっても非日常だもの。参加しない手はないわ。ただし――」

 女の問いかけに、京子がにこやかに答えた次の瞬間、女の喉首に京子の五本指が絡みついた。

「ただし、覚えておいて。あの怪物を殺すのはあたしよ。レイ君だってあたしの獲物なの。そこは譲れないわ。もし邪魔立てするなら、あたしの作品が、〝一つ増える〟事になるわ」

「おやおや。では肝に命じておきましょうか」

 首を絞められかけて尚、車椅子の女は顔色一つ変えることはない。それどころか、感心したような表情になってすらいた。

「そこまでおっしゃるのでしたら、怪物と『レイ君』の方はお任せしますよ。貴女の怪物への憎悪と執念。それに私からもたらされる情報があれば、怪物と互角以上に渡り合うことも可能でしょうしね」

 そう言いながら、女はスルリと京子の手から逃れ、そのまま包み込むように京子の片手を握りしめた。

「そういえば、自己紹介がまだでしたね。元、鷲尾大学大学院所属、(から)(さわ)汐里(しおり)と申します。以後、よろしくお願いします。……先程の凄み、感服いたしましたよ。流石は殺人鬼さんですね」

 ちっとも感心のかの字も見られない、嘲るような笑みを浮かべる汐里。もういちいち不快に眉をひそめる事に疲れた京子は、無言で(かぶり)を振る。

「殺人鬼。何て不名誉で品のない例えはよしてもらえるかしら? あたしは断じてそんなのではないもの」

 そんな京子の反応に首を傾げながら、汐里は愉快そうに首を傾げる。 

「はて、では貴女は一体何者なのでしょうね?」

「そんなの決まっているじゃない」

 慎ましやかな胸を張り、京子はそう答えることが使命であるかのように、その肩書きを口にする。


「あたしは血の芸術家。非日常に生き、非日常を描き続ける、表現者よ」



 かくして、路地裏にひっそりと存在する病室の中で、二人の女は手を取り合った。

 一人は復讐と、己の欲望のままに殺意をぎらつかせながら。

 もう一人は、未だに見せない確かな殺意と狂気をその身に匂わせながら。

 ただ、〝その時〟を待つ。


 精々今のうち、存分にイチャついているがいいわ。

 山城京子は、獰猛な表情で薄ら笑いを浮かべた。

 今度こそ取り逃がす気は毛頭ない。あの二人はきっと、自分の作品の中でも、最高傑作に相応しい出来栄えとなるに違いない。

「楽しみだね? 待ち遠しくてワクワクしちゃう。あなたも同じ気持ちになってくれたら、うれしいな……ねぇ、レイ君?」

 瞳に狂気と狂喜を宿らせ、京子はただ、虚空を見つめ続ける。

 その目は紛れもなく、獲物を追い詰めて弄ぶ、(けだもの)のそれだった。

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