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名前のない怪物  作者: 黒木京也
続章ノ四 愛憎の最終紛争
212/221

人物解説:蜂陣営&対策課編

蜂の陣営

蜂の怪物は女王を頂点としたコロニーを形成している。蜂の女王は他の怪物の肉を主食とし、女王を含む蜂の怪物達はそれをとらえる為の毒を有している。地球外生命体以外にこの毒をうちこむと、ゾンビもかくやに血族を増やすことができ、その中でも優秀な個体だけが蜂の姿を手にできる。なお、蜂として覚醒できなくなった場合は、醜い怪物のまま、理性も完全にない気狂いに成り果ててしまう。

大神村では人間と秘かに生き延びていたニホンオオカミに打ち込んだ為、中途半端な怪物は人狼というべき姿をとっていた。


①リリカ

性別:♀

年齢:享年13

好き:メロン、美女や美少女の肉

趣味:獲物の四肢切断

種族:人間→蜂の怪物

備考:ストロベリーブロンドの髪と、背伸びした印象を与えるニットワンピースが特徴的な少女。元々は国内のとある孤児院に収容されていた家無き子だったが、そこが蜂の襲撃にあい、怪物化。働き蜂として何年かは孤児院とあまり変わらぬ劣悪な環境の中で過ごすが、ある日彼女は、女王の威光が弱まりつつある事に気づく。今こそ好機と判断した彼女は、そこから更に年月をかけて牙を研ぎ、仲間を集め。ついに女王を引きずり下ろし、過激な反対派を皆殺しにして、自由を手に入れた。

安息の地と、信頼できる家族。それだけが彼女の望みだったのだ。だが、死に際に先代女王が放った言葉は、今も彼女の心に突き刺さっている。

「私達みたいな怪物に、安息の地などあるものか。弱肉強食。覚えておけ。お前もいずれ衰え、誰かに引きずりおとされるだろう。……蜂とはそういう生き物だ」

そこから一年もたたぬうちに、彼女はその意味を知ることになる。女王の座を追われ、今や愛した男と共に生きることで精一杯な彼女は……今日も蜘蛛の巣の中でもがき続けている。


能力:蜂の怪物に由来する力で戦う。巨大な蜂に変身する他にも、手を蜂の腹部に似た槍に変えたり、針先や口から毒液を噴射することも出来る。

この毒は怪物に対しては絶大な効果を発揮することが出来、調整すれば全身麻酔を施したり、逆に感覚を鋭敏にしたり、怪物としての能力を完全に封じ込め、ただの丈夫な人間にまで貶めるこすら可能である。

また、切り札としていた蜂の運動エネルギーを腕に集中させ、一気に拳で相手を撃ち抜く技は、彼女の女王として蜂全体を養う力により後押しされていた為、陥落した現在は使えなくなっている。


裏話:洋平を男性として愛しているが、当の洋平がリリカを娘としてしか見ていないのが悩みのタネ。



②蜜火洋平

性別:♂

年齢:享年33

好き:馬刺し。ロールキャベツ

趣味:ボルダリング。

種族:人間→蜂の怪物

備考:浅黒く日焼けした肌と、高そうなスーツ姿が特徴の男。元々は海上保安官として働いていたが、海難事故から最愛の妻と娘を守ることが出来なかった事から辞職。そのまま親類や友人らとの連絡も断ち、ワンカップを片手に静かに朽ちていこうとしていた所を、半ば強引にリリカに襲われて怪物化を果たす。最初はあまりに非常識な存在になってしまった自身に苦悩するが、女王の圧政に等しいカースト制のコロニーに愕然とし。また、そこで必死に抗おうとするリリカの中に亡き娘の姿を見出だした彼は、彼女に仕え、守る事を誓う。それは、腐るだけだった自分に生き甲斐を与えてくれた、小さな女王への恩返しだった。

彼女の為ならば、死など恐れず、喜んで泥を啜ろう。そう言いながら、彼は今日も、女王の伴侶を王と囃し立てる。それは彼なりの痛烈な皮肉だった。


能力:リリカと同じ蜂の力。本人の戦闘能力も非常に高いため、女王という階級を取り下げれば、リリカよりも強い。

現在は立場が対等なため、なおのこと過保護になっているようだ。


裏話:亡き妻や娘を悼みながら、今はリリカを幸せにすることに全力を傾けている。のだが、肝心の本人の幸せと、洋平が思い描く幸せが結構ズレているのはご愛敬。



③熊蜂昭男

性別:♂

年齢:享年20

好き:炒飯、回鍋肉

趣味:格闘ゲーム

種族:人間→蜂の怪物

備考:ドレッドヘアがトレードマークの軽薄そうな男。生前は近所にある中華料理店の看板娘に猛烈なアタックを繰り返す、ごくごく普通の大学生だった。

転機が訪れたのはとある夜。とある事情で立ち退きを要求された中華料理店。その筋の人間達に看板娘が引きずられていくのを見た彼は、無謀にもその集団に殴りかかり、袋叩きにあう。

