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天使の探究者  作者: はなり
第一章  始まりの夜

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学園襲撃(四)


(うちは真似してばっかりや・・・母さんの真似ばっかしていた。喋り方も真似て、着る服すら真似て・・・本当に子供だ。挙げ句、母さんの見回り組の仕事に憧れて、学園を守ると調子乗って死んだなんてただのバカやんか・・調子に乗ってたわ。あぁ・・死にたく無いな)

 

「雨か」


ゴゴゴゴゴゴゴ

 

小雨が降り不気味に雷の音が鳴る中、シーバはメイの亡骸の前で合掌をしていた。

 

「本職はやめてもこうして弔ってやらんとな。こやつの魂があるべき場所へと帰れるように」


合掌を終えたシーバはメイの亡骸を背に歩き去る。


ドーーーーン!!!!


轟と共に、雷が背後に落ちて振り返る。

 

「ほう・・天からの埋葬・・これで彼女の亡骸共々、あるべき場所に帰ったか。」


どうやらメイの亡骸に落ちたようだった。


「・・・ん?」


シーバはふと疑問に思った。たしかにメイへと落ちたのは正確には確認はしていないが、もしそこに落ちたのであれば燃えるなり焦げ跡があるはず。しかし、それはどこにもなかった。


「しかし、あの音と位置・・・確実にあれに落ちたはず・・・」


ビリッ!


「なんだ・・」


シーバはわずかに妙な音を聞いた。それはなにかが小さく弾けた音。それに先ほどまではなかった妙な空気を感じとる。


「まさかな・・」


シーバは確認せずにはいられず再びメイへと足を運ぼうと一歩踏み出したその時。


バンッ!!


シーバは驚愕した。心臓は止まった、それは確認済みだ。まだ息があるなど、ほぼ奇跡に等しい。しかし、メイの体は跳ね起きた。空中を回転して着地する。顔は見えず脱力した様子で静かに立っていた。

 

「奇跡か・・これは、信じられんな・・・」

 

「・・・・埋葬?だぁ?・・勝手に弔うなや・・・なんでやろな・・・今、最高にええ気分やわー」


メイは顔を上げニヤリと笑い立っていた。その目はしっかりと意識のある、それでいて真っすぐシーバを見ていた。目の前の敵を。

 

「どうやら、雷に打たれてハイになっているようだな・・・しかし、何者だお前は?」


メイはシーバの質問を無視して、準備運動のように手やら足やらを軽く動かしていた。

 

「よし!動くな!」

 

そして何かを納得したような顔をしてシーバと再び視線を合わせる。次の瞬間メイは消えた。

 

「・・!?」 


シーバは咄嗟のことに身構える。姿が視認できずに探していると。


ダッダッダッダッダ!!!!!!


シーバは顔に数発の違和感、痺れるような痛みを感じる。


「あれ?・・はずしてはないけど・・まだ足りひんのか」


「ばかな・・・」


シーバは再び驚愕する。いつの間にかさっきいた場所に再びメイは戻ってきていた。そしてよく見るとメイの体の周りを微量な雷がパチパチと音を立てているのに気付いた。


「なんだ・・それは・・」


「ん?・・あー、なんやこれ!!・・電気?かな・・パチパチしとるな・・なんや、体の中の電気の出力が上がっとる感じするな!!」


ドッッッッッンンンンン!!!!!


メイが力を入れると辺りの空気が震えた。いや、正確には揺れた。


「さっきは死んだと思ったけど何か生きとるな・・それに力も、なんか沸く・・何か腑に落ちんけど・・これならまだやれるわ!!」


「面白いやつだな・・・いいだろう、その慢心を砕き再び止めてやろう」」


二人が同時に動く。


シュッシュッシュッシュ!!!ダッダッダダッダ!!!


二人の拳がぶつかり合い、火花を散らす。


シュッ!!!ドン!!!


幾回目の打ち合いののち、メイの拳がシーバの胴体を打ち付けた。


(こいつ!さっきとは比べ物にならない速さだ・・)


シュッシュ!!!ダッダッダ!!ドンッ!!!!


「ッッッッウ!!??」


数発の拳の雨の中の一発がシーバの体を後方へと吹き飛ばす。おもわずその場で膝をついてしまう。


「ふー・・どや!今のは手ごたえ有りやろ!!」


少し勝ち誇った顔でシーバを見下ろす。


「ははっは・・久しぶりにいいのをもらったな。まさか頑丈な私の体に傷をつけるだけでなく膝をつかせるとは・・・しかし、まだ踏み込みが甘いな」


「踏み込みねー・・・」


(たしかにおっさんの言う通り、まだ威力が足りひん。それは認めよう。さて、どうしよかなー・・踏み込み・・踏み込み・・・威力・・出力・・雷・・電気・・異能の応用・・・・)


「さて・・もう一度打ってみるといい・・次は効かんぞ!・・フンッッ!!!!!」


ドンッッンン!!!!


シーバが全身に力を入れ空気を震わした。しかし、メイは物怖じしなかった。


「よし・・これやな・・」


メイは腰を落とし右手を構える。


パチッパチッ


「来るがいい、雷々メイ!!受けて、そして弾いてやろう!!」


ダッ!!


