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天使の探究者  作者: はなり
第一章  始まりの夜

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異能

「それから気絶して、私は病院へ・・糸見は?」


「あぁ、あいつの怪我は特にひどかったんだが、心臓に施された縫合が完璧だったおかげで命に別状はなかった。いつの間にか仲間と共に居なくなっていたよ。まったく礼ぐらいしろってんだよな」


「そうですか。それなら良かった」


「っふ、いい顔をするようになったな糸音。こないだとは大違いだ」


「そう・・ですかね。ならきっと、こいつらのおかげですね」


糸音は未だスヤスヤ寝ているメイを見る。


「良い仲間だ、大切にしろ。さて、話の続きだが、糸音。他の連中には説明したが、ここからの話はとても重要だ。お前たちはすでに巻き込まれてしまったからな。いや、そういう運命なのか。糸音、まずその話をする前に一つ。お前は異能についてどこまで知っている?」


「そうですね。正直な話、何も知らないです。自分がいつから異能を使えるようになったのかすらわかりません」


「なるほどな。そういえば、まだ記憶が少し曖昧なんだったな。正直、私も全てを知っているわけではない。まぁ異能に関してはお前の姉が詳しいだろう。それはいいとして、まずは異能の力の発現について話すか。なぜ、お前達が異能を使えるのかと言った話だが、これはある()()に触れることにより呼び起こされる」


「呼び起こされる?」


「あぁ、それを説明するにはまず、夕凪家について話そう。夕凪家がどうして皆、異能を使えるのか。それは夕凪家が持っている異能を呼び起こす力、天与核によるものだからだ。」

 

「天与核?聞いたことがないですね」

 

「知らないのも無理はない。志貴や糸衛が教えなかったからな。この事を知っている人物は少ない。あれは夕凪家の先代の頃からあったものだ。先代はそれを私利私欲の為に使おうと独占していた。そしてそれを使い、志貴や糸衛、お前の姉達に力を与えていた。先代はこれを使い異能の軍隊を作り、この国そのものを乗っ取ろうと野望をいだいていた。まぁ、そのくだらん野望は糸衛率いる俺やお前の姉たちとで阻止できたけどな。そしてその後、志貴を当主として、残ったのがお前たち姉妹だ。他の夕凪家の連中は未凪家に名を変え落ち延びている。そんな騒動の中心にあった天与核は今、志貴の管理の下、望める森のある場所に管理されている」

 

「それって、たしかクーデターのことですよね。それに関しては師匠たちから話は聞いていましたが天与核については初耳です」


「これは秘匿だからな。こんなものがあることが世に知れ渡ったら、悪用する連中は山の様に出てくる。まぁもっとも、あの場所なら奪われるはずはなかったんだが」


「はず、ってことはまさか、それが奪われてしまったんですか?」


「そうだ。この争いの乗じてな」


「それってまずいんじゃ・・」


「ふん、まずいなんてレベルじゃない。今すぐにでも見つけ出さないと、人間社会、あるいは世界そのものが終わるかも知れない。それぐらいやばいもんだってことだ。正直、驚いているよ。あの場所、しかも望める森の最奥だ。秘境中の秘境にあるはずのものが、結界まで施して、厳重に厳重を重ねて守っていたものがあっさりと盗まれた。糸見は全く関係ないと言っていたが、おそらく利用されたんだろう。街での吸血鬼の出現、未凪の裏切り、学園の襲撃。さらに異能殺しで志貴が一瞬、異能を使えなくなった。これが大打撃だったんだ。っと言うのも核を守っている結界の一部が志貴の力だったからな。大本の結界は、ある呪い師の家系の知り合いに頼んで作ってもらったらしい。その呪いは俺や志貴ですら太刀打ちできない強力なものだ。それを破った者がいる。タイミング良くな。考えられることの一つとして・・」


「まさか・・・わたしたちの中に裏切り者がいるって言うんですか?」


「悪魔で可能性の話だ。信じたくはないがな」


「・・・・」


「今のところ各地で大きなことは起きてはいないが、これから起こる可能性はある。というか確実に起こるな、観たわけではないが。そしてお前達にも手伝ってもらうことになるだろう。すまない・・・」


「それはいいですよ。ですが殺しはできませんよ。私はもう、殺し屋ではないんです」


「あぁ、わかっているよ。もし、異能力者が現れても、必ず殺せとは言わないさ。そいつらは捕えてしかるべき場所に収監する」


「収監って、そんな輩が大人しく捕まってくれるとは思えないんですが。仮にも異能力者、脱走する方法はいくらでもありそうですが」


「それは安心していい。そのあたりは志貴と考えた。あの森にそういう場所を設ける。丁度、天与核があった場所に結界を張りなおす」


「それなら大丈夫そうですね」


「そうだな。糸音、無理は言わない。だが今話した通り、世界はもうじき荒れるだろう。その時、抑止力としてそいつらを止めなければ人間社会、世界は崩壊する。今すぐにとは言わない。俺たちも情報を集める時間がいるからな。天与核の居場所、首謀者、それを見つける。いずれ、お前達にも手を貸して欲しい時は必ずやってくるだろう。俺たち大人の都合で子供を巻き込むのは不本意だが、その時は頼めるか?」


「当たり前です。それにこれは夕凪家の失態でもありますし、迷惑をかけているのはむしろこちらですよ。必ず、取り戻しましょう。そして私たちの正義を示しましょう」

 

「はっは、お前やっぱあの人の弟子だな」


遊は微笑んで糸音の頭を撫でる。

 

「さぁ、そうと決まれば情報収集だな。また連絡する。あっ!そこの寝ている奴にも、もう事情は説明してある。起きたら礼を言ってやるといい。お前が寝ている間、ずっと気にしていて看病もそいつがしていたぞ。いい仲間をもったな、糸音」

 

「そう、だったんですね」

 

話を終えた遊は早々に病室を去って行った。


ヒュー、ヒュー


窓から吹く風がこれから始まる戦いの後押しをしているように感じた。

糸音はベットから降りて軽く伸びをする。

 

「さて、少し屋上にでも行ってみるか」


糸音は爆睡しているメイを残して病室をあとにした。


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