そのまま無様にゴミ捨て場に投げ込まれた彼が己の無力を嘆いていると、不意に声がかけられた。

「どうして泣いてるの?」

現れたのは、ストロベリーブロンドの少女と、ガタイのいい男。昭男が事情を話すと、二人はしばらく考えてから、静かに彼に問いかけた。「残りの人生、全てをかける覚悟があるか?」……と。

そうして彼は怪物(ヒーロー)となった。全ては愛した人を救うため。

結果は悲惨なもの。女の全ては救えなかった。だがそれでも、彼は彼女が生きてさえいればそれでよかった。絶望しても、立ち上がってくれるその日まで、怪物は彼女を支える覚悟だったのだ。自分はもう、彼女と結ばれることがないのだとしても。

運命は進んでいく。紆余曲折あり、彼女もまた、彼の傍で怪物になることを選んだ。外敵との苦しい戦いはあれど、それでも幸せな日々。そして……。彼はとある夜。あまりにもあっさりと、凶弾に倒れた。


④足利賢

性別:♂

年齢:享年12

好き:おっぱい、お尻、腰、ふくらはぎ

趣味:綺麗なお姉さんを見ること。

種族:人間→蜂の怪物

備考:清々しい程のイキりエロ少年。本人の武勇伝の九割が嘘である。蜂のナンバー2を自称するが、これは彼の中でリリカと洋平が対等であるから故に。だが、実際には模擬戦では熊蜂に手を抜かれているのに気づいていない。つまり上から数えれば四番目。それでも普通の蜂に比べれば強いことに変わりはないのだが。

蜂になったのは、偶然リリカと洋平を見てしまったが故に。そのまま餌食となり、蜂の力を手にした彼が真っ先に行ったのは、自分を虐待していた両親と、いじめていたクラスメイト。そしていじめを黙認していた教師への復讐だった。孤独に生きていた彼は、初めて力を認めてくれた仲間に出会い心から喜んだという。調子に乗ってよくリリカにお仕置きされるのは、仲間内ではよく見られる風物詩となっている。

強襲部隊が乗り込む直前に小野大輔により昏倒させられる。

その後、作中では言及されていないが、大輔が屋敷に逃げ込んだ後、蜂のサンプルはもう不要という理由で竜崎沙耶によって射殺された。唯一の救いは、彼の意識がなかったこと。これに尽きるだろう。


⑤虎縞雀

性別:♀

年齢:享年19

好き:ソフトクリーム、杏仁豆腐

趣味:料理(特に中華)

種族:人間→蜂の怪物

備考:素朴などこにでもいる女子大生。少しだけ荒っぽい姉御肌な口調が特徴。

家の借金により、その筋の人間らに売り飛ばされる直前にリリカ、洋平。そして怪物化を果たした熊蜂によって救出され、そのまま日常へ戻る……筈だった。命からがら実家の中華料理店に帰ってきた彼女が見たのは……。首をくくって絶命した両親の姿だった。娘を奪われ、店も奪われた両親には、既に生きる気力が残されていなかったのである。

嘆き悲しむ雀。泣いて泣いて泣き疲れて眠りについた翌日。

奇妙な縁で結ばれた四人は、意外に上手な洋平の炒飯で食卓を囲んでいた。

誰もが無言だった。だが、雀は予感していた。三人は怪物だ。もうここに戻って来ることはないのだろう。だから……彼女は小さな女王に懇願した。

「アタシも、連れてって……」

細やかだが、幸せな日々。だが、それは長くは続かない。一人二人と仲間は倒れ、やがて彼女は誰にも看取られることなく。強襲部隊に首を切り落とされた。



⑥斎藤

性別:♂♀

年齢:享年42

好き:プリン

趣味:執事の真似事(リリカのリクエストかつ、現在のもの)

種族:蟷螂の怪物(原種)

備考:斎藤は斎藤以外の何者でもない。偏屈な中年で、思い付きで何かに没頭し、数年で飽きるという奇妙な行動を繰り返すサラリーマンだった。それは永遠に満たされない何らかの渇きを満たす旅。

酒や女ではダメだった。趣味も長く続かない。武道の道に行った事もあるが、どれも続かず。もはや自給自足生活で仙人じみた境地に至ってみよう。というぶっとんだ理由で仕事を止め、とある山奥に掘っ立て小屋を建設し、世捨て人となる。持ち込んだのは生活に必要なもの以外は、浮かれて購入した模造刀のみ。

そこから一年か二年経ち。彼はふと、掘っ立て小屋の片隅で、蟷螂を見かけるようになった。最初は気にも留めなかった。取るに足らぬ小さな命。しかしそれは日を追うごとに大きくなっていく。

放置していたのは興味だった。果たしてコイツはどこまで大きくなるのか。それだけだった。だが、その蟷螂から明らかな殺意が発せられ始めたのに気づいた時、斎藤の心は今までにない戦慄と歓喜に浮き足だった。