メイは消え、瞬間移動のごとき速さでシーバの眼前に現れる。右手の拳は構えたままで低い体勢を取っている。


(出力は常に最大で・・火力を上げ・・能力を糧とし、(かみなり)を原動力に・・放ち、打ち出す!!!)


ダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


メイの拳の嵐、神速、火花が舞い散り鮮烈の猛攻だった。その間、雨音は無くなり、世界が止まったかのようだった。


「ん?」


メイは数秒ののち攻撃の手を止める。


「・・・・・」


バタッ!!

 

不動に立っていたシーバは声を上げることなく白目のまま倒れる。


「ふー・・・はあはあ、ははっ、あっは・・・勝った・・けど・・・・しんっっっっっどーーーーーー!!!」


バタ!


メイは背中から満足気に倒れる。雨を浴びながら天を仰ぎみると、雲間から日がのぞいていた。僅かな日を浴び、微笑み勝利の余韻に浸る。メイは雷に打たれた時、自身に流れる電流の量が増していることを理解していた。そのため全身に電流を巡らせることも可能になり、それにより神速の速さを手に入れた。さらに、それを応用し拳にかける重みを手に入れるため、肩、腕に電流を溜めることを思いつきそれを実行した。思惑は成功し見事な勝利をおさめる。


パチッ!


「おっと・・なんか痺れが・・まぁ・・こういうことにはなるか・・あー修行が必要やなあーー・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


メイはスイッチが切れたように眠った。



「夢を見てるのか、いや死んだから走馬灯か」

 

糸音はいつのまにか真っ白な世界に居た。

 

「そういえば少し前にもこんなことがあったな・・・もしかしてまたそれか。いや死後の世界ってやつか」

 

とりあえず状況もわからないので糸音は何もない世界で一人歩くことにした。

 

「これが死後の世界なら、中々に寂しいな・・」


(寂しい・・・か・・)

 

トン、トン、トン、トン


ふいに近づいてくる足音を聞いた糸音は振り返る。

 

「・・誰だ?」

 

そこには黒いスーツの中年くらいの男が一人立っていた。

 

「やぁ、糸音。久しぶりだね」

 

優しい笑みを浮かべているその人物は良く見ると志貴に似ていた。色々と困惑し糸音は警戒しながら話を続ける。

 

「すいません・・失礼ですが誰ですか?・・あなたは・・どうやら私のことは知っているようですが」

 

「そうか・・そうだったな・・。なら発動したんだな。それは良かったというべきか・・だがここにいるってことは死んだということだな・・それはあまり喜べないが、こうして出会えったてことは喜ぶべきか」


「発動・・いったいなんですか・・状況がまるでわからない・・」

 

「あーごめん・・そうだね。あまり時間もないから手短に言うよ。・・・君には記憶の改ざんを施したんだ。正確にはそうなるように仕掛けたと言ったほうがいいか」

 

「仕掛けた?」

 

「あぁ、そして今それを解くよ。少し負荷があるかもしれないけど許してくれ。それに解除は簡単だよ・・・・僕の名前は夕凪糸衛・・君の師だよ」

 

「・・・うっっ!!!」


名を聞いた。ただただ、その男の声でその名前を聞いただけ。その瞬間、糸音の脳内に今まで志貴との思い出だったものが目の前の夕凪糸衛との思い出へと変わる。本来の正しい記憶へと変換され元に戻る。情報、記憶がフラッシュバックされ糸音の時が止まる。そして糸音は全てを思い出すとはいかなかったが、糸衛との思い出を取り戻した。

 

「師匠・・・お久し・・・ぶりです・・なんで・・・」

 

糸音は久しぶりに泣いた。自分を育ててくれた父であり、師である糸衛との再開。そのことがどうしようもなく嬉しくてか、悲しくてか、涙は止まらなかった。

 

「色々、大変だったな糸音・・すまなかった」

 

「いえ・・・私の方こそ、師匠が死んで仇を討つため家を出たのに結局・・結局何も出来なかった!ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」


糸衛は静かに糸音を抱きしめた。子供をなだめる様に優しく頭をなでる。

 

「あぁ、見ていたよ。僕の為に怒ってくれたんだね、・・ありがとう。よく聞いてくれ糸音・・」


糸衛は糸音の肩を持ちながら目を見る。その真剣な表情に糸音の涙はいつの間にか止まり。真剣な眼差しで糸衛を見る。


「君は、いずれその四年の記憶を取り戻す。こうして僕のことを思い出したように・・そして、その四年の記憶は君にとってとても大切なものだから、自分で取り戻すことに意味がある」

 

「・・・大切なもの」

 

糸音の体が唐突に光出した

 

「え?・・これは・・・」


「おっと、もうそんな時間か」

 

「どういうことですか!師匠!」

 

「君の意識が戻ろうとしている」

 

「意識って、私は死んでないんですか?」

 

「いや、死んだよ。でもね君は再び・・が・・だ。おもっ・・り・・覚醒・・・い」


糸衛の声は途切れて聞こえずらくなっていった。

 

「師匠!」

 

「糸音、・・会えて・・かた・・最後に・・おぼ・・お・・ほし・・」

 

途切れて薄れていく意識の中で糸衛の最後のセリフを糸音はハッキリと聞いた。


()()には気をつけろ。


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