「そうか……。俺を喰おうというのか……!」

そうして、斎藤にとっても初めての生存闘争が始まった。

数ヵ月後。登山客によってボロボロに崩された掘っ立て小屋と、折れた模造刀。そして、脳を含む全ての内臓が消えた死体が発見される事となるのだが……当然、ここで何があったかを知るものは誰もいない。ただ、目撃者は震えながら口々にこう言ったという。

「小屋の中が、蟷螂の子どもでいっぱいだったんだ……」


能力:強烈な攻撃力を有する蟷螂の怪物。だが、その他には特筆すべきものがなく。蟷螂という虫の特性上、実は奇襲が最も本領を発揮するため、正面からの戦闘は苦手である。そのため、密かに怪物への対策をふんだんに用意していて、かつ茸の怪物としても覚醒を果たしていた雪代弥生には敵わず、惨殺された。後に死体は怪物に喰い荒らされるという辱しめも受ける。


裏話:実は両性。つまり斎藤は男でもあり、女でもある。そもそも蟷螂の怪物は雌しか存在せず、それが気に入った雄を捕食し、体内で交配。すぐに卵を産み落とした後は寿命がつきるまで放浪し続けるのである。リリカ達に出会ったのは足利と同じく偶然。暇潰しに喧嘩をふっかけて、リリカに敗北するも気に入られ、今に至る。


⑦ロボ

性別:♂

年齢:享年5歳(犬科の年齢)

好き:ササミジャーキー

趣味:走ること

種族:ニホンオオカミ→蜂の怪物

備考:元々は密かに生き延びて、森島の家が代々密かに管理していた野生のニホンオオカミ。元はオイヌ様のように崇められていたらしい。近年再発見されたクニマスと同じく、里でも絶滅種のニホンオオカミという認識はなく、ただの野良犬だと思われていたらしい。彼はその群れの頭目(アルファ)だった。だが、突如現れたリリカ達によってその座を追われ、群れには今や純粋な狼は一匹もいなくなってしまう。いつか復讐を……。そうは思っても、もはや飼い犬も同様になりつつあった狼には、そこまでの行動力はなく。いたずらに人間の本能も取り込んだせいで、ますます暴走していくばかり。最終的にエディに殺害されるその瞬間まで、彼は誇り高き狼ではなく、リリカの飼い犬だった。


⑧シュバルツ

性別:♂

年齢:享年4歳(犬科の年齢)

好き:缶詰

趣味:そりを引くこと

種族:(シベリアンハスキー)→蜂の怪物

備考:ロシアから日本に移住した中年夫婦の飼い犬……だったらしい。エディの親友達の中で唯一生き残り、彼の願いの行く末を見届けた後は、蜂としての本能と、第二の故郷を荒し始めた新たな敵の駆逐の為、怪物の傍につく。

利害の一致で洋平やリリカをそのままにしているが、自分がもっと強くなった暁には必ず噛み殺すと心に決めているらしい。



地球外対策課

地球外生命の調査。及び被害の鎮圧を目的とした、表向きは警察に存在しない組織である。また、そうだと言及されている訳ではないが、小野大輔と副官の雪代弥生以外は人格に何らかの欠陥を抱えていたり、職務上で問題を起こした職員が、半ば左遷のような形でここに送り込まれている。


⑨大鳥源治

性別:♂

年齢:享年56歳

好き:酒

趣味:酒

種族:人間

備考:対策課所属。配属理由は度重なる職務中の飲酒。及び酒気帯び運転。酒がないなら死ぬと豪語する酒好きで、口癖もまた「酒はあるか?」

警察官としては失格もいいところだが、この悪癖を除けば捜査能力や逮捕術など、能力自体は非常に優れており、小野大輔もまた、彼から酒癖以外の技術を学びとった程。

対策課にいる期間も雪代弥生に次いで長い歴戦の猛者だったが、大神村で任務中に蜂の襲撃にあい、多勢に無勢の戦場で殉職した。


⑩宮村佑樹

性別:♂

年齢:享年27

好き:女(守備範囲広し)、ピザ

趣味:ナンパ、ダイビング

種族:人間

備考:対策課所属。応酬した麻薬に手を出したことで懲戒免職か、対策課へ異動を言い渡され、対策課にやってきた。在籍日数はそこまで多くなく、修羅場も殆んどくぐっておらず、本人もスリルが味わえるからという理由で過去の犯罪に反省している様子はない。大神村での任務中、蜂の怪物化した狼に噛まれ、彼自身も怪物化。本能のままに小野大輔に襲いかかるが、返り討ちに合う。

その後、森島の屋敷で拘束されていたが、強襲部隊の乱入に乗じて逃亡したとのこと。その最中でエディの仲間達と交戦。これを蹴散らすが、それにより犬達は怪物の力を手に入れる事になり、間接的にルイの救援に繋がった。作中では描写されていないが、森島の屋敷を脱出した後、不幸にも桜塚竜馬やカイナと遭遇し、蜂のサンプルは不要として容赦なく怪物として処分された。


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